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機動戦士ガンダムF90FF ファステスト・フォーミュラ 1~4

機動戦士ガンダムF90FF(1) (角川コミックス・エース)

F90FF MOBILE SUIT GUNDAM F90 FASTEST FORMULA
漫画:今ノ夜きよし
シナリオ:イノノブヨシ
キャラクターデザイン:金世俊
メカニックデザイン:森木靖泰
オリジナルF90デザイン:大河原邦男
原作:矢立肇富野由悠季
刊:角川書店 角川コミックス・エース 全11巻 2019-24年
☆☆☆☆


ガンダムエースで続編の「F90クラスター」もスタート。
検索でウチに入ってくる人はともかく、ブログとしてはガンダム専門って程では無いので一応は1から説明しておきましょうか。


映画「機動戦士ガンダムF91」のバックアップコンテンツとして展開したのが「機動戦士ガンダムF90」。

「F91」はこれまでのアムロとかシャアとかの旧作の直接的な続編ではなく、世界感だけを引き継いだ新シリーズとして制作。時間軸をかなり進めたのでモビルスーツも量産機のジェガン以外は全て一新。
単発の映画と言うのもありますし、商品展開も限られてくる中で、「F91」の前史として「F90」を設定。プラモデル、コミック、SFCのゲームなどのマルチ展開で設定を広げるも、肝心の映画が小ヒットに留まり、それ以上大きく展開する事も無く凍結。同時に「F90」も断片的な展開のまま終了。

 

F90の機体には、アルファベットのAからZまでの26種類のオプション装備があるという当時からの設定だったが、実際に発表されたのはその半分もにも満たないまま終了。
物語や設定的にも中途半端という事は、余白の部分も多いので、その後はたまに外伝なんかに引っ張りだされて、一つの作品と言うよりは多数の作品に顔を出す機体としてF90がある意味定着。

 

ファーストガンダムの時代の1年戦争の外伝が溢れ、設定や機体が交通渋滞。
じゃあ次はとZガンダム辺りの時代も結構増えてきた辺りで、「ガンダムUC」がヒット。これからはまだ隙間の多い宇宙世紀100年以降の時代に焦点を当てて行くよ、という流れが始まり、じゃあ埋まって無かったF90のオプション装備を埋めようか?プラモもバリエーションでいっぱい出せるし、という形で始まったのが


「F90 A to Z PROJECT」

www.youtube.com

それの連動コミカライズ作品が今回紹介する「機動戦士ガンダムF90FF」
漫画を書いてる人は別の漫画家さんですが、サンライズの方で設定やデザインはやっているので、キャラデザも「ガンダムNT」の金世俊さんが担当。
メカデザの森木靖泰氏は言わずと知れた「閃光のハサウェイ」のクスィーガンダムのデザインが有名所。今回のコミック用の敵MSのデザインも相当に世界観クラッシャーしてます。

まあでも
Zガンダム」「ガンダムZZ」(UC0087-88)
  ↓
「ムーンガンダム」(UC0091)
  ↓
逆シャア」(UC0093)
  ↓
ガンダムUC」(UC0096)
  ↓
ガンダムNT」(UC0097)
  ↓
閃光のハサウェイ」(UC0105)
  ↓
ガンダムF90系列


と、逆シャア閃ハサ辺りのアナハイムガンダムとF以降のサナリィガンダムはシリーズとしても1枚壁があった感じを、地続きに感じさせたいんだろうなという意図が読みとれます。

 

「ファステストフォーミュラ」の時系列的には第1部がUC0012年で、作中時間が飛んでの第2部がUC0115年になるんだけど、要所要所(コミックの冒頭毎にプロローグとして入る)にSFC版のゲーム「機動戦士ガンダムF91 フォーミュラー戦記0122)のコミカライズパートも入る。

 

SFC版「フォーミュラー戦記0122」作者が思い入れが強い作品なのでっていう所で入れたんでしょうけど(私も当時クリアまでやりましたし嫌いじゃないですが)知らない人には時間も登場人物も別物なので混乱してしまうかも。「FF」の話としては第1部はそうでもないけど、4巻のラストから始まる第2部が他の作品のミッシングリンク要素が大量に散りばめられていて、この辺の時代が好きなニッチなマニアには好評を持って迎え入れられたが、それは次のエントリーの時に。

