僕はこんな事を考えている ~curezの日記~

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グーニーズ

グーニーズ 特別版 [DVD]

原題:The Goonies
監督:リチャード・ドナー
アメリカ映画 1985年
☆☆☆☆

 

<ストーリー>
アメリカ、オレゴン州の田舎町グーンドッグ。マイキーは、喘息持ちの少年だが、
父が話す冒険物語に憧れていた。マウスやチャンク、データの愛称で呼ぶ親友達とグーニーズを結成していた。ある日、父の屋根裏部屋で偶然見つけた、”片目のウィリーの宝の地図”とメダルを手掛かりに冒険の旅へ。弟を捜しに来た兄ブランド、アンディ、ステフらも一緒に同行することに。
海の近くのひなびたレストラン。”ウィリーの宝の地図”によると、地下に宝が眠っているようだ。マイキーはその痕跡を地下で見つけるが、レストランを根城にしていたのはフラッテリー一家だった。
MIHOシネマさんより引用


リチャード・ドナー監督追悼企画その3。これまた有名作品の「グーニーズ」です。


とは言え、私のグーニーズとの出会いは映画よりもファミコン版の方が先だったかな?「悪魔城ドラキュラ」を始めとして、私は当時のコナミ作品が凄く好きで、ファミコングーニーズも、映画ゲームとしての出来はともかく、普通にアクションゲームとしてとても良い出来でしたので、好きな作品の一つでした。そこから「コナミワイワイワールド」にもマイキーが出てましたし、「グーニーズ2」も前作とはちょっと違う感じにはなりつつ、クリアまで頑張ってた気がします。

 

映画も子供の頃にTVで見てた記憶はありますが、ゲームとは特に結びつけて見てた感じではなかったかな?今回、映画を見返して、ゲームで敵のギャングが音符攻撃とかしてたのはちゃんと映画に元ネタがあったのね、とか、ゲームはマイキー一人が主人公で、各面ごとに囚われた子供達を助けて行くみたいな展開だったのですが、もし今ゲーム化するなら、子供たち事のそれぞれの得意技みたいなのを生かすゲームになるかなぁとか色々考えてしまいました。

 

大人になってからも一度見返していて、子供向け映画ではあるし、比較対象として「スタンド・バイ・ミー」とかを持ってきたら、そこは間違いなくスタンドバイミーの方がずっとずっと優れた映画ではあるんだけど、グーニーズみたいな映画もこちらはこちらで、ただのガキ向けと一蹴してしまうには惜しい作品だし、また別の価値がある作品だなと改めて感じたものでした。

 

今回、改めて見返すとね、グーニーズもまたマイキーの通過儀礼の話なんだなぁと。自分の家が不動産屋に買われて?取り壊されてゴルフ場になってしまうというのは、大人の理不尽に押しつぶされる子供っていう事ですよね。呼吸器とかビー玉とかの小道具の使い方も、子供である事の象徴で、それを捨てて大人になるっていう描写ですし、自転車と車の使い方も「子供」と「大人」の対比になってる。

 

いや自転車ってね、やっぱり子供時代の象徴だと思うんですよ。ここでいう自転車は「ロードバイク」とかそういうのじゃなく、昔ながらの自転車ね。
私の個人的な話ですけど、高校生の頃に毎日片道1時間くらいかけて自転車で学校に通ってました。向かい風だとつらくてね、必死に漕いでもなかなか前に進まない。でもそんな必死になってる私の横を車が悠々と追い越して行くわけですよ。あれね、物凄く理不尽だなと思った。
なので免許取れる歳になったらすぐに私は原付の免許取って原チャリ乗ってました。部活とかしないでバイトしてましたしね。高校生でバイクを乗り回すヤンキーとかじゃないんですよ。私は当時からオタクでしたし。理不尽を自分の頭と体を使って覆すんだと。当時からそういう意識で私は原チャリ乗ってた。多分、変わってる人だと思います。

 

マイキーの兄貴のブランド(なんとジョシュ・ブローリンだ。若い!)が免許の試験に落ちたって言ってるのは、大人になりきれない人と言う暗喩ですし、同級生で車に乗って女を連れまわして、ブランドをバカにする奴って、あの不動産屋の息子だったりするですよね。要は彼は理不尽を強要してくる側の人間っていう事です。そこは明らかに対比として描いてある。

 

そしてマイキー。何とか片目のウィリーの元まで辿りつく。で、そこで金貨の代わりにマイキーはビー玉を置いていくんですよね。そこって、少年時代はここに置いていくよ、っていうメッセージになってる。だから最後の呼吸器を捨て去るのも、もうこんなものに頼らなくても、これからは自分の力で生きて行くんだっていう少年時代への決別になってるし、ウィリーの海賊船が海の彼方へ消えて行くのも、同じような意味です。

 

物語の中盤、先の冒険者が倒れ朽ち果てていた、「願いの井戸」の地下までグーニーズたちは辿りつく。井戸から外に出られるかもしれない。でも、マイキーはただ一人、この先まで進もうと皆を鼓舞する。願いの井戸にコインを投げ入れて、神様願いを叶えて下さいとただ神頼みするような人間のままでいいのか?願いは自分の知恵や勇気、努力で叶えるものではないのか?という岐路に立ってるんですよね、あそこって。

