僕はこんな事を考えている ~curezの日記~

見たもの読んだものなどの簡単な記録と感想のチラシ裏系ブログ

RRR

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原題:RRR
監督・脚本:S・S・ラージャマウリ
インド映画 2022年
☆☆☆★


<ストーリー>
舞台は1920年、英国植民地時代のインド
英国軍にさらわれた幼い少女を救うため、立ち上がるビーム(NTR Jr.)。
大義のため英国政府の警察となるラーマ(ラーム・チャラン)。
熱い思いを胸に秘めた男たちが”運命”に導かれて出会い、唯一無二の親友となる。
しかし、ある事件をきっかけに、それぞれの”宿命”に切り裂かれる2人はやがて究極の選択を迫られることに。
彼らが選ぶのは 友情か?使命か?

 

「バーフバリ」監督の最新作。
バーフバリはやっぱり映画好き界隈では相当な話題作でしたので、私もそこで、そんなに凄いのかと見ましたが、実際こんなの今まで見た事無い!という映像の連続で、インパクトはメチャメチャありましたし、素直に面白かった。

映画オタクとかじゃない人に、何か面白い映画無い?って聞かれた時にバーフバリはオススメしやすいタイトルな気がします。

 

そんな流れもあって、今回の「RRR」も予告見た時からこれは凄い作品になってそうだと期待して待ってました。

 

今回も3時間の長尺。途中でインターミッションって入ったけど、中断無しで、もしかしてオリジナルはもっと長いのかな?海外公開版として編集してある?でもだったらわざわざ無いインターミッションの文字は残さないかも。まあどちらにせよインド映画なので長いのはデフォルトなのでしょう。

 

ラーマとビーム。火の男と水の男という対比、友情を育み、やがては立場の違いから対立、この二人が戦う所なんて見たくない!と思わせてくれる所はシビルウォーのようで、ああこういう基本に沿った王道をきちんと描く事。他にも敵のイギリス人がこれでもかというくらいにステレオタイプに描かれてたりするんですけど、それを堂々とやる強さですよね。こういうのがヒットの理由なんだろうなと思いました。

 

インドじゃ歴代ナンバーワンヒットみたいな事らしいんですけど、多分、ここからは私の勝手な想像ですよ?そんな現地でも、ひねくれた若い人の中には、こんなの全然リアリティがないし、くだらない大衆の薄っぺらな作品じゃん!的に言う人も沢山居るんだろうなというのが想像出来て面白いです。大衆向け、ベタなものって受ける半面、どの世界でもどの時代でも、それに対する反発って絶対にあって、けれど、そのベタさを衒いなく堂々と貫き通すのがこういう作品の面白さかなと私は思う。

 

いや話は衒いなくとも、アクションは相当に捻ってますが。この発想は無かった!っていうのが見ててとにかく痛快ですし、凄く新鮮。

 

ただちょっと残念なのは、その見た事無い発想のアクションシーンが前半に集中してた気がします。たった一人で民衆の人波に飛び込んで行く姿、そして二人の子供救出アクション、妹救出に乗り込んで行くビームという所までが前半戦。アクションシークエンスに入るたび、こんなのみたことねー!っていう楽しさがあったんですが、インターミッションを挟んでの後半戦、まるでアシュラマンの如く二人の肩車での脱出劇くらいしか斬新な所は無かったかも。いやもちろん、クライマックスは派手で楽しいんですどど、今まで見た事無い発想かと言えばそこまででは、という感じでした。

 

あとは「バーフバリ」はファンタジーっぽい要素が強かった分、近代映画では見れない珍しさと目新しさで、これまでにないインパクトに感じて凄く面白かったのですが、それと比べると今回のRRRはちょっと一枚下に感じてしまったかも。

 

ついで言えば、エンドクレジットでの、恐らくはインドで英雄とされる人達の顔が沢山出てくる所、不勉強で私誰一人わかんなかったんですけど、今回の二人もそれと並ぶくらいの英雄として描いたよ的な感じですよね、多分。

 

私は基本的に左思想なので、極右的なお国(大日本帝国)の為に尽くした英雄が的なのに拒否反応を示しちゃう方なんですけど、例えば「シャン・チー」なんかもそうでしたが、自国の歴史的背景やルーツ(今回の「RRR」で言えばシヴァ神がどうのって部分)そういうものを大切にして、そこに誇りを持って生きようよ、という発想はそれはそれとして嫌いじゃ無い。日本でもこういう、自分の国に誇りを持とう的なエンタメ作品、あっても良いんじゃないかっていう気がする。

 

右翼の私が一番嫌いな所は侵略戦争を正当化してる所なので、そういう明らかに間違った主張では無く、そこを何か上手い落とし所を見つける感じで。だって「RRR」だってガンジーの無抵抗主義とは正反対で、マッチョイズム全開だったりはしますしね。

 

白人ヒロインの描き方とかも、今時こんなんあるかーい!ってツッコミ所しかないんだけど、それを堂々とやってるセンスがね、こういう勢いのある作品に繋がってるんだなと言う気がします。割り切って楽しもうよっていう。

 

好みの作品かと言えば、全然そんなことは無いですし、もっと見たいとは思いませんが1年に1本くらいなら、こんな変わり種インド映画も面白いよね、と思います。


友情か?使命か?っていうキャッチコピーもこのベタさ良いですよねぇ。それで居て、一昔前の友情や絆っていうより、イマドキらしく「ブロマンス映画」っていうホモソーシャル的な匂いもするのが面白いです。