僕はこんな事を考えている ~curezの日記~

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樹海村

樹海村 [DVD]

監督・脚本:清水崇
日本映画 2021年
☆☆☆★

<ストーリー>
「お姉ちゃん知ってる?この箱が置かれた家はね、みんな死んで家系が途絶えるの…」。
人々を戦慄させる禍々しい古くから伝わる強力な呪いを、歪な木々や地を這う根が生える、不気味で壮大な樹海の奥深くに封印した。
――13年後。姉妹の響と鳴の前に、あれが出現。そして、樹海で行方不明者が続出する。
自ら向かったのか?それとも魔の力に吸い寄せられているのか?恐怖が、いま再び解き放たれる。 

 

「犬鳴村」に続く、恐怖の村シリーズ2作目。
前作から引き続き「呪怨」の清水崇が監督を務める。

 

前作も悪くなかったですし、次作「牛首村」まで含め、それなりに好調なシリーズ。超絶怖い!とか、超絶面白い!とまではいかないまでも、マーケティングの上手さと言うか、清水崇が大人になったなというか、色々と面白い作品でした。

 

前回も確か書いたけど、「リング」に始まったJホラーブームの中で清水崇の「呪怨」ってエポックメイキングだったんですよ。本人もどこかのインタビューで言ってた気しますけど、幽霊とか怨念のわびさびで成立していたJホラーに、とにかく怖い物をガンガン見せちゃえという、まるでお化け屋敷かのようなドッキリビックリを持ち込んで、とにかく怖えーよ!で一世を風靡した、ある種反則で成り上がった作品。

 

でもね、え?ホラー映画って怖いのを見たいからその作品を見るんでしょ?とにかく怖がらせてくれるなら、それ最強のホラー映画じゃん!っていうのが世間であり大衆なのでしょう。ホラー映画と恐怖映像集の違いなんて世間には無いのです。

 

ホラー映画のレビューとかで、「大して怖くなかった」とか書きたがる人を見ると、つい「ふふふ」って思っちゃう私。バカにしてるんじゃないんですよ。それはそれで一つのホラー文化として、肝試しの時代から、ヤンキー文化としての根性論みたいなものもあり、マイルドヤンキーと化した今の時代なら、ユーチューバーとかに繋がっていて、ちゃんとこの映画もユーチューバーの肝試しから話がスタートする辺り、ああわかってるなぁという感じがします。

 

これがアメリカのスラッシャー映画なら、それこそヤンキーとかチャラ男とビッチが
犠牲になり、処女性の高いヒロインがファイナルガールになる、というお約束展開は、
ただのお約束だからやってるわけじゃ無く、文化史的にも意味や意図を見いだせるから
ああいう事をやっている、というのと通じる部分の面白さです。

 

ホラー映画で前半死ぬキャラは、あえて薄っぺらなキャラ造形だったり好感のもてない言動や行動をさせることによってあえて感情移入とかさせない作りになってる。じゃないと「しんどい」から。

だからこそホラー映画を見て「こんなの大した事無いぜ、全然怖く無いもんね」と、そんな所で強がる事がカッコいい事と思っている姿は非常に微笑ましい。

 

そして、だったらとことん怖がらせてやるぞ的な思想で作られた「呪怨」の清水崇監督がね、ただのビックリ箱ではなく、日本の文化や風習、風土に纏わるものを起点に作ってるこのシリーズ、その作風の変化がとても面白いなと感じます。

 

ただ、この監督らしさもあって、怖い物をごちゃまぜミックスしてる感があるのは清水監督らしさかなとも思う。

自殺者が集まるとされる富士の樹海と、そこでは現世とは隔離された村があるのではという都市伝説を軸に、さらにコトリバコなんかも絡めてある。

 

コトリバコって前にも何かの映画で見た記憶があるんだけど、それが何の映画だったか思い出せない。「コドリバコ」っていうタイトルで、まさしくそれを軸にした映画もあるみたいですが、私が見たのは絶対にそれじゃない。今回の映画みたいに、物語の中盤終盤辺りでぽっと出て来た記憶があるんですよね。

 

その時には「小鳥箱」って記憶があって、何かの民間伝承が元ネタなんだろうなくらいにしか思わなかったのですが、今回の映画でまたコトリバコに遭遇して、調べてみたら「小鳥」じゃなく「子獲箱」なんですね。子供を獲ってしまうという。しかも民間伝承とかじゃなく、2ちゃんねる発生のネタ話だったとは。「鮫島事件」みたいなものだったのか。

 

前に見た奴は何の作品だったか思い出せず、色々調べてみたのですが、結局わからず(なんかそこもホラーっぽい)

 

ただもしかしたらアニメの「オカルティック・ナイン」かも。記憶では実写だった気もするのですが、実際オカルティックナイン私見てますし、それの記憶違いだった可能性は十分にありそう。

 

映画の話に戻ると、そんなコトリバコと樹海村の絡め方はやや強引な感じはしますけど、自殺者の死体=グロ要素もあれば、それが蘇ってくるゾンビ的な感じもありつつ、樹木と同一化してるものなんかはクリーチャー的な面白味もあり(コケ生えてるゾンビとか今まで見た事無いあたらしいビジュアルに思えて凄く良かった)、それでいて怨霊・幽霊的なものもあれば、サイコホラー、サイコサスペンス的な部分なんかもあるし、結局はこれも怖い物をごちゃまぜミックスしてある辺りは、やはり清水監督といった所です。

統合失調症とかを安易に使っちゃうのは、あまり良い手とは思えず、そこはちょっとなぁ・・・という感じはしましたが。


あと、突然のトラックどーん!はちょっと違和感がありました。洋画とかでよくあるやつでね、いっつも心臓飛び出そうになるんですけど、今回の映画はテンポなのか見せ方なのか、多分コンマレベルとかの何かなんでしょうけど、何か一瞬もたついてるように感じました。不思議。

 

とはいえ、飽きさせない緊張感と、かつてのJホラーっぽさもありつつ、アメリカンホラーのテイストも感じつつ、ちゃんとじめじめした日本の怖さみたいなのもあって、不思議な魅力のある作品に仕上がっていて、とても面白かった。

 

あまり良い役ではありませんでしたが、工藤遥が出てるのも個人的にはありがたい。
次の「牛首村」にも東映特撮俳優出てますかね?そこもちょっと楽しみ。

 

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