僕はこんな事を考えている ~curezの日記~

見たもの読んだものなどの簡単な記録と感想のチラシ裏系ブログ

ドゥームズデイ・クロック

ドゥームズデイ・クロック (ShoPro Books)

DOOMSDAY CLOCK
著:ジェフ・ジョーンズ(作)
 ゲーリー・フランク(画)
訳:中沢俊介
刊:DC COMICS 小学館集英社プロダクション ShoProBooks
アメコミ 2020年
収録:DOOMSDAY CLOCK #1-12(2017-19)

 

誰が
DCユニバースを
見張るのか?

アメコミの金字塔『ウォッチメン』の正統続編が遂に登場。
ウォッチメン』とDCユニバースが出会う時、
終末時計の針が進み始める……。

 

ウォッチメン』の結末から7年後、世界は再び核戦争の危機に直面していた。
人類を救うため、オジマンディアスとロールシャッハは、ドクター・マンハッタンを探し求めてDCユニバースへとたどり着く。
しかし、DCユニバースもドクター・マンハッタンによる歴史改変の影響で、かつてない危機を迎えていた……。
歴史的傑作『ウォッチメン』の正統続編にして、DCユニバースの歴史を揺るがす大作が堂々刊行!

 

発行こそDCコミックスながら「ウォッチメン」は他のユニバースとは関連しない独立した世界で展開した物語だったが、ここに来てまさかのDCユニバースとの統合という事で話題を振りまいた「ドゥームズデイクロック」

 

勿論、ウォッチメンのオリジナルクリエイターであるアラン・ムーアはノータッチ。ムーアさんにお伺いを立てた所で、そんな下らない企画が面白いものになるはずがないと一蹴してくれるでしょう。

 

これ以前の、ウォッチメン前史を描いた「ビフォア・ウォッチメン」もそうでした。面白い部分はありつつ、やっぱり二次創作の域は出ず、それは並のタイトルなら許せても、それ以前と以降では全てのコミックの在り方を変えてしまったと言われる「ウォッチメン」という歴史に残る作品でそれをやっても、そのオリジナル作品が持っていた価値や偉大さと比べると・・・という感は否めませんでした。

 

今回の作品もぶっちゃけ同じです。頑張って作ってるのはわかる。ゴメン、でも私は読むタイミングがあまりにも悪すぎました。だって私、これと「プロメテア」を並行で読み進めてしまった。

 

ウォッチメン」の作者であるアラン・ムーアが、それを超えてくるくらいのコミックの、いや創作そのものの進化を本気でやったのが「プロメテア」です。私にとっては「ドゥームズデイクロック」が商業的理由で、ただの出涸らしにあやかった卑しい作品にしか思えなかった。

 


いや、ちゃんとドゥームズデイクロックも色々と考えて作ってあるんですよ。決して安易なだけの企画では無いし、面白い要素もある。ただ「プロメテア」の圧倒的なコミックの進化のさせ方と比べちゃうとね、何をやってるのかなと。

 

え~!ドゥームズデイクロック面白いじゃん!っていう人が居ましたら、プロメテアと比べてどうっすか?と一言加えて聞きたい。というか意図せずそういう視点で読んでしまったという点だけ考慮していただければ。

 

正直に言ってしまえば、別に絡ませる必要の無かったウォチメンキャラを、ただの話題性の為だけに利用したDCという視点から私はなかなか抜け出せませんが、そこで辿りついた結論が、全ての起点はスーパーマンであるという、いわばメタ要素を絡めてくるというのは面白い部分だとは思うんです。

 

全てのヒーローコミックはスーパーマンから始まったものなんだと。例えリブートしようと、別世界であろうと、その根源はスーパーマンであると。ただ、そんなのってニール・ゲイマンとかグラント・モリソンとかも前にやってなかったっけ?って思うような今更感があるし、もしムーア先生なら、そんなスーパーマン以前にまで遡ると思うんですよね。まさにプロメテアなんかはそういう事をやてたわけだし。そこを考えちゃうとさぁ、う~ん狭いなぁと感じてしまった。

 

オタクがオタクの中だけで通じる設定遊びを必死こいてやってるような狭さ。そこに籠められたテーマ性やメッセージ性もわかるっちゃわかる。何も無いように見えるマイムとマリオネットの残したものが希望なんだってのも面白いとは思うんだけど、どうしてもそれはDCユニバースとかウォッチメンユニバースの中の話に思えてしまう。

 

私はね、ウォッチメンで2つ好きな部分があります。
それは、ラストのシーモアに対しての、お前みたいな出来そこないでも、一生に一度くらいは価値のある仕事をやってみせろ!っていう部分が、現実の自分への問いかけに思えたし、そこが今回の「ドゥームズデイクロック」ではないがしろにされていて、話の都合上仕方ないとはおもうけど、なんか凄く残念だよなってやっぱり思ってしまう。
もう一つ好きなシーンは「熱力学的奇跡」を語るなんですよね。映画版でもここカットされてて、え?ウォッチメンで一番大事な場面じゃんって私は思っちゃったんですけど、私が今、そんなに悩まずに生きてられるのは、この世界はそんな熱力学的奇跡で成り立っているものなんだっていう認識を持てたからというのが大きい。

 

他にも好きなシーンとかはいくつもありますけど、一番大きいのはこの二つ。作中の中だけでなく現実に対してのメッセージだと思うし、実際に私はそれを受け取って、それを胸に生きている。私にとって「ウォッチメン」とはそういう作品です。

 

それをDCユニバースの設定どうこうなんて話で語られてもさぁ・・・へぇそうなのねくらいにしか思えない。
しかも方や「プロメテア」ではウォッチメンを超えるものを描こうとしてるのに。

 

好きな人には申し訳ありませんが、これならまだ社会に対する向き合い方とかそういう面でHBO版ドラマの方がまだウォッチメンっぽかったかなと思います。

 

つーかこれねぇ、DCユニバースってあと20年後30年後だってまだ続くはずなんですよ。勿論、今後もファイナルなんか何度も超えたクライシスを繰り返して世界観をリブートしつつもね。そんな中で、今回の奴はウォッチメンを絡めましたって、そんなの要るかなぁ?後から見た時、安易な企画だったってなってそうで、なんかそこまで想像しちゃって微妙でした。

 

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