僕はこんな事を考えている ~curezの日記~

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魔女見習いをさがして


おジャ魔女どれみ20周年記念作品 映画『魔女見習いをさがして』予告編

LOOKING FOR MAGICAL DOREMI
監督:佐藤順一、鎌谷悠
日本映画 2020年
☆☆☆☆


<ストーリー>
教員志望の大学生ソラ、帰国子女の会社員ミレ、フリーターのレイカ。年齢も住む場所も悩みも全てが違う3人だったが、不思議な巡り合わせで一緒に旅に出ることに。3人は「どれみ」にゆかりのある様々な土地を巡る旅を通し、大人になって忘れてしまっていたそれぞれの大切なものを見いだしていく。

 

おジャ魔女どれみ20周年記念作品「魔女見習いをさがして」を見て来ました。
まず一番最初に言っておきます。わたしは「おジャ魔女どれみ」詳しくは知らないし、当然思い入れもありません。その前提の上での感想というのはご理解頂けると助かります。

 

多分、この作品を観に行く多くの人は「おジャ魔女どれみ」に程度の差はあれど、それなりに思い入れや思い出がある人が大半だと思います。なので、おそらくはこの作品を見る上では少数派の意見、みたいな感じで楽しんでいただければと思います。

 

ただそれも、実はちょっと中途半端で、「おジャ魔女」を全く知らないけど見た、みたいな方が逆に面白いのかと思うのですが、そうではないのが若干心苦しい所でもあります。

 

まずは私にとっての「おジャ魔女どれみ
ご存知の通りというかブログを見ていただければわかりますが、私は結構な重度の「プリオタ」です。プリキュアを愛してやまない人。プリキュアにハマって、女児向けのアニメとかちゃんと見た事なかったけど、意外と面白いものなんだなと思って、他の女児向けアニメにも色々と手を出してみました。勿論、名作として名高い「おジャ魔女どれみ」もDVD1巻分くらいは見てます。他にも色々手は出してみたものの、実はそんなにハマらなかった。

 

唯一、「プリパラ」だけリアルタイムで見てて、それは思い入れがあるし好きなんですけど、セーラームーンとかもアイカツも序盤だけ見て、まあいいか、になってしまった。そりゃプリキュアだって序盤の数話だけではなかなか難しいと思うし、長い奴は全部見ようとか思うとちょっとハードルが高い。

 

おジャ魔女」も多分ちゃんと見て行くと面白いんだろうなとは思う。東映アニメーションの作品ですので、プリオタにとっても「ハートキャッチ」はどれみ系譜なのは知ってるし、今回の監督の佐藤順一は「HUG」でも監督やってますしね。いつかちゃんと見てみようかな?とは思ったりはするものの、これがなかなか。プリキュアはバトル物でアクションがあるし、私はプリキュアってやっぱヒーロー物として見てる部分が大きいので、その辺の差で入りやすさとかは違うのかな?という気はしてます。色々見てみると、私は特別に女児向け作品全般が好きっていうのでは無さそうでした。

 

まあでも「おジャ魔女」はファンも多いので、色々と話は聞こえてきて、私なりに解釈すると、日常の問題を魔法で解決する魔女っ子物の系譜なんだけど、時に魔法だけでは解決できないような現実の重たい問題なんかも扱っていて、その辺りが高く評価される要因にもなっている、みたいな印象です。見てない人なりに、ですけどね。

 

なので今回の映画は、そういう知らない人なりの印象としての私が思う「おジャ魔女どれみ」そのままの映画でした。実際それが当たっているかどうかはわかりません。

 

うん、でもやっぱり重たかった。そうか、やっぱりこういうのがどれみなのか!と言う感じで、そこはとても面白かった。

 

当時は子供向けに作っていたので、今回のような話は作れなかったけど、その大人版を作るなら、やっぱりこういう大人向けの悩みとかの話をやるよね、作る方はこういうのがどれみっぽさでしょ?って出してきて、見る方は、そうそうこういうのがどれみ!まさしくこれ!的な感じになってたように思います。

 

ただのノスタルジー、なつかしコンテンツとして、またどれみちゃんと再会出来て嬉しいっていう所だけに終始せず、大人向けにおジャ魔女どれみを作るとこうなるよ、っていう感じがして、そこがね、物凄く面白かった。

