僕はこんな事を考えている ~curezの日記~

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フォードvsフェラーリ

フォードvsフェラーリ [AmazonDVDコレクション]

原題:FORD v FERRARI
監督:ジェームズ・マンゴールド
アメリカ映画 2019年
☆☆☆★

 

<ストーリー>
ル・マンでの勝利を目指すフォード・モーター社から依頼を受けた、元レーサーのカーデザイナー、キャロル・シェルビーは、常勝チームのフェラーリ社に勝つため、フェラーリを超える新しい車の開発と優秀なドライバーの獲得を必要としていた。シェルビーは、破天荒なイギリス人レーサーのケン・マイルズに目をつけ、一部上層部からの反発を受けながらもマイルズをチームに引き入れる。限られた資金と時間の中、シェルビーとマイルズは力を合わせて数々の困難を乗り越えていくが……。


という事で「フォードvsフェラーリ」です。批評家筋からの絶賛もあり、昨年のベスト10とかでも挙げる人が多かった作品。私も劇場公開時に観に行こうかなとは思いつつ、結局はスルーしてしまいました。

 

私は実は車関連の仕事をしてたりするのですが、正直な所、全然車には興味が無かったり。モータースポーツも全くと言って良いほど知りません。(てかスポーツ全般にそもそもあまり興味が無いのです)
映画とかでも「ワイルドスピード」とかまだ1本も見た事ありません。レース物とかカーチェイスが話題になったようなアクション物とかも、なかなか興味が湧かず。そんな背景があって、この「フォードVSフェラーリ」も絶賛されてる作品だから一応見ておこうかな?ぐらいの感覚で居て、結局タイミングが合わずに劇場では観ていなかった、という感じ。

 

うん、映画としてはやっぱり凄い。
マット・デイモン演じるシェルビー、クリスチャン・ベイル演じるマイルズ。ええとね、私はあまりこういうオラオラでやったもん勝ちタイプの人はあまり好きではありません。感情移入とかはとてもしにくい人種。

 

勿論、良い映画=感情移入出来るかどうかなんて言うつもりは全く無い。思わず感情移入してしまって、自分にとっては特別な作品になる、というケースはやっぱりあるけれど、それだけが全てかというと、そうじゃない作品もそりゃああるよね、とは思ってる。

 

私の中ではあまりピンと来るタイプでは無いので、その点であまり好きな感じの作品では無いのですが、それでも終盤のマイルズの独走に関しては、ここまで来たら行ってしまえ、あなたが丸くなる必要なんか無いよ、と思えてしまったくらい感情を動かされた。そういう意味じゃとても凄い映画だと思う。

 

私はどっちかつーと協調性みたいなのもある程度は必要だと思う方だけど、いや、そこは大人になる所じゃ無いはず。なんて思っちゃったくらいですし。映画として典型的な悪者とかを配置してるのもあるんでしょうけど。

 

実録伝記物ですので、知ってる人は話の流れ、結果がどうなるかとかは知ってて観てる人も居ると思うのですが、いや確かにこれは映画化したくなる話だなと。特に先ほどの周回を合わせてゴールというのと、さらにその先の顛末。ここはフィクションで付け足したのかと思うくらい、え?そりゃないよと言いたくなる結末が待っていて、そこは非常に驚かされました。

 

レース、モータースポーツのかけひきや面白味なんかに関しては正直今でもよくはわからないのですが、わかならないなりにグッと来る面白さもあったので、その点でもやっぱり凄い。

 

でもちょっと今でもよくわかんないのですが、シェルビーがフェラーリのピットに入ってストップウォッチ盗んだり、ボルトをわざと捨てたりしてフェラーリ側を混乱させるじゃないですか。あれがドラマとして緊張感が続いてる中でのほっとさせる笑いのシーンなのか、それとも勝負っていうのはそういう汚い手まで使わないと勝てないんだよ、正面切って戦うだけじゃなくこんなずるい手まで使わないと届かない相手なんだっていう事を言いたいのか、どちらなのかがよく判断がつきませんでした。おそらく両方の要素ではあるとは思うんだけど。

 

今回はあまりエンジニアの方を掘り下げて描いて無いのですが、そこはあえて今回はこういう個人の人物像を掘り下げるドラマとして描いたのであって、この歴史を考えれば、メカニック全般的な挑戦だった事は素人的にも想像できますし、また違う角度での描き方も出来そうな題材だなと思ったってのと、それに関する部分であろう、先ほども書いた典型的な現場を知らないお役所仕事しかしない悪役みたいな人物配置は、個人か企業か、的なテーマをより強調する為に、あえてメカニック側は取り立ててチームとしては描かない、という形になってるのかなと思えて、そこはやや微妙だったかも。

 

史実を踏まえて観る人はそこに色々と想像を重ねられそうですが、単純にある意味フィクションとしての映画として割り切った場合、個人と企業の体裁みたいな部分はちょっととってつけた感もありました。

 

フェラーリという巨人・絶対王者に挑んだフォードという部分と逆にフォードという大企業の中で個人はどうあるべきか?みたいな所が上手くリンクしているようなしていないような、という。逆にそこにモヤモヤが残るくらいの方が深みと受け取ってそこが好評価にも繋がってるのかもしれませんが、何分私は興味の薄いジャンルだった事もあって、やや乗り切れず、な感じでした。

 


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