僕はこんな事を考えている ~curezの日記~

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エンターテインメントアーカイブ 宇宙の騎士テッカマンブレード

エンターテインメントアーカイブ 宇宙の騎士テッカマンブレード (NEKO MOOK)


発行:株式会社猫・パブリッシング NEKO MOOK 2956
2020年
☆☆

映画秘宝」復刊号買わなきゃな、と本屋さんに足を運び、棚を眺めていると・・・

宇宙の騎士テッカマンブレード」のロゴが目に入る。

 

こ、こ、これはっ!
私のフェバリットアニメ作品の一つ、テッカマンブレードではないか!

 

何故今ブレードのムック本が!?

 

いやまあ特撮とかでたまに古い作品のムック本とか出たりするからな。おそらくそういう流れか。と、とりあえず手にとって軽くパラパラめくって見る。全話のあらすじとかは載ってるけど、全話解説とかでもない様子。インタビューも少なめで、監督や脚本、声優さんのインタビューも無い。・・・う~ん、これはちょっと微妙そう。


しかも3000円と安くは無い価格。どうしようかなこれ。実は「テッカマンブレード」って過去にもこれといった本は出て無い作品なのです。貴重なのは確か、買い逃して、後から買っておけばよかった、となるのも悔しいですし、ええい、もうなるようになれと結局購入してきました。

 

設定画とかは割と掲載されてる感じですが、基本的に私はムック本とかでも読む方重視で、ビジュアルガイドっぽい物はあまり買いません。ライダーとか戦隊で終了後に出る「公式読本」ぐらい読み応え有る奴が好き。そこまで文字数は多くないけど、プリキュアのコンプリートガイドも価格が安めなのに内容がとても充実してるので、オタク系ムックとしては最高にコスパが良い物凄く良心的な本です。そういうものと比べてしまうと、私の好むタイプのムック本とは相当にかけ離れた一冊でしたが、「テッカマンブレード」の本が今の時代に出ただけでもそこは貴重と思うしかないです。

 

ええと、せっかくなので一応作品の概要とか私の個人的な思い入れなんかも語っておきましょうか。

 

宇宙の騎士テッカマンブレード」1992-93年に放送されたタツノコプロ制作のTVアニメ。一応1975年のタツノコアニメ「宇宙の騎士テッカマン」のリメイク的な位置づけですが、設定上の繋がりも無く、いくつかのキーワードや固有名詞を引っ張ってきてるくらいで、基本的に作品としては別物。

 

タツノコヒーローを今風にして集結させてた「インフィニティフォース」なんてのもありましたが、そっちに出てたテッカマンは初代の方で、ブレード要素は無し。インフィニティフォースはTVシリーズと映画と完走しましたが、う~ん正直つまんなかった。見所ゼロとまでは言いませんけれども。


それだったら「科学忍者隊ガッチャマン」を、それこそガッチャマンのタイトルだけ使って、後はブレードと同じように別物に作り替えた「ガッチャマンクラウス」の方がずっと面白いです。ヒーローアクションみたいなのを期待すると痛い目を見ますが、社会学をベースに作られた(BDの解説書で作り手もそう言ってます)世にも珍しい「社会学アニメ」になってました。万人向けとは言いにくいですけど、私は2期目の「インサイト」も含めて、とても楽しめたし、BD買いそろえるくらいメチャメチャ好きな作品です。

 

タツノコと言えば今は「プリパラ」とかのプリティシリーズとか、派生会社から独立した(だよね?)プロダクションIGの方が有名かなとも思いますが、「ガッチャマン」とか「タイムボカン」シリーズとか、タツノコらしい昔からの独自のコンテンツは持っている会社で、定期的にリメイクしたり、実写映画やったり、今やってるヒロアカの後に始まった「ハクション大魔王」もタツノコですよね。そんな有象無象のリメイクがあるのもこの会社の特徴。その中の一つにこの「テッカマンブレード」も入る。

 

