僕はこんな事を考えている ~curezの日記~

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スーパーマン

スーパーマン ディレクターズカット版 [Blu-ray]

SUPERMAN THE MOVIE

原題:SUPERMAN
監督:リチャード・ドナー
原作:DC COMICS
アメリカ映画 1978年
☆☆☆☆☆☆


何年ぶりに見ただろうか?
リチャード・ドナー監督の追悼として数年ぶりに見る。
私が持ってるのは2001年頃に出たメイキングと2とのセットのボックス版DVD。子供の頃にTV放送とかで見たかもしれませんが、ちゃんと記憶に残ってるのはアメコミにハマった後だと思われます。映画とかも色々と見てる中で、私はティム・バートン版「バットマン」とかより、スーパーマンの方に惹かれたなぁ。やっぱり、クリストファー・リーブがほれぼれするカッコよさで、タイムリープ物の名作「ある日どこかで」なんかもありつつ、その後の落馬事故で半身不随になった後もね、彼はそこからもヒーローであり続けた。

 

TVドラマの「ヤングスーパーマン(SMALLVILL)」に出たエピソードも観ましたし、私が最初に見た時にはまだリーブが亡くなる前だったと思う。

リーブの自伝「あなたは生きているだけで意味がある」も読みました。

あなたは生きているだけで意味がある

こっちの方も確か読んでるはず

車椅子のヒーロー―あの名俳優クリストファー・リーブが綴る「障害」との闘い


どんな状況にあってもユーモアを忘れないでほしいっていう彼のメッセージは実はとても影響を受けてます。ブログ書いてて、毎回では無いですが、たまに変なオチとかをつけたがるのは、多分彼の影響もあると思います。

 

半身不随、顔とかも麻痺が出て、見た目的にも、あのスーパーヒーローを演じた役者がこうなってしまったのかっていうショッキングな感じになってしまった。でもそこで彼は車椅子ギャグとかを言うんですよ。車椅子で来たからここに辿りつくまで何年もかかっちゃったよ、的な。そうするとね、場の重い空気が変わると。ああ、そう言うの触れていいんだ、みたいにね、見てる方がどういうスタンスで接すればいいんだ?みたいな迷いを払拭する為に、あえてそう言う事をする。ただの自虐とかじゃなく、意図としては相手の事を思ってやるわけです。素晴らしいなと思う。

 

このブログも今は累計2万PVとかぐらいですけど、誰も声をかけてくれないの。そんなに近付きにくいですか?私。いいのよもっとフラットに声かけてくれて。


で、お亡くなりになった後に、奥様が出された「スーパーマンへの手紙」っていう書籍もまた凄く良くてね。クリストファー・リーブへ送られたファンレター集みたいな感じなのですが、彼がいかに世の中の色々な人達に影響を与えたか、映画スーパーマンがいかに特別な作品であったかが見えてくる、こちらも名著。

スーパーマンへの手紙 (講談社シネマブックス)

とまあこの映画を語るときにはクリストファー・リーブ語りになってしまうのですが、今回はリチャード・ドナー追悼という事で、まずはこの作品が後世に与えた影響などを。

 

まずはアメコミヒーロー大作映画はこの作品がやはり元祖なので、その影響はとてつもなく大きい。DCのジャスティスリーグだけではありません。MCUだってこの映画がなければ今の隆盛は無いでしょう。

 

スーパーマンもそうですし、アメコミヒーローの映像化はこれ以前にもあった、けどもそれはあくまで子供番組でしかない。一つの映画として、大人の鑑賞にも堪え得るちゃんとした作品を作る。その嚆矢がこの作品。

 

何でもそうだけど、今は当たり前にあるものも、最初っていうのが必ずあるわけで、歴史の転換点っていうのは、実際に体験していなくても想像すると面白いものがありますね。今までこんなの見た事無い!ってものを見るわけですから。

 

勿論、そういうのは緩やかな系譜と言うか流れみたいなものもあって、「スターウォーズ」なんかもその前に似たような物が無かったわけではないけれど、SF映画というもの自体もその前くらいまでは、一部の嗜好家がいるマニアックなジャンルだったものを、一般層にまでその面白さを知らしめた、という感じでしょうし。

 

ついでに言えばスーパーマンもSWの翌年くらいなので、丁度SF映画に注目が集まって来始めた時期でもある。映画序盤の惑星クリプトンの描写なんかも、あそこに結構尺を割いてるのはそういう要素が当時としては新しくて売りにもなったからだろうと思う。

 

と、同時に、この映画2時間半弱と割と長尺です。この手のジャンルは90分でサクッと見れるくらいにしろとか後に散々言われるようになるけど、それはジャンルが定着してからの話であって、いやそうじゃない、これは超大作映画なんだって作ったわけですよね。

