僕はこんな事を考えている ~curezの日記~

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死霊館 悪魔のせいなら、無罪。

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原題:The Conjuring: The Devil Made Me Do It
監督:マイケル・チャベス
アメリカ映画 2021年
☆☆★

今日、あなたは初めて、悪魔を見る。<実話>

 

<ストーリー>
1981年、家主を22度刺して殺害した青年は、悪魔に取り憑かれていたことを理由に「無罪」を主張した。被告人の供述は一貫して「ぜんぶ、悪魔のせい。」法廷に神が存在するなら、悪魔も存在するというのだ。
殺したのは、人か?それとも…!?姿なき存在を証明するため、心霊研究家ウォ―レン夫妻が立ち上がる。被告人を救うため、手掛かりをもとに、警察に協力し捜査を進めるウォーレン夫妻だったが、とてつもなく邪悪な〈何か〉に極限まで追い詰められていく。「その存在」をどうやって証明するのか?アメリカ史上初、前代未聞。〈すべて実話〉の殺人事件。衝撃の真相がついに明らかになる――。


死霊館ユニバース8作目。いわゆる本編「死霊館」としては3本目。スピンオフの「アナベル」シリーズの方が先に3本も作られて追い越されるという変な展開してますね。私はこのシリーズ後追いですが、好きで全部観ております。

 

今回はシリーズ立ち上げのジェームズ・ワンは制作のみに回って、監督はスピンオフの「ラ・ヨローナ」から本編監督に格上げとなったマイケル・チャベス

 

実在するオカルト研究家のウォーレン夫妻の話を元にしている映画なので、所謂実話です。トゥルーストーリーってやつです。


映画でよくありますよね、「実話に基づく」っていうクレジットが入る奴。ああいうのを素直に信じちゃう人はこの映画もちゃんと信じて下さいね。ドキュメンタリーを素直に実話だと思ってる人もちゃんと信じようね。
いや、実話である事に偽りは無いよ。ヤラセとかそういう意味じゃない。世の中の物は全て他人のフィルターを通して語られるものっていう自覚が必要だよね、という話です。

 

さて今回の元になっているのは1981年のアーニー・ジョンソン事件。殺人事件で起訴された青年を、弁護士が「悪魔にとりつかれたのが原因なので本人は無罪」と主張したという話がベース。

 

最初にこの作品の邦題を知った時は、ああ~死霊館もここまで落ちぶれたか、ネタに走ってB級物として売るしか無くなったか、と正直ガッカリしました。最初からB級物と割り切って作るホラー映画が多い中、「アナベル」とかはともかく、「死霊館」前2作は、昔ながらの本気で作ってるA級ホラー映画のテイストが感じられて(90分尺でなく2時間尺ですしね)そこが私は凄く好きだったんですよね。だからいかにもB級くさい邦題にダッカリしちゃったんですけど、映画の概要をしってーくと・・・ああこれ面白そうかも?と考えを改めました。

 

所謂これ、「悪魔の証明」ってネタじゃないですか。
悪魔の証明って何ぞや?という方は、きちんとした所はwikiででも調べてくれれば良いですが、凄く簡単に説明すると。「悪魔は存在する、と主張するならその根拠や証拠を提出しなさい・・・と言うのならば、悪魔が存在しないという根拠や証拠を証明しなければならない」って奴ですね。

99%ありえないと言う所までは証明出来ても、残りの1%を完全に0にするまで証明できなければ、無いとは断言できない。その1%を証明するには99%よりも労力を要するので実質不可能に近い、みたいなある意味での屁理屈に近い理論。

ああ、そんなんを映画でやるんだって思ったら、俄然楽しみになりました。果たして法廷で悪魔の存在が認められるのか?って凄く面白いじゃないですか。

 


以下ネタバレですのでご注意を。

 

 

 

 


遂に法廷で悪魔の存在が公に

 

 

 

 






 

認められねェ!

 


普通に敗訴。いやそれ当たり前だろって感じですが、元の事件のあらましを知らなかった私は、負けんのかい!って突っ込みたくなりましたよ。


いやいやいやいや、「死霊館のシスター」とかで普通にヴァラク様とか描いてたシリーズなのに、そこで証明は出来ないんだ?ってちょっと笑ってしまった。

 


ここね、終わってみれば納得だなぁと思う所があって、「死霊館」の前2本って、基本的に最初は心霊現象とかオカルトを最初に否定する所から始まるんですよ。

そこはウィリアム・フリードキンの「エクソシスト」に習った描き方で、これまでも散々書いてきた気がするけども「エクソシスト」の面白さって、実はそこにあって、悪魔憑きとか今の時代でナンセンスですよ、ああいうのは精神疾患の問題で・・・って一度否定されるんです。そして焦燥していく様がドキュメンタリータッチで描かれて、もう誰にも頼れないってなった時にようやく悪魔払い師が現れて、ようやく救われるのかと思いきや・・・みたいな所が最高なんです。そこは価値観の反転という映画的なカタルシスを計算した見事な(というか基本的な)演出方法が成されているから「エクソシスト」は不朽の名作なんです。スパイダーウォークが怖いとかそんなのは完全に映画としてはどうでもいい部分。

 

でも、今回の映画っていきなり序盤でエクソシズム儀式が行われますよね。ホラー描写というか、見栄えの部分ではそこがこの映画のクライマックスです。そこは物凄く面白かった。

 

でもやっぱり映画としては最初がいきなり頂点で悪魔はいるんだって描写をしておきながら、最後はそれ証明できませんでしたで終わるって、そりゃあカタルシスもへったくれも無いわな。これまでの「死霊館」とは逆をやってるわけですし。

 

う~ん、このシリーズ、真面目に作ってる所が良い部分だと思うんですけど、今回はその真面目さ、史実ではこうなりましたよ、みたいなのを取り入れてるからか、逆にそこが裏目に出ちゃった気がします。序盤は良かっただけに、少し勿体無いなぁと。

 

サイコサスペンス要素みたいなのはむしろ「エクソシスト3」でも意識しちゃったのかな?「エクソシスト3」も名作なんですけど、ちょっと死霊館に当てはめるのは難しかったかも。死霊館本編ともまた路線はちょっと違うんだけど、大衆向けの怖さが作風になってる「アナベル」シリーズとか「死霊館のシスター」もあれはあれで面白いと思うし、ああいうのも私は嫌いじゃ無かっただけに、なんか今回は変な方向に舵を切っちゃったかなぁ?という印象がぬぐえません。

 

「007」と同日公開で、やっぱ私はジェームズ・ボンドよりもこっちだよな、と死霊館の方を選んだのですが、う~ん今回はちょっと残念な出来でした。次があればまたそっちに期待。

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