僕はこんな事を考えている ~curezの日記~

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Go!プリンセスプリキュア ミュージカルショー プリンセスランドをすくえ!

Go!プリンセスプリキュア ミュージカルショー [レンタル落ち]

2015年(7月18日(土)梅田芸術劇場メインホール公演を収録)
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TVシリーズ12作目「Go!プリンセスプリキュア」ミュージカルショー収録DVDです。「フレッシュプリキュア」から続いていたソフト化もここで打ち止め。ショー自体は今も続いてるはずですが、ソフト化されてるのはここまでで、次の「魔法つかいプリキュア!」以降は出なくなっちゃいました。面白いかどうかと言えば正直微妙な所ではありますが、資料的価値としては残らないのもそれはそれでちょっと残念かも。

 

とか言いつつ、流石にこのシリーズ、私は正規の新品とかは一度も購入してない。これまで見てきた奴は全部中古で買ったものです。(映画とかはここ数年はちゃんと新品買ってるので許して)ブックオフとかにね、結構置いてあるんですよこれ。TVシリーズは1年分なので、のBDなりDVDを全部揃えるってのは流石に大変でしょうから、1本で完結してる映画とかこういうのでないと、なかなかね、ソフトを買うと言うのは難しいのかなと思うし、子供の為に買ってあげたけど、いずれは手放すという人が多いのかと思います。

 

こういう着ぐるみショーみたいなものもプリキュアにとっては定番化しているものの一つで、単純にアニメ作品だけでは終わらないプリキュアコンテンツの一つとして大切な要素。

 

視聴率が悪いだの、おもちゃの売り上げが悪かったので、プリキュアももうマンネリ化してるからそろそろ打ち切りになるんじゃないか?みたいなのネットだとすぐに言う人が居るんですけど、じゃあ仮に終わって次の新しいコンテンツを立ち上げるとして、こういう所にまで目配せしなきゃならなくなるわけで、それはそれできっと大変だと思います。


勿論、キャラクタービジネスですから、需要が無くなれば容赦なく終わりは訪れるとは思いますが、少なくとも最低50億もの売り上げを保っているくらいならそう簡単に終わるものでは無いのかな?という気はしています。

 

だってさ~、戦隊とかも近年は売り上げが落ちてどうこう言われてるけど、50億から多くて100億稼ぐコンテンツの後釜を考えろつったって、なかなか難しくないですか?私は仕事で管理職とかもやってるので、会社の売り上げとかも見なきゃいけない立場です。前年の売り上げに対して今期はどうこうとか考えるとさ、単純にアイデア一つで全く新しい物に勝負を賭けるとか、正直なかなかツライものがあるぞ。

 

それはともかく、今回まででその後はDVD出なくなっちゃったわけですから、その中での変化は色々とあるんでしょうけれども。東映的に今後を見据えて、今はプリキュアを親子2世代コンテンツへ育て上げる努力をしてる最中ですので、その辺りがどうなっていくのかが見所です。ヒープリの映画にプリキュア5が出るのもその辺りの営業戦略としての流れの一環だと思います。多分。

 

さて今回のミュージカル。プリンセスランドのプリンセスパーティに参加する事になったGoプリ一向。けれど、行ってみるとディスダークに支配されていた、というようなお話です。

 

かろうじてねむり姫、白雪姫、かぐや姫の3人のみ逃げ隠れていたものの、そこにもディスダーク三銃士の魔の手が、って感じなのですが、ここでちょっと面白いセリフがあって、なんとかその3人を救出する事が出来たものの、そこで一人が言うんですよね。「王子様が居れば助けてくれる」と。そこでプリキュアは言うの「私たちは王子様じゃないけど何とかしてみるよ」って。

 

ここ、まさにプリキュアですよね。誰かに自分の運命を委ねるんじゃなくて、「自分の足で凛々しく立つ事」、それがプリキュアの初代から続く基本的なコンセプトです。

 

勿論、それはプリキュアだけに限った話じゃなくて、近年のディズニープリンセスの自己批評なんかにも共通する、近年の潮流の一つでもある。

 

ライムスター宇多丸なんかがよく言ってるけど、昔はそれこそディズニーアニメみたいなものが、女の子は王子様と結ばれるのが幸せな事なんだと、いかにもなジェンダー論を押しつけてきた。けれど、それってどうなの?男はこうあるべき、女はこうあるべきみたいなものの社会からの圧力になってない?みたいな世間の流れがあって、そこを近年のディズニープリンセスは王子様の隣にいるだけが女の子じゃないよっていう路線に変わってきた。「アナ雪」がまさにそうでしたし、「ラプンツェル」だって「シュガーラッシュ」だってそういう方向。ってかシュガーラッシュのヴァネロペちゃんは露骨にそういう物に対してのパロディーというか、自己批判が籠められた作品でした。

 

プリキュアもね、東映自社の「セーラームーン」との差別化という意味もあったんでしょうけど、タキシード仮面的な王子様には頼らないというのは作品の決めごととして初代から明確に決められてました。

 

