僕はこんな事を考えている ~curezの日記~

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ニュー・ミュータント

ニュー・ミュータント (字幕版)

原題:The New Mutants
監督・脚本:ジョシュ・ブーン
原作:MARVEL COMICS
アメリカ映画 2020年
☆☆☆★


<ストーリー>
未熟さゆえに特殊能力を制御できず、辛い過去を背負った5人の若者。極秘施設で訓練を受ける彼らの前に、突如現れた謎のモンスター。恐怖で錯乱する中、さらなる危機が訪れる。運命に抗う闘いの結末とは…。

 

と言う事で待望の「ニュー・ミュターンツ」改め「ニュー・ミュータント」。
マーベル原作、20世紀FOX作品ながら何故かディズニープラスで配信されず、今後のカミングスーンにも入って無かったので、レンタルしてしまいました。

 

「X-MEN」シリーズ13作目。にしてFOX版としては最後。「ダークフェニックス」で最後のX-MENとか言ってましたが、それもそのはず、こちらはダークフェニックス前の2018年に一度完成したものの、試写での評判がすこぶる悪かったらしく、再編集やら追加撮影になると言われつつ、ディズニーのFOX買収やら、その後のコロナやらで4度の延期。色々やろうとしながら、最初の奴で良いんじゃね?と、投げやりな感じで結局は昨年に劇場公開。ただ、日本では劇場でかかる事も無く、ソフトスルーという事になってしまった色々と不運な作品。

 

20世紀FOX版X-MEN、振り返ると企画が2転3転したり色々とありました。でも映画ってX-MENに関わらずそういうものです。MCUがあそこまでコントロール出来てる方が映画業界としては異形であり、だからこその偉業なわけですよね。

 

そんなこんなで、ようやく見る事が出来たニュー・ミュータントですが、個人的には大変面白かった。が!正直やはり一般受けはしないよなこれ、というのが凄くわかる作品でした。

 

これねぇ、ベン・アフレック版「デアデビル」と同じ感じかなぁ?って気がします。作品として目指してるものと、客が求めるものが違ってる感じ。

 

デアデビル」私の中では傑作ですが、世の中的には「何このスパイダーマンを地味にした感じの奴?」という反応が大きかったように思います。いやそれがデアデビルだし、原作の持ち味を十分に生かしきれたとは確かに言えないけれど、それでも十分にドラマとして面白かったじゃん。

 

今回の「ニュー・ミュータント」アメコミヒーロー物を青春ホラーの文脈で描いた作品です。このアプローチがまずとても好き。

 

X-MENシリーズ、3作目の「ファイナルディシジョン」は評判が悪く、あれは私の中でも最低レベルな作品ではあるのですが、当時参加してた映画サークルで、「あれ評判悪いけど自分は面白かったんだけどな」っていう人が居ました。へぇ、どの辺なのかな?と思って話を聞いてみると、その人にとってX-MENシリーズは能力バトルのVFXとかが魅力だったらしい。前より派手だし面白かったと。


その後のシリーズの流れを考えると、一般的には確かにそういうものかなとは思うんですよね。私みたいな重度のオタクならともかく、ただ映画が好きぐらいの普通の人にとってはヒーロー映画なんて今でもそういうものなんじゃないかと思います。

 

そんな感じで「ヒーロー映画」としてニュー・ミュータントを見た時に、それはもういかにも物足りないのは間違いない。


じゃあ今回の売りと言うか特色の「ホラー」として観た時どうなのか?ここもね、物凄~~~く中途半端。雰囲気は悪くないと思うのですが、基本的に主人公らがミュータントとして特殊能力持ちなわけで、まだ幼くて十分に能力をコントロールは出来てないけど、どう考えてもどこかで覚醒して敵を撃退するのは誰が見てもわかる展開。心の底から、これはヤバい、うわ死にそうとか思えないんですよね。いつ反撃するのかっていう感じで見てしまう。

 

じゃあ残りの青春物としてはどうなのか?個々のキャラクターの背景がみんな特殊すぎて(そりゃミュータントですから)、いわゆる「わかり味」みたいなのを持ちにくい感じになってるのが少々微妙な所。こういうチーム物というか、アンサンブル劇ならば、数多くの人物の中で、自分はこのタイプに似てるかも?なんて感情移入してしまうからこそぐっと物語を身近に感じられたりするわけで、その部分でもちょっと難があるように思える。

 

こうして書くと、欠点ばかりの作品に思えてしまいますが、ある意味でその全てが中途半端な部分こそが私にとっては物凄い魅力な作品でした。

X-MENというヒーロー物を、違う文脈のアプローチから描くっていうのがメチャメチャ面白いんですよね。

 

