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ニューミュータンツ:デーモンベア

ニューミュータンツ:デーモンベア

NEW MUTANTS : DEMON BEAR
著:クリス・クレアモント、ジョン・フランシス・ムーア、クレイグ・カイル、クリストファー・ヨスト(ライター)
 ビル・シンケビッチ、ジム・チェン、マイク・チョイ(アーティスト)
刊:MARVEL ヴィレッジブックス
アメコミ 2020年
収録:THE NEW MUTANTS v1#18-20(1984)
 X-FORCE v1 #99(2000)
 X-FORCE v3 #7-10(2008-9)
☆☆☆

 

「能力を開花させたばかりの十代のミュータント」という初代X‐MENのコンセプトと「世界各国から集ったメンバー」という新生X‐MENのコンセプトを引き継いで誕生した『ニューミュータンツ』。しかしこのシリーズに真の飛躍をもたらしたのは、新進気鋭のアーティスト、ビル・シンケビッチだった。従来のコミックアートの枠を軽々と打ち破ったそのアートは、やがて本シリーズを独自の高みへと押し上げていく事になる。名作「デーモンベア」編に加え、その解決編である『X‐フォース』も収録した完全版。シンケビッチがもたらした衝撃が今、ここに蘇る。

 

一度は完成までこぎつけたものの、試写での評判が悪かったらしく、再撮影やら幾度となく延期を繰り返している映画版「ニューミュータンツ」。散々、FOXのX-MEN系列の最後と宣伝されてた「ダークフェニックス」より後になってしまい、やっと公開が決まったものの、今度はコロナで延期と言うもはや誰にも期待されて無い感じの作品ですが、ハードルを下げると逆に思ったより面白いんじゃね?くらいの評価はされそうです。私も楽しみに待ってますよ。

 

で、その原作の中の一つがこのデーモンベア編という事らしいです。
90年代のX-MEN関連の邦訳の中にもクロスオーバーの一編くらいで「ニューミュータンツ」もあったような無かったような。どっちかと言えばこの後すぐにケーブルに率いられ「Xフォース」にタイトル変更になってからの方が印象が強いチームかも。

 

ライターはX-MENと言えばこの人な感じのクレアモントですが、今回はアートの方のビル・シンケビッチがその才能を開花させた作品として有名な一編のようです。


シンケビッチと言えば当時も日本語版アンソロジーマーヴルクロスで「デアデビル:ラブ・アンド・ウォー」が掲載されて、そのペイントアートはとてもインパクトがありました。近年の映画版「スパイダーバース」でキングピンがその時のシンケビッチ風に描かれててオマージュされておりました。

 

84年のニューミュータンツの他に、完結編としてその後のXフォースも収録されてますけど、実質完結編と言うより関連作くらいの感じ?Xフォース3期は4話分収録されてますが、デーモンベア絡みの部分だけの抜粋収録なので、実際の分量は1話分くらいしかないです。しかもそっちの方はダニ・ムーンスターじゃなく同じくシャイアン族のウォーパス絡み。なので基本的にはニューミュータンツのデーモンベア編がメインの本になります。

 

宛らホラーコミックに近い感じで、ストーリーもサイコサスペンス風。シャイアン族という自身の出生に関わるデーモンベアに一人で立ち向かうダニの矜持もグッと来るものがありますが、チームの仲間として伝統とは関係ないキャノンボールとかマジックが立ち向かう、というのがある意味ではX-MENらしいです。

 

X-MENは学園物要素が特徴だったものの、それは割と初期のみで、人気が出たのはウルヴァリンとかストームとか加入したリニューアル後。「恵まれし子らの学園」という背景は引き継ぎつつも、各国から色々な人材が集められる混合チームが特徴になるので、そういう所が多様性というテーマにも繋がって行くわけで、そこでセカンドチームとして学園物の要素を引き継ぐ形でニューミュータンツというタイトルが生まれたと。

 

でそのニューミュータンツがXフォースになった当時はまた新世代として「ジェネレーションX」とか当時は学園物やってましたね。あの時のキャラはあんま生き残って無い感じしますけど、その時にヴィランだったエマ・フロストを先生役として迎え、今はエマってX-MEN側のメインキャラになってる事を考えるとその辺りが功績なのかも。

 

ニューミュータンツだと今回の話ではただやみくもに突っ込むだけの男、キャノンボールことサム・ガスリーとサンスポット/ロベルト・ダコスタ君が後にアベンジャーズ入りするやらAIMを買収するやら、出世してますね。

 

後は何と言っても、前髪パッツン中二キャラ(だって彼女の武器がソウルソードですよ)、コロッサスの妹のイリアナ・ラスプーチンことマジックさん大活躍です。魔術師系キャラとしても有能な便利キャラですし、アベンジャーズvsX-MENでも兄貴と共に5つのフェニックスフォースを継承したりとかなりの出世ぶりです。そんな彼女の昔が読めただけでも私はとても嬉しい。

 

ダニ・ムーンスターもデーモンベアも私はほとんど知らないキャラでしたが、こうやって昔の作品も読めるのはすごくありがたいし、いっぱい読みたい。映画のX-MEN2の元になった名作として名高い「ゴッド・ラブズ・マン・キルズ」もいつか邦訳出るの待ってます。

 

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