 

何なら皆でおしっこをするシーンでさえ、大人はこっちだ、ってぞろぞろ場所を移動するような変なギャグシーンも、あれはちゃんとそういう背景に沿った描写だったりする。ヒロインの子がマイキーとお兄ちゃんを間違えたりするのも、コメディ的な描写に見えて、あれはマイキーが振られるという意味のある描写になってる。

 

あきらかにこれ、「通過儀礼の物語」というバックボーンが背景に見える。そういう意味では「スタンドバイミー」と描こうとしてるものは何ら劣る部分なんか無い。が!グーニーズの面白い所は、そこを背景として匂わせるだけで、表層上は徹底的に子供向け映画として作ってある部分。

 

制作総指揮・原案はスティーブン・スピルバーグ。監督はリチャード・ドナー。そして脚本はクリス・コロンバス。大人から見た、或いは大人が考えるノスタルジーとか通過儀礼ではなく、そういうものを背景に置いて、あくまで子供目線の映画にしよう、という作りになってるのがグーニーズの特筆すべきポイント。これはスティーブン・キングロブ・ライナーでは作れまい。

 

スピルバーグとコロンバスは子供向け映画を沢山作ってるので、そこはわかりやすいですが、リチャード・ドナーは友達で仲良しっていうだけでなく「オーメン」も「スーパーマン」もそうなんだけど、悪魔とか超人とか荒唐無稽な存在を、本気で信じて作品を作る誠実さですよね。グーニーズで言えば、大人から見た世界では無く、あくまで子供から見た世界を信じて誠実に作ってある。

 

割と有名ですが、グーニーズには未公開シーンがあって(DVDとかで普通に見れる)大ダコが出てくるシーンも撮影されたたんですね。でも実際作ってみたら、思いのほか陳腐でチャチかったので結局は使わずにカット。普通ね、子供向け映画と割り切るなら、子供はこういうの喜ぶだろうと多少変でもそういう見せ場的なの、残しそうなものですよね。所詮ガキ向けだしと舐めてたら、多分そこは残してただろうし、そこを思い切ってカットしてしまう英断こそが、リチャード・ドナーという人なんだろうなと思います。

 

いや、今見ても決して高尚な映画とかでは決して無いし、子供向けだよなぁという映画ではあるのですが、きっと自分が子どもだった時には、こういう冒険してみたかったな、グーニーズみたいな仲間が欲しかったなと、多分思ったはず。それは大人になってから見る映画の作りの上手さとか、そういう視点とは明らかに違うものだと思うし、スタンドバイミーが100点の映画だとしたら、あきらかにこっちは70点くらいの映画なんだろうけど、絶対に子供が見た時に面白いと思う映画はグーニーズだと思うし、そこって結構重要な部分なのではないかと。

 

例えばね、大人が通過儀礼を描くとしたら、何かしらの痛みをしって大人になるんだ、その世界の理不尽さを受け入れて、ただのイノセントな存在から、人生の痛みや苦さも噛みしめて大人になっていくんだよ、っていう描き方にどうしてもなるのです。でもグーニーズという作品はあえてそこを選ばす、最後は大人たちの問題をマイキーらグーニーズが解決したっていう終わり方を描いてある。やっぱり子供達の視点から見れば、そうやって問題を解決したい所を見たいと思うし、ほろ苦いラストだったな、よりもハッピーエンドの方が楽しいと思う。この辺がね、グーニーズだなぁと思う。

 

以前に何かの映画の感想でも書いてたと思うのですが、この時代の80年代とかの雑なんだけどとても良い映画みたいなのって、ただ今の視点で切り捨ててしまうのはちょっと勿体無いなと感じていて、こんな映画感想ブログとかやってる身で言うのもどうかとは思いつつ、映画評論家でも無いただの映画好きな素人が、この部分の整合性がとれていないとか、物理的にここはおかしいだとか、昔と比べてSNSだのレビューサイトだので見る側が大きな声でツッコミ入れたりして、作る方もそういうのも気にしなきゃならないような堅苦しさがあったりして、そこは良くも悪くもな部分はあるよな、とは思ったりする。

 

当然、時代に合わせて何でも変化はしていくものですし、果たして今の子供とかがこういう昔の映画を見て同じように面白いと思うのかどうかはわかりませんが、古い映画の面白さも知ってる身としては、この辺の時代の宝物も、それはそれですごく価値のあるものなんだよな、と改めて思うしだいです。

 

あ、あとね、グーニーズってTV版の吹き替えが良くって、DVD版はダメって意見を凄く見かけるんですけど、私はTV版吹き替え見て無いし、どちらが良いとかはここでは言いませんけど、DVD版はね、マイキーの吹き替えが浪川大輔なんです。今の売れっ子声優になった浪川さんじゃないですよ。子役時代の浪川さんでね、「ガンダム0080」のアルと同じ声がこの作品で聴ける。そこはとても貴重だし、ガノタな私にはそこは結構グッと来るポイントだったりします。

 

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あとグーニーズ解説はこちらがメチャメチャ面白いので是非

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