原題:Marvel's Jessica Jones
原作:MARVEL COMICS
アメリカ制作 配信ドラマ 2015年 全13話
☆☆☆
ディズニープラス・・・ではなく、ネットフリックスで配信されたMCU基準のドラマシリーズ。「デアデビル」に続いて次にスタートしたのがこちらの「ジェシカ・ジョーンズ」です。
ネトフリドラマは「デアデビル」のシーズン1と2は見ました。ブログに書いてないのでその前の一昨年になるのかな?そっちは凄く面白かった。
ついでに言うと評判の悪かった映画デアデビルも私は大絶賛な人です。そこはいずれ見返した時にでも書きます。
ネトフリドラマは今だと扱いが微妙になってますよね。最初はMCUと世界を共有するという形で作られてましたが、マーベルスタジオ制作ではないので、「ワンダビジョン」以降次々に配信予定のドラマシリーズと違って、MCU作品としてはあまり取り上げられる事が無いと。制作スタジオの違いやメディアの違いもあり、正直連携はあまり上手くとられていなかった。「デアデビル」も「ジェスカ・ジョーンズ」も「アベンジャーズ」後のNYが舞台になっているものの、基本的にはセリフの一言二言程度で語られる程度で、クロスオーバー要素はほぼ皆無でした。
これもMCU作品としてカウントするのであれば、初の女性主人公作品という事になるんですけどね。本国ではシーズン3までで終了。他のドラマも全て2019年に打ち切りになって、2年間はネトフリ以外のドラマには出せないという契約になっているようで、その期間が終わる今年の2021年からマーベルスタジオもネトフリドラマのキャラクターを使えるようになる。キャストはそのままで映画なりドラマなりに登場してくるのか?というのが今後の注目ポイントです。
「デアデビル」のマット・マードックは弁護士。「ジェシカ・ジョーンズ」は私立探偵と他の作品のチョイ役で出すのには凄く使いやすいキャラですし(原作でも話のメインではなくちょこっとだけ出るケースは多い。ついでに「ルーク・ケイジ」も「アイアンフィスト」もアベンジャーズでは割と重要メンバー。MCUでも使いたいキャラのはず。どうなるのか見守るしかありません。
原作ついでに言えば、ジェシカはスパイダーマン/ピーター・パーカーと同級生。流石にその設定は映画では使えないわな。勿論、スパイダーマンに昔から居る古参キャラとかではなく、ただの後付けですし、原作だと比較的新し目のキャラです。
「かつてスーパーヒーローのジュエルとしてアベンジャーズに参加していた時期もあったが、複雑な事情があって今は引退して力を隠して探偵事務所を開いた」という設定で2001年に作られたキャラクター。wikiなんかを見るとドラマの項目でもこの辺が書いてあるのですが、ドラマを見た限り(少なくともシーズン1の段階では)ジュエル時代はこのドラマの世界観では無いはず。だから序盤でトリシュに「ヒーロー衣装を作ってみたの」って言われて、「そんな恥ずかしいの着ねーよ」になってるんじゃないかと思います。wikiを安易に信じちゃダメですね。もしかしたら以降のシーズンで明確にそこに触れてるのかもしれませんので、信じるかどうかは自己責任で。
その辺りの初登場エピソード単体と、その後にルーク・ケイジと恋仲になってやがては結婚、子供を生むにまで至ると言う流れは邦訳版のある「ニューアベンジャーズ」で語られてるので、邦訳読みには馴染みのあるキャラクター。
ドラマとしてはアクション要素は忘れたころにたまに派手な画面もやっておこう、みたいにたまに入る程度で、基本的にはサスペンスドラマ。探偵として色々な事件を解決していくオムニバスでもなく、言葉で相手をマインドコントロールしてしまうヴィラン、キルグレイブとの戦いを軸に描いてある。
ドラマなので、最初に多数のキャラクターを出しておいて、話が進む中で色々なキャラクターの背景が明らかになって行き、肉付けされて行くという構成なので、序盤が結構キツイ。前半でキルグレイブの所に乗り込んで行くとこまでは我慢が必要かも。
面白いかどうかは別としてもドラマとしての作りは非常に上手くて、脇役のどうでもいいキャラの話が随所に入ってきたりして、序盤はこれいるかな?メインの話をもっと進めてよ、と思っちゃうんだけど、見事なくらいに全員が終盤はメインの事件に関わってくる。ああ別に脇の話をやみくもにやってたわけじゃなかったのね、と思い知らされます。
勿論、ジェシカの能力の出自とかシーズン2に引っ張る要素もあるんだけど、協力者になる市警のウィル以外はほぼ収束してくれる。で、そのウィル・シンプソンは名前は違うんだけど、原作で言う所のニュークだった様子。ああ、だからドーピングで能力持ちみたいになってたのね。ニュークはキャプテン・アメリカとかにも関わってくるウェポンプラス計画の超人兵士。この時点ではコスチュームとかは着ないけど、ゆくゆくはヴィランとしてこの世界で使えるキャラに育てようとしてたのか。
で、シーズン1としてのヴィランはキルグレイブ。原作のコードネームのパープルマンの名前こそ出ないけど、紫のジャケットでその辺りは上手く処理してます。言葉で人をコントロールしてしまう上に、とにかく見ていて嫌悪感をこれでもかと抱かせてくれる、ドラマとしては物凄く良いキャラ。本当に憎たらしくてとことん嫌な奴なのが凄く良い。
ジェシカのスーパーパワーは基本的にパワー系なので、そこで逆にヴィランがマインド系の敵っていうのが凄く面白い。パワー比べなんていずれインフレするだけだし正直つまんないしね。キルグレイブあってこそのこのドラマが成立したし、独特の面白さが出てる要因にもなってたんじゃないかと。
マーベル映画は悪役のキャラが立ってないのが多いと言われがちですが、キルグレイブは良いヴィランだと思います。ジェシカとヒーロー家業を一緒にやってみたりとか、実は親がどうのとか、ツイストを入れつつ、監禁状態から抜け出す一連のシーンはこのドラマで一番面白い部分でした。おいおい、これ、吉良良影じゃん!って感じでゾクゾクしました。
ルーク・ケイジは序盤から出てくるんですけど、どうせ次のドラマやる為だけの布石でしょ?感が強くて、案の定途中は全く絡まず、チームアップしてキルグレイブを一緒に倒すという感じでも無いものの、他人を受け入れないジェシカの変化という面では終盤ではそれなりに意味があったように思うし、まあ原作でも特別な関係になるわけですし、こういうのも必要ではあったかな?という気はしたかも。
最後に出てくるデアデビルにも出てた看護師(声が本田貴子)も嬉しかったし、そこはルークも含め、「ディフェンダーズ」への仕込みかなとも思いますし、そっちはそっちで楽しみ。ただ、ルーク・ケイジとアイアンフィストまではあってもディフェンダーズは私の行くとこのレンタル店には置いてない。いずれ見たい作品ではあるのだけれど。
と言う事で「ジェシカ・ジョーンズ」シーズン1、大分クセの強い作品ですし、安易にオススメ出来る作品では無いんだけど、それなりには楽しめました。