僕はこんな事を考えている ~curezの日記~

見たもの読んだものなどの簡単な記録と感想のチラシ裏系ブログ

エレクトラ

エレクトラ [DVD]

原題:Elektra
監督:ロブ・ボウマン
原作:MARVEL COMICS
アメリカ・カナダ合作映画 2005年
☆★

 

映画「デアデビル」のヒロイン・エレクトラを主人公に据えたスピンオフ作品。
同作の途中で死んだと思われていたエレクトラだったが、ラストで点字のネックレスを残しておいたことで、実は生きている事が示唆されていました。

最初からこのスピンオフも込みで作られていたというわけではなく、死と再生が原作におけるエレクトラの最も有名なエピソードなので、その辺りの再現なんだと思われる。

 

最も、原作でもエレクトラ主役のシリーズが作られてますので、映画がヒットしたらそういうのも作れるかもね、みたいな願望はきっとあったと思うけれど。

 

実際にこうしてスピンオフで単独主演作品が作られたわけですが、これが大爆死。作品としての質が低かったのも勿論ですが、マーベルのライバルのDCもこれと近い時期にハル・ベリー主演「キャットウーマン」を作って、同じく興行成績的にも批評家からの反応も最悪で、やっぱり女が主役のヒーローアクション映画なんかヒットするわけないでしょ、みたいな空気をスタジオ側に印象付け、結果的にジャンル的な停滞を呼びこんでしまった部分もある。(後にそんな空気の中でヒットさせて批評家受けもよく、監督も女性だった「ワンダーウーマン」がいかに歴史的価値があったかは理解しておくと良いと思う)

 

スピンオフとかユニバース化という部分では、後のMCUの嚆矢になった、と言えなくもないものの、まだまだ当時は手探りだった時期。回想シーンで「デアデビル」の場面が挿入されるので、地続きの話である事に疑いようもないんだけど、師匠に当たるスティック(原作ではデアデビルの師匠でもある)率いる「キマグレ」という集団と、対立する悪の忍者組織「ザ・ハンド」との戦い。ハンド側の忍者は倒されると謎の発光と共に消えてなくなるという不思議なビジュアル。

 

まだリアル路線をやろうとしていたデアデビルと比べて、一気にトンデモ世界になってないかこれ?感が凄まじい。

 

きっと作ってる方は、原作の世界感を生かしたんですよ、と言うんでしょうけど、そうなると今度は主役のエレクトラの方が浮く。原作のエレクトラはこんな綺麗なキャラじゃ無い。ジェニファー・ガーナーが演じる映画のエレクトラは、あくまで一般的なアクションヒロイン映画の範疇に収めている感じが物凄く違和感。精神的にヤバいレベルの血に染まった暗殺者ではなく、綺麗なお姉さんが美しくアクションを決めるヒロイン映画な感じがなんとももどかしい。
それこそ後の「キックアス」のヒットガールくらいやってくれないと、忍者が暗躍するアメコミ映画っぽさが出ないのでは?マーベル映画黎明期ならではという感じでしょうか。

 

今回の映画のヒロインであるアビーの暗殺を仕事で請け負うも、こんな良い人親子は殺せない!とか、とても熟練の暗殺者とは思えない。そのくせ、仲良く手伝ってくれてたエージェントの人が殺されるの明白なのに、君は逃げろ言われて素直に従ったりとか、う~んそれ人としてどうなの?

 

そしてそんなアビーちゃん、実は特殊能力持ちだと判明。ハンドが探している「宝」とは彼女のことだったのだ。そこまではまだ良いのですが、敵側のタイフォイド・マリー(こちらも原作キャラ)が倒される直前に「私も昔は宝と呼ばれていた」みたいな事を言う。ザ・ハンド的には特殊能力持ちの事を「宝」と言っているらしい。確かにお宝なんだけど、忍者でもクライムファイターでもなく、それもうX-MENとかの範疇じゃ無いですか?その辺のチグハグ感が何とも・・・。

 


そして敵と言えば何故かボブ・サップが出演。PRIDEとかK-1で人気だったので、邦画である「デビルマン」に出たりするのはわかるんですけど、ハリウッドでも知名度あったのか?単純に格闘技の方が国外でも結構見られてたとか、あるいはエージェントがよっぽど優秀だったのか、どういう経緯なんでしょう?

ストーンというキャラクターで、エレクトラの武器のサイをその肉体だけでへし折る。・・・かと思ったら倒れてきた木に潰されあっさり死亡。普通に考えたら木よりサイの方が硬くない?

 

白黒っぽい彩度の低い画面にエレクトラの赤い衣装だけ鮮烈に見せるとか、フランク・ミラーっぽい(「シンシティ」「ザ・スピリット」)画面を映画のスクリーンで再現してみようみたいな試みは面白いものの、それ以上の何かがあるかと言えば凄く微妙。
コスプレする事が正しいとは言わないけど、エレクトラなら頭のバンダナも再現して欲しかった。割とあれってエレクトラの記号みたいな気がしますし。テストで試してはみたけど、ジェニファーさんにはしっくりこなかったとかかもしれませんが。

 

デアデビル」の方は頑張って擁護したいけど、こちらは流石に厳しい。


ああそうそう、DVDの特典で、映画とは関係無く原作の方のクリエイターインタビューがあって、当然生みの親のフランク・ミラーの他に、ビル・シンケビッチとかブライアン・マイケル・ベンディスとかインタビューに出てて楽しい。あと本人は出て無いけど、天野喜孝の描いた「ウルヴァリンエレクトラ」とかも結構な感じで紹介されてて、コミックファンからしたらひょっとして映画よりこっちの方が面白いんじゃないかってくらいでした。

 

最近のソフトはどうなんだろうな?(ほとんど買って無いので)そう言えばこの辺の時期のアメコミ映画DVDにはこんな感じで、原作でのキャラクターの歴史みたいなのが映像特典で結構入ってた気がする。アメコミ知識って、今だとネットでコアな知識のある人を結構見つけられるので、そっちの方が良いけどゼロ年代とかはまだまだ断片的な情報しか見られなくて、こういうので知識を得ていた気がしますし、そこもソフトを買う楽しみの一つだったよな、とか今になって思い出しました。

さて次は・・・ファンタスティック・フォーでも見返そうかしら。

www.youtube.com

関連記事

 

curez.hatenablog.com

 

 

curez.hatenablog.com

 

curez.hatenablog.com

 

curez.hatenablog.com

 

curez.hatenablog.com