総監督:藍乃才
原作:荒俣宏『帝都物語・戦争篇』
日本映画 1989年
☆★
<ストーリー>
昭和20年長い太平洋戦争で、日本は深く傷つき、帝都・東京も死に絶えようとしていた。霊的指導者・観阿彌光凰は日本を勝利へ導くため、連合軍首脳を呪い殺そうと計画を進めていた。側近の霊能力を持つ青年、中村は幼い頃からそのパワーを強大なものにさせるべく育てられていたのだ。
「帝都物語」に続いて2作目のこちら。ってかこっち、ほとんどTV放送とかしてないのかな?恐らくは初見。記憶に残ってるシーンが一つも無かった。
って言う前にさ、何これ?大作映画から一気にB級ホラーに成り下がってました。
う~ん、う~ん、当時はVFXとか特殊効果とかそういうのが持て囃されて、それだけで十分な売りになった時代だったのは子供ながらに何と無く記憶してます。
前作で絶大なインパクトを残した嶋田久作演じる魔人加藤が再び!そこはまだ良いです。でも歴史物としてのスケール感や、テーマ性があっての面白さだった前作から、それを全部スパッととってしまうというのはいかがなものか。当時の制作背景とか知らないですけど、前作がヒットしたから速効で続編を無理矢理作った的な感じですよね?これ。
陰陽道とか風水、そういうのも無くして、ある意味これは当時の流行りみたいなものだったのかもしれませんが、オカルト+サイキックバトルみたいな変な展開に。物理でエクトプラズムとか口から吐き出すとか初めて見たわ。
グロシーンとか結構あって、そこは割と見所ではあるんですけど、個人的に、あ~これダメだわって一気に萎えたのが、超能力研究で頭に変な装置つけてるシーン。いや、あの、この手のガジェットは決して珍しく無いとは思うんですけど、個人的にね「エクソシスト2」の、今見ると強烈にシュールな画を彷彿とさせて、一気に気持ちが萎えてしまった。エクソシスト2も残念続編の代表と言いたくなる物凄く微妙な作品なんですよ。その次の「エクソシスト3」は隠れた名作扱いなのですが。
時は第二次大戦末期。追い込まれた日本は、呪術で連合国のトップを呪い殺す計画に出るとか、凄く頭のおかしい日本らしさ全開で、もしかしてこういうのあったかもしれない!みたいなアイデアの面白さもあるし、人を救う僧侶が呪いで人を殺そうとするとか正気の沙汰じゃないって突っ込まれるとこ、面白いです。
加藤もまた戦争で無念さを抱えて死んでいった者たちの怨念の集合体だ、的な所も面白い設定。何故かお笑いタレントの野沢直子が出てて、病院は安全よと言った瞬間に無残に撃ち殺されたり、子供の頭に虫の胴体とかグロ描写も心地良い。面白い部分や見所はいくつかある。
でも、こんな子供騙しの薄っぺらい話じゃなかったのになぁという前作との変わりように、残念な気持ちの方が圧倒的に大きい。
多分、TVで放送するのに評価なんて関係無いでしょうから、内容うんうんではなく、単純にグロシーン満載だからTVではやらなかったとかかな?
・・・いやでも昔は普通にホラー映画とかも洋画劇場でやってたし、「エルム街の悪夢」とかトラウマになる怖さだったけど、それでも面白くて私は何度も見た記憶あるからなぁ。普通にTVでも何度かやってたけど、たまたま私が見て無かっただけでしょうか?
良い方(前作)の記憶だけ残ってたのはもしかして幸福な事だったのかもしれない。
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