 

その上で、小説で展開していた大人になったどれみちゃん達の話をそのままやるわけでもなく、普通にというかメタ的というか、子供の時に夢中になって応援してくれていて、今は大人になったあなた達にとって、どれみは何を残してくれましたか?みたいな事をちゃんと描いてあるのがとても良いです。

 

同じ東映コンテンツで、丁度予告もやってましたが「セーラームーン」はリメイクという手法をとりました。「プリキュア」は今も続くコンテンツとして継続し続けています。「どれみ」は前述のような小説版として大人になったどれみとかで一応続いてはいたものの、一般的には一度終了したコンテンツです。


私はノスタルジーとか「懐かしい」っていう言葉が嫌いなので、あまり使いたくはないですが、一般的には今回の映画ってなつかしコンテンツですよね。セーラームーンプリキュアとは違う方向性の作品を作ってきたのは、東映ホントに上手いなと感心します。色々な方向性をやれる東映の強みだし、じゃあどれみはどれみにしか出来ない事をやっちゃおうっていう凄さ。これには感心するしか無いです。

 

個人的に、こういう路線、私はメチャメチャ好き。いわゆるツボです。子供の頃に見ていたヒーローが、今でも心の中で生きていて、勇気や強さ、逃げ出したくなりそうな時、負けるなって背中を押してくれる存在。だから今でもヒーローが好きだし、今の子供たちにも今見てるヒーローがそういう存在になってほしいと心から思う。

 

サム・ライミ版のスパイダーマンのメイ伯母さんのセリフが私は大好き。
「誰の中にもヒーローは居るわ。だから気高く生きられるの」
どれみ見て無いのに今回映画を観に行ったのは、多分そういう事をやってる作品であろう事が想像できたから。あ、多分これ私の好きな奴だ、そう思えたから。


うん、観た甲斐はあった。

 

「どれみ」が自分にとって特別なものであった人程には絶対に響いてない。そこはちょっと悔しい。でも、それでも良かった。

 

ソラ、ミレ、レイカの3人。髪の色とかビジュアル的に、どれみ、葉月。あいことちょっと似てる部分がある。でも実は押しはそれぞれ違ってたりする。この辺りのセンスも抜群。自分に似てる部分を見つけたり、あるいはこうなりたい自分だったりもする。そこは単純にコピーになりきる事じゃ無い。自分の中の大切な物があればそれでいい、そんな感じが本当に上手い。

 

世代も上は27で下は19とちょっと幅があるのも面白味。リアタイは一番上のミレさんだけだった、後はDVD借りて見たりしたんだよ、っていうのも今風でちょっと面白いです。ソラさんBD持ってるぽかったけど、子供の頃に見てただけでなくて、もう少し物心ついてから見返して、子供の頃はわかんなかったけど、実は結構凄い事やってたんだなって気付いたりした感じなのかな?そんな風な部分を想像するのも楽しい。

 

で!こっから結構重要。4番手のおんぷちゃん的ポジションが男性ファンだったりする辺りが私にとってはこそばゆい。しかも名前が私の本名と同じりゅういち君と来たこれが!

 

ちょっとドキドキしつつ、ああいうオチにもっていったのは私的にはアリです。今でも僕にはおんぷちゃんしかいないんです!とか言う男にロクなやついないと思います。うん、しょうがない。

 

でもあれって、女の子向けの作品だけど、男のファンも居るよっていう部分で、その辺りを組み込みつつも、そこわかってるけどあえて分別を保って今回はこういう役回りをしてね、って言われたらそこは素直にわかりましたって言うしか無いわな。変に夢を見せてくれるよりあれはあれで良い役だったんじゃないかと。

 

うん、思い入れは無いけどOPの「おジャ魔女カーニバル」のしっとりバージョンだけで正直泣けたし、世代だった人達の背中を再びそっと押してくれたり、或いはここで初めてどれみってこんな作品だったんだなって気付きを得たりする事が出来たのなら、こんなに素敵な作品はそうそう無いと思います。

 

残念ながら私にとっては心の奥底まで響く特別な作品にはなりえないんだけれど、きっと誰かにとってそういう作品なんだろうな、と思える本当に良い作品だったと思います。

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