そもそも初代の何かの記事にも書きましたが、女の子向けの作品で主人公のカラーをブラックにするっていうだけでも過去に前例のない相当な冒険をしてるわけです。(で、サブカラーにピンクを使って、お供の妖精は黄色という女の子が好むカラーを使って保険をかけてたというのが商売上のテクニックです)女の子だからってこう、みたいな決めつけはやめようねというコンセプトが明確にあったのがプリキュア

 

で、こちらは前作「ハピネスチャージプリキュア!」のコンプリートブックの時に書きましたが、王子様どころか神様をプリキュア達を束ねる存在として配置して、その神様さえもプリキュアに学ぶ、という所までを描いていました。

 

他にも、ヒーローであるプリキュアは自分の幸せより、自分を犠牲にしてまでも世界の為に尽くさなければならないのか?みたいな所まで含めて、割とプリキュアは前作のハピチャで行きつく所まで行っちゃった感はありました。

 

そこで次のモチーフが今作の「プリンセス」です。女の子のあこがれでもある文字通りのプリンセスですが、実は「Go!プリンセスプリキュア」という作品では「プリンセス」という言葉に単純に「お姫様」としてだけではなく、違う意味も籠められている作品になっています。その辺に関しては、まあまたコンプリートブックの記事を書く時にでも語る事にしますが、前作の「ハピチャ」からまたちょっと違うシフトチェンジをしてみせた作品でもあります。

 

これ以降、作品ごとに明確にわかりやすいモチーフを持ち込んだという表層上の変化だけでも、ここからが言うなればプリキュア第3期とも言えるものにはなっていますが、そういう見た目の違いだけでなく、テーマというか、語り口も変わってくるという意味で、まさしく第3期と言える内容になってくる。

 

詳しい説明は後々にするとして、ここは勿体ぶって言わないのもあれなので、ストレートに言ってしまえば、この作品以降は「自己実現としてのプリキュア」を描くようになって行く。発想の転換という意味でのパラダイムシフトがおきるわけです。

 

それが意図的なものであったのか、たまたまそうなっただけであるのかは作り手がどうこう言ってる部分ではないので、作品の読みとり方次第でもあって、そこが面白い部分でもある。

 

前述のミュージカル中のシーンの「私たちは王子様じゃないけど何とかしてみるよ」っていうセリフ一つだって、たまたま話の流れでそう言っただけなのか、それを意図してプリキュアの本質的な部分として入れたのかは誰にもわかりません。ただ、そこから読み取れるものがあるっていうのが面白さですよね。

 

同時代性の変化としての例として「ディズニープリンセス」の話をしましたが、例えばライバルコンテンツと見なされる事が多い(私はそうは思わんけど)「アイカツ」とか「プリティー」シリーズは何をどう描いているのか。少しだけ例に出しましたが私は「セーラームーン」さっぱり詳しく無いですし、あるいは「どれみ」とは何が違うのかとか、その辺、誰か本でも書いてくれませんかね?私はそういうのが読みたい。

 

話が若干脱線したので元に戻すと、今回のミュージカル版、なんとピンチの時にキュアラブリーとキュアハートが駆けつけてくれます。ショッピングモールとか遊園地でやってるようなショーだと、先輩ヒーローがかけつけてくれるって結構定番ですし、プリキュアもそっちでやってるような話だと、よくある展開なのですが、ソフト化してる物ではこれが初だったのでちょっと嬉しいサプライズです。

 

ちゃんとモードエレガント状態の着ぐるみ衣装もあったり、色々と頑張ってはいる。

・・・というか締めがあなた「プリキュア音頭」ですよ。頑張りすぎじゃねーか。

プリキュア体操&プリキュア音頭~スマイルWink~

プリキュア音頭」ってね、要は企画盤のCDですよ。カップリングが「プリキュア体操」という。オールドアニメとかだと音頭物って結構ありましたし、戦隊だと今でもたまにやったりしますよね。プリキュアでは今回のゴープリの時に初めて作られたのですが、当然そんな企画盤もTV本編でも宣伝として使ってくれってなるものでしょう?でも、TVの方ではあまりに作品との世界観に合わないというのもあってか(だってエレガントさを売りにしてる作品ですから)、使ったのは一応使ったのですが、話の終わり際にちょこっとイントロだけが流れて終わると言う、ギリギリ抵抗した感じが垣間見える使い方でした。

 

因みに次作の「まほプリ」では堂々と使ってます。作風の違いなんでしょうけど、ある意味そういうカオスさがまほプリの懐の深さでもありました。でもゴープリでもこっちでこんな堂々とやってたのね。

 

春映画と言い、秋映画といい、このミュージカルにせよ色々とね、TVシリーズ以外の部分では実験要素強めの作品ばっかになっちゃってて、TV監督の田中裕太氏としては、ちょっと歯がゆい部分もあったのかなと勝手に想像してしまいます。


TVシリーズが過去作品とはちょっと違う面を打ち出してきた作品なだけに、周辺までは足並みがそろって無いというか、過渡期故のいびつさとでも言うか、そういった所まで含めた面白さ、と肯定的に捉えた方が良いのかもしれません。

 

と、いった所で次はゴープリ秋映画「Go!プリンセスプリキュア Go!Go!!豪華3本立て!!!」です。

 

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