スーパーロボット大戦」のGBA版「J」とDS版「W」に参戦した事もあるので、その時に割と知名度も上がった気がします。ええ、私もブレード目当てでやりましたとも。最優先でフル改造して完全にブレード無双でした。

 


ロボットでは無いものの、変身ヒーロー物をガンダムっぽいリアルな感じでやる、という意図があったのは今回のムック本の植田プロデューサーのインタビューで初めて知りました。(そういう意味じゃ買った価値はあったかもね)「ガンダム00」でも描かれる軌道エレベーターとかを92年のこの時点で取り入れてあるのは、ガンダムがコロニーならこっちはオービタルリングと軌道エレベーターでリアルな世界観を作りだす、という事だったようです。

 

そういう当時の最新科学を取り入れつつ、異星人の侵略と、少しづつ明かされていく主人公Dボゥイの家族の愛憎劇を描くドシリアスなハードSF。

 

主役の森川智之が必殺技「ボルテッカ」の叫びで声量だけでマイク破壊した逸話と、弟でライバルのテッカマンエビルを演じた子安武人がここで演技に目覚めた事は割と有名なエピソードかも。後はアニメ主人公で最も不幸な運命を背負わされるとかも。

 

私はまだ学生の頃で、同じくタツノコ制作の「天空戦記シュラト」とか「キャッ党忍伝てやんでぇ」とかも好きで見てて、そんな流れの一本がこの「テッカマンブレード」でリアルタイムでハマってたかと思います。4種出てたプラモも全部買いました。

 

とにかく重い、とにかくシリアス、とにかく暗い、でもカッコいい。それでいて設定なんかも上手く作ってあって、特にSF小説なんかを読みあさるSFファンとかでは無かった私は、これくらいの作品であっても、侵略者ラダムとテッカマンの関係とか、メチャメチャ良く出来てると思ったし、話にもグイグイ引き込まれて、ビデオ録画何度も見直してました。

 

で、大人になってからもDVD-BOXは即買いして、そこで何周かしても面白い。そっから更に10年とか経ってたかもしれませんが、ニコニコで配信してるので見ても、それでも最高に面白い。

なんて書いてると、また1から見返そうかな?なんて思ってしまうぐらいに好きな作品です。

 

その前の「シュラト」の時も騒がれてましたが、絵のクオリティも結構ガタガタだったりする作品なんですが、それもまた味、とか判官贔屓で言ってしまいたくなるくらいにはファンです。OP詐欺とか言われたりもしますが、OP担当の大張さん的には「ドラグナー」とこれが代表作的に言われる事も多い。

 

絵的には今回、キャラデザの湖川さんのインタビューも載ってますが、全く思い入れも無いし、良い思い出も無いと、ファンにとってはちょっと悲しくなる言いようでした。まあキャラデザとしては別名義になってるくらいだし、Dボゥイとアキとミリーだけ佐野さんで、残りをってのも仕事としてはどうかと思うし、仕事だからやりましたってなっちゃってるのは仕方ないとも思わなくは無いです。全く安定してない作画を見れば色々な事情があったんだろうなってのは何と無く想像できる。

 

でも、それでも私はこの作品が好きな事に何の揺らぎもありません。

 

ムック本としては、そういう各話の作画もそうだし、ドラマやテーマ、各話のあらすじだけじゃなくて、全話分の「解説」を読みたかったし、OVAの2にも触れていながら、真の完結編になる小説版「水晶宮の少女」には全く触れて無かったりと、本としては非常に残念な作り。


解説やスタッフ・キャストインタビューが充実してる本が出れば、間違い無く私は買いますので、いつの日にかそんな本が出る事を夢見て、待ち続けたいと思います。


Tekkaman Blade テッカマンブレード OP1 full

 

本編終了後にセルフリメイク的に作られた短編の「ツインブラッド」
テッカマンのグロアレンジはちょっとキツイですが、ストーリーも凝縮されてる感じで良いです


テッカマンブレードTwin Blood