 

第1部の話としては、一応は主人公扱いと言っても良いのかな?代替わりする前提ですし、あくまで1部から息子のリヴが主人公と言われればそれまでですけど、一応はF90のテストパイロットとして、メインで戦うのは母親の方のパッツィ・アンゲリカ。

 

リヴが最初からニュータイプ的な能力を匂わせてくるので、そこはきっとF90を引き継ぐんだろうなと思わせてくれますが、1部のクライマックスの時点で「F90Nタイプ」を登場させてくる気前の良さはありがたい。

 

NタイプのオプションパックはNEXTタイプとされてきたものの、ガンダム世界でNタイプつったらそりゃあニュータイプでしょうと。最終決戦のみの特別仕様とかでなく、こうして早めに出してきたのは良い判断。カッコいいけど最後の1戦しか活躍が無いんだよね、っていうのもそれはそれでちょっと勿体無いですしね。

 

そして何よりカッコいい。Nタイプ、プラモが欲しくなるなこれは。F90って私は昔からモッサリ感、前衛的なF91と比べて、ガワラの手癖で書いてる印象の強いF90ってあまりカッコいいMSだと思った事は無いのですが、Nタイプはイマドキなデザインでカッコいいです。

 

ハルファイターとのドッキングもポイント高い。いわゆるスーパーロボット的な「合体」ってガンダムには似合わないと感じる人も居るとは思うんですけど(それこそ本家がGアーマーからコアブースターに設定変更したように)私は合体とか何気に好きです。

 

あと、「Vガン」でも繰り返した所を見ると「F91」では恐らく意図的にやっていた「母のガンダム」的な要素も、こっちのパッツィが育てていたF90をリヴが引き継ぐというのもそれなりに意味深で面白い部分。まあ今回はシナリオの都合って感じではあるけど、アムロにしてもカミーユにしても最初は「父の作ったガンダム」だったわけです。そこはマジンガーZの頃からの系譜、少年が乗り越えるべき存在は父親であるという、古から続く物語の基本構造が根っこにあって、「水星の魔女」はスレッタという女主人公だったからこそあれは母親を乗り越える物語になっていた。

 

そこいら辺の流れを踏まえると、母の作ったMSに乗りこむというのは母体回帰・体内回帰みたいな意味合いが出てくるからこそ、F91/Vガンの後の「ブレンパワード」は子宮がコクピットという発想になったのは文脈として理解しやすい。

 

って、「F90FF」から逸れて富野論になってしまった。
話を戻すと、ガンダムUCは老人ホームだって一部で言われてたんですけど(一番盛り上がるのは旧作メカがいっぱい出てくるとこだから)今はもうガンダムエースって雑誌そのものがそんな感じですし、F90FFも基本はそんな感じ。

 

今回新しく設定されたKタイプとか、後のV2のメガビームシールドのバリアビットじゃん!とか、「Iフィールド全開!」とかもうモロに長谷川節ですよね。
更に新規にはトンデモメカ扱いされてるUタイプとか、いやいやこれ「俺達の最後の希望はこのクロスボーンガンダムなんだ」っていうクロボンのクライマックスに向けての名場面オマージュ。このUタイプのデータとかがあったからクロボンに繋がるんだよっていう、わかる人にはわかる奴ですよね。

 

老人ホームで結構。頭の薄くなったジョブ・ジョンさんの姿は我々の姿だよ、と涙を隠しえません。

 

リアルタイム時に一度だけ絵が載ったEタイプも、何故かその後無かった事になってたりしましたが、新しくデザインされた電子戦仕様も、ああこんな戦い方もあるのかと。電子戦に強いみたいな機体って、索敵や通信が強化されたイメージしか無かったけど、ガンダム世界はコクピットのモニターに表示されるのはCGという設定。だからF91は高速移動で金属剥離減少を起こしたことで、モニター上では「質量のある残像」という分身殺法になっていたわけで、Eタイプは敵MSにダミーデータを送り込むというまさに電子戦らしい描写が非常に面白い。

 

令和の世に甦る昭和の残り火の「F90」がまさかこんなに楽しいとは。

といった辺りで後半の第2部へ続く。

機動戦士ガンダムF90FF(4) (角川コミックス・エース)

 

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