アメコミヒーロー物としては、やっぱりDCが王道で、マーベルはそれに対して別のアプローチを試みるからこそ、王道とはまた別の面白さが生まれる。ヒーローチームなのに内輪揉めばっかりしてるから、そこに人間らしさをより感じさせてくれた「ファンタスティック・フォー」と、筋骨隆々で常に正しい行いをするスーパーマンとは正反対で、やせっぽちのオタクで嫌われ者のクモがモチーフの、ヒーローらしからぬ失敗から生まれた「スパイダーマン」からマーベルは成功していくわけで、「X-MEN」だっていわば奇人変人のマイノリティ集団というのがマーベルらしさと言える部分。

 

王道、あるいは普通とは違うアプローチをしてこそのマーベルらしさ。「ニューミュータンツ」だって、X-MENが人気が出た後に、若い2軍のミュータントヒーローとして生み出されたものの、そんな商業的理由だけじゃなく、1軍には出来ない2軍だからこそのもっと違うアプローチをやろうよ、ってなったのが今回の原作エピソードのデーモンベア編だったりするわけで、原作の面白さを十分に生かしきれたとは言い難いものの、それでもらしさを感じる部分がちゃんとあって、そこが私は物凄く面白かったし、凄く楽しめました。

 

X-MENと世界観は共有しつつ、(劇中には出ませんが、X-MENが居る世界だと言う事は明言されてます)そことは違うアプローチを試みる。そこだけでももう私はワクワクします。

 

アメコミって、スーパーヒーロー物だけが全てじゃないし、日本の漫画程には多種多様とは言いにくいですが、ちゃんとヒーロー物以外のジャンルはある。ただそれでもスーパーヒーロー物がメインストリームである事は確かで、それ故にマーベルユニバース、或いはDCユニバースとかのヒーロー世界の中でサスペンスであったりホラーであったり、ヒーロー物と言う背景の中で別ジャンルとして描いたりするのが特徴で、私はそういう所もアメコミの魅力だと思ってる人です。

 

だからね、私はこういう作品がとても好き。スーパーヒーロー物だから派手なアクションの見せ場が必要だなんて全く思わない。変な話、ヒーローが居る世界観でアクションの全くない法廷サスペンスを描いたら、それはそれで全然アリだし、むしろそういうのが見たい。ヒーローを軸にしたジャンルミックス作品というか。


なのでね、今回みたいな作品には本編ともまた違った魅力にワクワクさせられるのです。

 

今回の映画、軸としては「力」は使い方によって良い方向にも悪い方向にも転がってしまう、思春期になって大人として目覚めて行く時に、不安になったり、必要以上に恐れを抱く必要は無いんだよ、心持ち一つでより良い方向に進んでいってほしい、的な話かと思いますが、それをまどろっこしい感じでやってるだけですよね。決して上手くはなかったとは思うけど、こういう話、私は好きです。通過儀礼の話とか私の大好物ですから。

 

原作の「デーモンベア」ってビル・シンケビッチのアートだけが良いわけじゃ無くて、読んでみると話も意外と面白い。その原作の魅力を100%は生かし切れて無いな、とは思うけど、今回の映画は映画なりの面白さもありましたし、べた褒めは出来ないけど、決して嫌いにはなれない作品でした。X-MENシリーズでは中の上くらい。

 

一般的に求められるX-MENとはあえて違う物をやろうとした事は素直に褒めてあげたいです。

 

え~?マジック(イリアナ・ラスプーチン)こんな性格なの?しかもキティのパートナーのロッキード居るしどゆこと?と思いながらも、まあこれは映画のアレンジとして、とは思ったし、ダニエル・ムーンスターもクライマックスでは頬に血を塗って一族の矜持を見せてくれるんだろうなと思ったら、それ無いし、ウルフスベーン(レーン・シンクレア)もキャノンボール(サム・ガスリー)もサンスポット(ロベルト・ダコスタ)も性格違~う!と思いつつ、こういう見せ場とビジュアルかと、何だかんだやっぱり嬉しくなりますし(つーかサンスポットって「フューチャー&パスト」にも出てたような)これはこれで続きが見たかったなぁと悔やまれる1作です。

 

DCでもやってるし、元々マーベルはコミック以外のメディアもマルチバース扱いなので、MCUでも過去映画はマルチバースだった展開はいずれやると思うのですが、これも含めたX-MENシリーズも何らかの形で無駄なものにはならない事を祈ります。つーかデッドプールはマーベルスタジオで3やるの確定してますしね。

 

とりあえずは一応の区切りとして、MCUでのミュータントの登場を待ちたいと思います。

 


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予告編の雰囲気から変えてきてますね


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