僕はこんな事を考えている ~curezの日記~

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トロピカル~ジュ!プリキュア オフィシャルコンプリートブック

トロピカル~ジュ! プリキュア オフィシャルコンプリートブック (学研ムック)

Tropical-Rouge! Precure Official Complete Book
刊:学研 Gakken Mook
2022年
☆☆☆☆☆

 

ようやく今年も出ました。ここまで読んでシリーズの締めくくり、という印象のある、プリキュア定番の風物詩。
昔の作品のムック本とか後からファンになって買ってみたけどさ、たまに最終回までの内容が載って無い奴ってあったりしません?それは勿論、その作品が放送中とかに出た奴で、終わってからのまとめ本とかとは違う意図で作られてるものなので、そこは仕方ないですし、普通に考えたらさ、作品が終了してから出すって、それはそれでね、終わってしまったら興味が次に向かう人も居るだろうし、商業上の損失機会的な事を考えたら、作品が展開中か、或いは終わった直後くらいに出すのが望ましいというのもわかる話で、私が何を言いたいのかと言うと、プリキュアはこうして終わってからのまとめ本がきちんと出る。それは非常にありがたい事ですよね、という話です。

 

いつもならオフィシャルコンプリートブックの時は、本としての感想とかより、その作品そのものの全体の感想みたいな感じで書いて来ましたが、今回のトロプリはオーディオコメンタリー聞きたさに新品のBD最終巻だけ買ったりしてますので、話の感想はそっちにふり分けようかな。

 

「トロプリ」という作品に対する私の中の印象は、過去記事にも色々と残して来ましたけど、今回このムック本を読んでいて、なるほどこういう事かと腑に落ちる部分がいっぱいありました。

 


土田シリーズディレクター、過去のシリーズで各話演出で入ってて、他の人には無いシュールなギャグ回とかが多くて(所謂カオス回とか言われたりするやつ)、とても好きな演出家でした。いつかこの人がシリーズディレクターになって、コメディ色の強いシリーズが出来たら面白いだろうなって思ってた人です。

 

実際、他のシリーズと比べると、特に前年の「ヒーリングっどプリキュア」がシリアスで重めな作品だったのもあってか、トロプリの明るさは際立ってたとは思います。あんなラスボスの倒し方なんて、今後そうは無いと思われます。

 

ただ今回のインタビューで土田監督は言ってます「プリキュアはギャグアニメじゃないので」って。

 

実は、私の中ではプリキュアシリーズってギャグアニメなんです。
いや、そう言いきっちゃうと語弊があるかな?


ギャグ要素が多めに含まれている作品、みたいな言い方だと正しいでしょうか。私がまだプリキュア初心者だった頃に、TVでやってる作品だけでなく、過去作品もいくつか見たりしてる中で、意外とギャグやコメディ的な笑いの部分もプリキュアって多いんだなぁという印象。

 

女の子向け作品ですし、女の子が喜ぶ要素が多めで、それを男が、しかも良い歳したおっさんが見て面白がれるものなのか?っていう疑問は当然あったんですよ。それが意外や意外、実際に見て行くと、ヒーローアクション物としての面白さもあれば、意外と笑えるギャグやコメディ要素も多くて、女の子が好きなものを集めただけのタイプの作品じゃ無い所に惹かれて、最初は私も「プリキュアってどんなもん?」程度の興味や関心で見始めたものが、普通に面白くってどっぷりハマってしまう事になる。

 

で、そんなプリキュアの面白さとは一体何なのか?を探っていく内に、色々と見えてくるわけです。例えばプリキュアって、所謂「美少女物」の枠に入れられる事もありますけど、そんな可愛い女の子にあるまじき変顔とか、プリキュアでは初代の頃からよく出て来ます。

 

それは何故かっていうと、視聴者のメインである小さい子達は、きちんと話を理解して見てるわけじゃない。あくまで絵(画面)を見ているんだと。子供達に喜んでもらえるように、そういう面白い画を意図的にやってるんですよ、それは時には秒単位で計算して、子供が飽きない画面作りをしてるんですよ、というのを知る事になる。ああ、だからプリキュアはギャグ描写が多いのかと。面白い。

 

そういう意味ではね、プリキュアはギャグアニメですよ、って言っても良いのではないか?というのが私の中ではありました。

 

それをギャグ回が得意な演出家が、プリキュアはギャグアニメじゃないですから、という面白さ。

これ、どういう事なのかというと、他の部分でもよくわかります。今回のトロプリで結構話題になった33話。10本立てのギャグ回です。過去のシリーズでもやっていない試みでした。

 

そこで土田監督のスタンス。特別編としてやってもいいけど、物語として絶対に他の話数と繋がる要素は入れないでほしい。あくまで単発でやる事、という形でした。

 

最終回の「デパプリ」ゆいちゃん登場もあくまでCパート。トロプリの物語はBパートまでで終了。以降は別の物語です。いわゆるバトンタッチ回という奴で、そこは商業上の理由で入れろと言われれば入れるけど、トロプリからは切り離した世界。これ、33話もそうです。毎年ある映画との連動回であのギャグ回をやってます。

 

「土田監督は世界観を凄く大事にするので」って皆に言われてますけど、それってどういう事かと言うと、例えば例年のオールスター系映画とか、今回のトロプリで言えば秋映画で「ハートキャッチ」と共演して、そこで世界観が繋がってると提示されたとしましょう。だったらさ、TV本編の最終決戦とかでピンチになってる時、他のプリキュアは来てくれたりしないの?ってなっちゃうじゃん?って事だと思うんですよね。

