Nobody Knows
監督・脚本・製作・編集・製作総指揮…是枝裕和
日本映画 2004年
☆☆☆☆★
気にはなっていたものの、是枝裕和は「空気人形」とドキュメンタリーの「大丈夫であるように -Cocco 終らない旅-」ぐらいしか見てない。
いきなり「万引き家族」に行く前に何本か代表作をみておこうかなといった感じでまずはこちらの「誰も知らない」をチョイス。
実際の子供置き去り事件をベースに描く。
いや~、もう遠い昔に散々言われてるでしょうけど、子供の演技がめちゃめちゃ自然で凄い。
大人は頑張って自然な演技って出来ると思うけど、これくらいの小さい子達が、セリフとか表情、佇まいを全く演技してるように見えずに、本当のドキュメンタリーを見てるように感じさせるって凄くないですか?まずはそこに関心しました。
で、お話の方ですが、調べた所、現実の方ではもう少し長男の行いが悪かったらしく映画以上につらい現実になっていたようです。
じゃあそれを奇麗な話にしちゃったのかというと、勿論そんな事は無くてただどんよりとつらい感情だけ残して終わる。
実話ベースの作品だけじゃなくて、ホントのドキュメンタリーもそうだけどその実際を見るなり聞くなり読むなりして、自分はこういう風に感じた、あなたはどう思いますか?っていうのが作品だと思うので、そこに関しては本当に素晴らしい作品だと思いました。
絶対的な客観視なんてのは不可能で、そこには必ず作ってる人の主観が入る。他人、その人の本当の気持ちなんて絶対に100%は理解出来ないのと同じ。
そこを客観視してますよ、客観的に見ればこうじゃないですか、なんて嘯くよりは、自分はこう思いましたって主語をはっきりさせた方がまだ誠実。森達也とか私好きですし。
でもって、実際こういう事は世の中にいくらでもあるんだろうな、と思う。
決してこの事件が特異なものではなくて、それこそ当事者以外は誰も知らないであろうけども、あってほしくはないと思うけれども、それでも現実にはある。
作中でも描かれてはいるんだけど、警察とかボランティアとかセーフティネットとかに相談しよう、こういうのは。
前に相談した時は家族がバラバラになりかけて、って言ってたけど、それでも、それでも死ぬとかよりはまだ良いんじゃないかなぁと思う。
私もほんの少しだけどフリースペースのNPOに関わったりもしきてるのでこういうの本当にどうにかならないものかと思う。かと言って、作中の周りの大人たちやコンビニの店員みたいに、何かおかしいなとは思いつつも、それ以上は踏み込まないってのもすごく気持ちとしてはわかるし、お節介焼いてもね、本人から大丈夫です的な事を言われると、あとそれ以上はやっぱり踏み込めなくなってしまう。
とにかく、困ってたらまず相談しよう。解決策は絶対一つだけじゃないはずだし、まずはそうしないと何も始まらない。
ベタで申し訳ないけど、やっぱり世の中はいいやつばかりじゃないけど悪いやつばかりでもないと思うので。
映画だったら120分くらいにまとめてほしかったな~という以外はホントに素晴らしい作品でした。