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ドクター・ストレンジ(MCUその14)

ドクター・ストレンジ MCU ART COLLECTION (Blu-ray)


原題:DOCTOR STRANGE
監督・脚本:スコット・デリクソン
原作:MARVEL COMICS
アメリカ映画 2017年
☆☆☆☆★

 

MCUフェイズ3の2本目。過去作にも脇役とかで出てたりはしないので、ドクターストレンジはここで初登場。実は名前だけ画面に出た事はあったりするけど、いわゆるイースターエッグ的な奴で伏線とかではない。

 

いや面白い!


実は映画館で見た初見の時は、つまんなくはなかったしそれなりには楽しめたけど、他の作品と比べてしまうと昔風の作り方だなぁと正直感じてました。

 

じゃあその昔風って何?と問われると、ビジュアルだけで売ってる作品に最初は思えてしまったんですよね。今なら勿論CG、もっと前はVFXとか特殊造形の特撮映像みたいなものが一番の売りになってるような作品の事です。宣伝の謳い文句なんかで「驚異のVFX!」とか予告編の煽りでバーンと出ちゃうような奴。

 

特撮とかCGの発達のおかげでスーパーヒーロー物はより発展してきました。今はCGなんてもう売りになる部分じゃ無くて、当たり前になったからこそ、その次、見た目じゃ無くて内容も凄いってなってきてるのが、まさしくヒーロー物映画の最先端であるMCUなんじゃないの?それなのに2世代前くらいに先祖がえりして凄いビジュアルでしょ?みたいなのを売りにしてる作品になっちゃってないかこれ?タイムストーンの影響かよ!というのが初見の印象だったのです。

 

でも、色々と深く追求していくと、実はそこもまたMCUっぽい部分だったんだな、
と今なら思えます。原作のドクターストレンジはデビューが1963年。スタン・リー作でスティーブ・ディッコ画という「スパイダーマン」と同じ布陣です。初期の頃は単純に魔術師ヒーローという所が個性でした。で、やがてスタン・リーが外れてディッコがストーリーと作画の両方を担当していく事になる。

 

で、そんな流れの中で、ヒッピーブームというか、アメリカならではという感じですが、魔術というある種何でもありな世界の中で、ドラッグカルチャーを取り入れ、やたらサイケデリックなアートになって、薬キメてるんじゃねーか?みたいな絵がドクターストレンジの売りになって行くと。

 

先日紹介した「ニューミュータンツ」のビル・シンケビッチとか「ニック・フューリー:エージェントオブシールド」のジム・ステランコなんかも大概ですが、こんなのドラッグやってる人しか見た事無いようなアートになっていって、そこが人気になった。この映画もそこを表現・再現しようとしてるわけです。


コミックの面白さを無理矢理現実的に、リアルに置き換えて再現するんじゃなくて、コミックのままの面白さを映画でやってしまおうというのがMCUの凄さ。MCUでは無いですけど、映画の「スパイダーバース」なんかもその系譜ですよね。

 

そういう所を踏まえて見る「ドクターストレンジ」の面白さ!
単純に「CG凄いでしょ」なんて事を言ってるわけじゃ無くて、コミックを映画に持ってきたらこうだ!みたいな事を堂々と、そして全力で恥ずかしげもなくやってると。いやもうメチャメチャ楽しい映画じゃないですかこれ。

 

因みにこのスコット・デリクソンという監督、以前に「エミリーローズ」というエクソシスト物の映画もやっていて、私はそれが凄く好きでした。元々ウィリアム・フリードキンの「エクソシスト」が私は大好きな映画で、フェイバリット映画の一つ。後追いのB級エクソシスト物が多い中で(本家のエクソシスト正規シリーズも2がクソ映画ですしね。3は良いけど)久々にこれぞっていうエクソシスト映画だったのです。そういうのもあって期待度が上がった状態で見てしまったというのもあるかもしれません。

 

序盤から何度か繰り返される、空間が歪む描写とかは「インセプション」だとか、たまに他の映画でもありますけどそれでも歪んだ万華鏡チックで面白いし、終盤の巻き戻し時空の中で戦うって言うのは今までないもので、しかもそこはコミックの絵では再現できない映画(動画)ならではの表現で、非常に楽しい絵でした。

 

で、この作品を語る上で欠かせないラスボスのドルマムゥとの対決。何度も死にまくるストレンジに、いいかげんもう良いよって根負けするドルマムゥ。初見の時は、え?これ笑っていいの?という戸惑いもありましたが、今ならもう堂々と笑えます。今回はゲラゲラ笑いながら見てました。いや、ラストバトルがギャグって何だよ、凄い斬新じゃねーかと。

 

ギャグを理解出来ないウォンが本当に最後の最後だけ声出して笑うって部分も考えると、多分あれ笑ってもいいものとして描いてるはず。


MCUらしい部分とも言えるかもしれませんが、そもそもがコメディシー多め。幽体離脱でビビるナイトナースとか、マント君とか面白いシーンこんなにあったっけ?と、改めて見ると、構えて見てしまった初見の時と違ってまた別の感覚で見れて凄く楽しかった。

 

自分の為でなく他人の為に力を使う者こそがヒーロー、みたいなまさしくヒーロー誕生譚なオリジンもしっかりおさえてあるし、アガモットの目=タイムストーンという部分で、時間を安易に操作してしまうと予想できないマルチバースが生まれる可能性があるってのを強調しつつ、実はエンシェントワン自身がダークディメンションの力を使って摂理を曲げている。(おそらく目的としては次のソーサラースプリームの出現を待ってる)

 

だからこそ、「エンドゲーム」でストーンを貸し出す事をあんなに恐れていて、それでもストレンジの存在を明かす事で、それならばと石を貸してくれるのはちゃんとこの作品を踏まえた上でのやりとりだったんだなぁと確認する事が出来ました。

 

エンドゲームでエンシェントワンが言ってるマルチバースの理屈がちょっとおかしいのでは?と結構言われてたんですけど、時間軸の危険や弊害を必要以上に恐れてるのは、そこの部分に関しては彼女自身が実は先駆者だったから、というのがちょっと理解出来た。

 

敵役のカエシリウスマッツ・ミケルセンとか大物使ってる割に結局良く分かんない奴で終わっちゃったなぁ、とか最後に離脱するモルドも、そもそもお前大したことやってなくね?みたいな気になる所はありつつ、やっぱり魔法陣みたいなあのエフェクトとか単純にカッコいいですし、初見の時以上にむしろ2回目の今回の方がメチャメチャ楽しめました。

 

関連作を読みつつ、次はガーディアンズ2です。


カンバーバッチ主演マーベル映画『ドクター・ストレンジ』特報

 

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