しかもトロプリは設定上伝説のプリキュアとして過去にキュアオアシスが居るわけで、他の先輩プリキュアが居るって言うのは変な話になる。

 

だから33話は絶対に他の話とリンクはさせないで!あくまで特別編であって、本編のドラマとは時系列にここに入るとかも無いから、とかそういう事だと思うんですよね。
大人なら事情は色々わかる。でも、何も知らない子供達が、サマー達のピンチに、ブロッサムは助けに来てくれないの?とか思わせちゃったらさ、それはどっちの作品も得しないよね?っていう話だと思う。

プリキュアにギャグは沢山入ってるけど、世界観そのものがギャグの世界観でやってるわけじゃないよ、という事なんだと思う。

 

土田さんは理屈が通らないものにゴーサインは出さないって言うのは以前からちょくちょく言われてましたが、きっとこういう事なんだよね、というのが今回の本を読んでて凄く納得出来た。

 

そんな、時に気難しいと言われるタイプの性格なのかもしれませんが、その功罪の内の「功」の部分が最大限に出た部分があって、私にとってのトロプリの一番素晴らしい部分だと思った所が、まさしく土田監督だからこその功績だった事が知れて、そこはもうメチャメチャ納得が入ったし、嬉しい所でした。

 

あのね、本当にラストのラスト部分。人間の記憶が消されたローラがまなつの事を覚えていたっていうシーン、脚本の横谷さんが考えた時点では、そこって何と無く憶えていたっていう脚本だったらしい。お互いに記憶を失ったけど、みんなとの友情はそう簡単に消えるものじゃないんだよ、ちゃんと心の奥底では憶えてるんだよ的な方向だったのでしょう。

 

ただ監督的には「なんとなく憶えていた」では納得が出来ないとして、ローラが事前に手まわしをしていた事で、自分で記憶を取り戻す、という話を入れて来たと。エルダちゃんも絡めて、そこってメチャメチャ良かったですよね?

 

私にとっては、過去の伝統やしがらみなんかに囚われず、自分の道は自分の知恵と工夫で乗り越えて行けば良いんだっていう主張に思えて、これこそがプリキュアなんだ、これからを生きる子供達にはこういう気持ちを持って生きてほしいっていうメッセージで、私はトロプリで一番良かった部分だと思ってる。

 

「なんとなく」じゃダメでしょ?そこにはちゃんとした理由が無いと、という考え方は私はとても好きです。

 

「悪役」を描かないというのも、やはり監督の意図的なものだったようですし、最初は毎回の怪物だけで話が作れないか?とやろうとしたものの、脚本の横谷さんは「敵陣営無しでドラマを作るのは難しい」という所であとまわし勢が作られたそうですけど、いわゆる敵らしい敵じゃないというのが、結果そうやって物語のラストまで生きてくるわけですし、そこは凄く上手く行った部分。

 

子供達がそこまでわかるか?そんなメッセージ性とかプリキュアに入れるのを監督自身が嫌がってたんじゃないか?とも思うんですけど、そこは別に気付かなくても良いのでしょう、気付いてほしいわけじゃなく、例え見えなくてもそんな部分も嘘はつかないで真摯に作ってますよ、というスタンスなんだと思う。

 

そこはね、以前にも書いた「映画キラキラプリキュアアラモード」がまさしく土田監督のスタンスが出ている。プロや批評家を納得させるものを作るのがプリキュアか?違うでしょ?子供が喜ぶものを作るのが「プリキュア」でしょ?っていうのを実は描いてる話。そういった所まで含めて見れる人なら、プリキュア映画の最高傑作の一つと言っても過言では無いでしょう。

 

curez.hatenablog.com

 

と、土田監督上げばっかも何なので、そこに近い感じで脚本の横谷さんの今回のインタビューで、素晴らしいなと思ったのは「何かを得るためには、何かを諦めなければならない」現実はそうなのかもしれないけれど、それはプリキュアで描くべき哲学では無いと思った。だからローラに何かを諦めさせずに、全部自分の力で得るバイタリティのあるキャラクターとして描いた、的な事を言ってます。

 

そう!やっぱりそこを描いたのは本当に素晴らしいです。プリキュアは何を描くべき作品なのか?っていうのを考えてやったって事ですよね。

 

こんな事を言うと失礼かもしれませんが、シリーズ作品として、総合的に見れば、私はトロプリって決して一番好きとか言う感じでは無い。
でもそんな感じで、トロプリにはトロプリにしかない魅力や価値がちゃんとあって、そういう意味では、やっぱりトロプリも面白かったなぁと思うし、やっぱり好きになる。

 

「そんなにプリキュアが好きになったのか?」と問われたらさぁ、はいそうですとしか言えないし、これはどのシリーズにも言える事です。

 

いや、ゴールデンウィークに遠出して遊びに行っててさ、ランダム再生でかけてる曲の中で、たまたまトロプリ関係の曲が流れたりするとさ、知らない土地で運転しながら私泣いてたりしたんです。自然と涙が溢れてきちゃってさ。そういう意味では、やっぱりロスってたんだなぁとか思うのですが、なんかこうして改めて振り返って言葉にしておくと、自分にとってのトロプリはこういう作品だな、みたいにストンと腑に落ちて、自分の中の一部としてやっと落とし込めた感じがします。

 

うん、トロピカってるね!

 

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