 

脚本を「ゴッドファーザー」のマリオ・プーゾ、ジョー=エル役にマーロン・ブランドを配置、音楽はジョン・ウィリアムズだ!とか大作らしい要素を大きく売り出しつつ、主役のスーパーマンには無名の新人俳優を起用という流れも、後のヒーロー映画に引き継がれていく要素。

 

脇を有名俳優で固めて、B級映画じゃないですよ、という体を作って、逆に主役は、あまりカラーが固まっていない人を使う事によって、スターの名前頼みでなく、そのヒーローをヒーローとして信じさせるという試みですよね。変な話、この構造にすると場合によってはヒーローよりも脇が目立ってしまって作品としては上手く行かないケースもありえますよね。そんな役をきちんとスーパーマンと言えばこの人って言うくらいのものを作り上げたクリストファー・リーブはやっぱり素晴らしいし、作る方も堂々とこれがスーパーマンなんだって信じ切って作り上げたのは、リチャード・ドナー監督の手腕という事なのでしょう。

 

ファン目線なので私は全然そうは感じませんでしたが、今見ると長くてテンポが悪いと感じる人も居るかもしれませんが、そこは逆に言えばポップコーンムービー的なものではなく、丁寧に一つ一つ積み上げていく作風とも言えますし、やっぱり面白いなと思うのは、超人VS超人とかにしなかった所です。

 

スーパーマンの宿敵と言えばレックス・ルーサー。これは原作ありきのものですが、超人に対して人間が頭脳で対抗するっていう構図がやはり面白い。原作だと後々はレックスもパワードスーツとか着こんでスーパーマンと殴り合いしたりもするけれど、それは本当に後からの話。レックス側、コメディー仕立てになってて、原作的にはそこどうなの?と思わなくもないけれど、この映画単体で見た時はとても良いと思う。

 

レックスが様々なトラブルを巻き起こす中で、そこと直接戦うのではなく、災害とか危険をスーパーマンが解決していくっていう構図になるのが最高に面白い。ジャンルで言えばディザースター要素とかパニック物とかの要素が映画に入ってる。勿論ロイスとのロマンス要素もありだ。

 

今見るとね、意外と単純じゃ無い複雑な映画だなと思うし、それをね、前例が無い中で、いかにスーパーマンという存在を魅力的に見せて行くかに注力して作ったんだなと思えて、メチャメチャに味わい深くて面白いです。まさに奇跡のような映画なんだなぁと、改めて感慨深く見れました。

 

私の中のイメージとか、その後に読んでいったスーパーマンの原作コミックなんかも含めて、スーパーマンの本質はカンザスシティの田舎町、スモールビルでケント夫妻に優しい少年として育てられたからこそスーパーマンは善人なんだっていう感じですが、この映画だとお父さんのジョナサンが割と早く亡くなってしまって、クリプトンの遺産として残してある記録の中のジョー=エルの方こそがスーパーマンの倫理観を作ったんだなぁと、意外な発見もありましたし、スーパーマンも決して完璧超人じゃなく、まだ若い部分もあれば、お茶目な部分もあるのが素晴らしい。

 

スーパーマンの初登場シークエンスもほんっっとうに素晴らしいし、個人的にはクラーク・ケントの部分の芝居が私はメチャメチャ好きだ。

 

本当に丁寧に考えて作られてあって、だからこそ最後の荒唐無稽な地球の自転を逆回転させて逆戻しする、というツッコミ所120%な部分も、理屈では無く感情で許せる、ああ大切な人を取り戻せて良かったねって思わせてくれて、心からワクワクさせてくれる本当に面白い作品だなぁと、改めて感じさせてくれました。

 

勿論、ノスタルジックな感情が入ってるのは否定しません。ファン目線で見てるのも否定はしません。映画のもっているワクワク感、見ている間はその世界に没頭できる幸福感、そして今も続くスーパーヒーロー物の系譜としての祖、そして何より、私が何でヒーローが好きなのかって言ったら、厳しい現実を生きる勇気を与えてくれるからですよ。現実はこんなに甘くは無い、辛い事悲しい事だらけですよ、真面目に生きてる人が損をするようなものこそが現実です。でも、それでも出来る限り真面目に、そしてなるべくなら誠実にとなんとか生きて行こうと思うのは、心の中に住むヒーローがちょっとだけの勇気をくれるからに他なりません。

 

映画「スーパーマン」最高じゃないですか。


クリストファー・リーブに、マーゴ・キダーに、そしてリチャード・ドナー
心からありがとう。


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