僕はこんな事を考えている ~curezの日記~

見たもの読んだものなどの簡単な記録と感想のチラシ裏系ブログ

ビフォア・ウォッチメン:コメディアン/ロールシャッハ

ビフォア・ウォッチメン:コメディアン/ロールシャッハ (DC COMICS)

BEFORE WATCHMEN:COMEDIAN・RORSCHACH
著:ブライアン・アザレロ(ライター)
  J.G.ジョーンズ、リー・ベルメホ(アーティスト)
刊:DC ヴィレッジブックス ビフォア・ウォッチメンシリーズ1(全4巻)
アメコミ 2013
収録:BEFORE WATCHMEN:COMEDIAN #1-6 :RORSCHACH #1-4(2012-13)
☆☆

 

アメコミ界の金字塔、アラン・ムーアデイブ・ギボンズによる「ウォッチメン」が世に出たのは1986年。日本語版は1998年に一度メディアワークスから出て、絶版プレミア化。その後小プロより再刊行。

 

98年の日本語版ウォッチメンを読んで以来。私はウォッチメンに呪われました。今まで読んだ漫画の中でウォッチメンはぶっちぎりで最高の作品でした。で、それから20年経ってもそれは変わってません。世の中の全ての漫画の中で最も優れた作品はウォッチメンです。

 

勿論それは「私の中で」の話であって、世にある全ての漫画を読んではいません。例えばギャグ漫画とかジャンルの違うものと比べたってそこに意味あんのか?とも思います。ただの与太話以上の物ではありませんが、98年に読んで以来、私の中ではウォッチメン以上に凄いと思える作品は20年出会えませんでした。いや、面白い漫画でもアメコミでも沢山あるんだよ。でもウォッチメン基準みたいなのが出来ちゃって、最高に面白いけどウォッチメンは越えてないな、とか思うようになってしまいました。別に、そこの基準には届かないから面白くないなとかではないのですけど。それが私のウォッチメンの呪いです。

 

まあ、世の中の漫画の頂点かどうかはさておき、歴史に残る1冊である事は変わりません。そういうものの続編を、しかも元の作者でも無く全くの他者が書くのはいかがなものなのか?という疑念は拭いきれません。

 

続編なんか絶対に書いてはいけない物だ、というのは作っている方も百も承知でそれでも挑戦してみたくなるのはクリエイターのサガでしょうか?ウォッチメンは特に「あの時代だからこそ」という時代性みたいなのも重要なファクターですし、30年経っても越えられないというのもそれはそれでおかしい、今の時代なりに描けるものもあるのでは?という挑戦もしたくなる作品ではあるのかなとは思います。

 

正直な所、実際に「ビフォアウォッチメン」はそれほど話題にもなりませんでしたし、私も買うだけ買って、まあいつか読もうぐらいで積んでました。ただ、来月かな?「マクガイヤーチャンネル」でドラマ版ウォッチメンの特集をやるので、残念ながらドラマはまだ見てないのですが、この辺のネタも出るかなぁと思って重い腰を上げたしだい。無料の前半1時間は原作とアラン・ムーアの話だけで終わるのは目に見えてますしね。楽しみです。

 

という事で読み始めた本作。
まずは

 

■コメディアン編
この世の中は不条理であって、それこそが本当の条理であると気がついてしまったが故に、じゃあ自分がその時代の体現者、おかしい人間の代表なんだとコメディアンを名乗る、でしたっけか?そういう意味じゃジョーカーと似たタイプ。というかジョーカーを「キリングジョーク」でそういうキャラにムーアが描いたって事ですけども。

 

ベトナム戦の極限においてと、後は帰国後に政府の雇われ裏仕事で倫理や理性がおかしくなっていく、みたいな感じが描かれるのですが、この辺はその背景にある政治事情とかを知らないとわかりにくい。ってかゴメン、私は全然わかんなかった。色々な映画を見て少しは知ってる部分はあっても、全体像みたいなのまでは前々私把握しきれてないなぁというのを痛感。

 

正しくとまではいかなくても、せめて自分なりにでもそういった所を飲み込めていれば、色々と読んでて楽しめるのかなと思ったのですが(例えばあの事件や人物をこういう解釈にしたのか!とかね)残念ながら今の私にはわからず。

 

ひたすら続く戦争の残酷描写だけを見て、この狂気の世界が彼を変えていったんだとか言いたいんでしょ?はいリアルリアル、つーかグリムアンドッグリッティ面白い?なーんて安易な答えを言ってしまえる以前に、まず話すらよく飲み込めてないという始末。つかケネディ一家なんでこんな何人も居るのよ。誰が誰だかよくわからん。

 

ブライアン・アザレロ版「ジョーカー」も、ん?狂気ってこういうもんなの?みたいなよくわからん感想しか持てませんでしたが、ちょっとそれに近いものを感じました。

 

 

ロールシャッハ
ウォッチメン一の人気キャラのシャッハさん。解説で「弱いのが少し気になる人も居るかもしれないが」とか書いてますが、私の中ではボコボコにされるロールシャッハはむしろ「らしい」と感じました。本編の方だとそういうシーン無かったっけかな?確かにチンピラを軽くあしらってはいましたが、絶対に勝てない相手にも屈しないというのがロールシャッハではあったので、その編に共通点を感じたのかも。

 

ダイナーでのやりとりなんかも、非常にロールシャッハらしい。
タクシードライバー」とのリンクも文芸全般の引用が大きなウェイトを占めていたウォッチメンならでは、という感じがする。

 

う~ん、でも「なんとなくそれっぽい」印象以上では無かったかなぁ?一度本編を読み返してからこっちの方が良かったかも?ただ、確か少なくとも4回くらいは読みなおしてるはずですが、1日2日でサクッと読み返せるものじゃないからウォッチメンはちょっと大変なんですよね。

 

とりあえず次もこのまま行きます。
2巻目は「ミニッツメン/シルクスペクター」編。
お、先日「ニューフロンティア」読んだばかりのダーウィン・クックですね。


という所で2巻に続く。