僕はこんな事を考えている ~curezの日記~

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ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ

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原題:VENOM:LET THER BE CARNAGE
監督:アンディ・サーキス
原作:MARVEL COMICS
アメリカ映画 2021年
☆☆

 

という訳で、「ヴェノム」シリーズ第2作目。
ヴェノム関連の記事を書く時にいつも書いてますが、また今回も書きます。ごめんなさい、私はそもそもヴェノムというキャラが好きじゃないので、そこはもう前提として読んでいただければ。

 

前作の時点で、何でこんなMCU全盛期に、90年代アメコミヒーロー映画から全然進歩してない作りの映画にしてるんだ?って言ってますが、今回も基本的にはそこ変わってません。ソニー側のスパイダーマンユニバース(SSUだっけ?)に全く期待できないのはそこです。

 

MCU版スパイダーマンは良いんですよ。権利的にソニーなだけで(ディズニープラスでも配信されてませんし)作ってるのはケヴィン・ファイギ率いるマーベル・スタジオの方ですので。でもこっちの方は00年代のマーベル映画のトップだったアヴィ・アラドがまだ続けてるんですよね。いやゼロ年代のマーベル映画も私は大好きでしたよ、あそこで頑張ってくれたから、それが今のMCUの土台になったのは間違いの無い事実ですし。

 

でもねぇ、やっぱりどこか古臭い。キャラクター性に頼って、そのオリジンや原作エピソードをいくつか拾いつつ、最後は派手なVFXで見せるアクション映画、みたいな作りに終始してる感じが、なんとももどかしく感じる。

 

良くも悪くもかもしれませんが、例えば一番近い所でのMCU作品だと「エターナルズ」。あれってアクション映画かと言えば、多分やりたいのはそこじゃないよね、っていうのがあって、ちゃんとバトルとかはやってくれてはいましたが、変な言い方ですけど、エターナルズのアクションシーンなんて、どこかとってつけた感がありましたよね。そこを上手く融合させるのが良いのかもしれませんが、私は原作のアメコミに関しても、アメコミヒーロー映画に関しても、実はそんなにアクションシーンとかが見たくてアメコミヒーローに触れてるわけじゃないんですよね。

 

それは昔からそうでした。ヒーロー物の枠で、ドラマをきちんとやってるからアメコミは面白いんだな、という認識。だから、見栄を切って派手な必殺技を放つようなシーンが無くてもアメコミヒーローは面白いんだっていうような。だから「エターナルズ」を見ても、素直にこれ最高だなって思ったりする。

 

で、ヴェノムなんですけど、前作はまさしく「ヴェノム」を。そして今回は敵役の「カーネイジ」を実写映画で再現しました、みたいな所で満足してるような印象が強くて、そこがあんまり気持ち的に乗れない要因の一つ。


ヴェノムもカーネイジも原作では人気キャラですし、そこはわかるんですけど、実写映画で漫画のキャラを再現しましたっていうだけで十分な価値があったのはゼロ年代までで、その先に更に進めたのがMCUの面白さでしょ?と思ってる身としては、やっぱり今回も全く乗れず、みたいな気分でした。

 

ただね、前回と全く同じかというとそんな事も無くて、前作で面白かったヴェノムとエディの奇妙な共生関係、「寄生獣」のミギーとシンイチみたいな奇妙な友情関係ですよね。何だったら「ど根性ガエル」のピョン吉とヒロシでも良いです。なんかああいう面白さがヴェノムにはあったよね、という所を今回は完全に軸にしてきたのは素直に楽しい部分でした。評判も良くて手ごたえのあった部分をブラッシュアップさせているのが今回の作り。そこは全く同じじゃなく、続編ならではと言えると思う。

 

前回は一応主人公ヒーローとしてエディ/ヴェノムという存在があって、映画のヒロインみたいなポジションを恋人のアンが担ってたわけじゃないですか。今回もちゃんとアンは出て来ますけど、完全に友達とかサポートキャラみたいなポジションに置いてあるっていうのが凄く面白くて、じゃあ今回のヒロインは誰なのかつったらヴェノムがヒロインポジションですよね。

 

エディ役のトム・ハーディーとか、監督のアンディ・サーキスもインタビューで言ってましたが、今回はエディとヴェノムが新婚生活みたいになってて、慣れてはきたけど、今度はちょっと相手の事がうざったく感じてくる倦怠期みたいなものですって言ってるのが、ああなるほどそこは確かに!っていう感じで、そこは新しいし面白いなと思えました。

 

エディとアンのラブロマンス要素がまだ前作にはあったけど、もうそこは排除してエディとヴェノムのブロマンス部分を軸に割り切った作りにしてしまう、というのはなかなかの英断だと思うし、そこは評価したくなる部分ではありますね。

 

カーネイジ側も、作中でちゃんとセリフで言ってましたが、ボニー&クライド(「俺達に明日は無い」の犯罪者カップル)だったり、ウディ・ハレルソン自身が演じた「ナチュラル・ボーン・キラーズ」のこれまた犯罪者カップルの延長的な感じで描いてあって、クライマックスで結婚式をあげようとする、という辺りで結婚と倦怠みたいなのは意図的な作りであるのは面白い構成だと思いました。

 

ヴェノムにしてもカーネイジにしても、元のシンビオートが乗り移った人間の性格を割と受け継ぐみたいなのは原作からある設定で、そこは一人の人間の二面性みたいな感じで解釈できるのですが、クレタス・キャサディのパートナーのシュリークが、シンビオートの弱点である音波能力者であるっていうのが、凄く複雑な関係で、設定としては凄く面白いんだけど、なんか上手く処理しきれて無かったなというのが勿体無い感じでした。

 

え?音波が苦手なシンビオートと音波人間では最初から上手く行くわけないんじゃないの?っていうのは多分意図的な配置だと思うんですよね。

 

シュリークって、原作でもカーネイジの名前を一躍有名にした「スパイダーマン:マキシマムカーネイジ」にも出てるらしいんですけど、残念ながらその話は日本語版が出てないので良くは知りません。(メガドライブの最高級レアソフトとしても一部では有名)なのでその辺りの描き方はどうなってるのか気になる所ではあるのですが、映画単体としては、シュリークって最後は結局カーネイジにうぜぇ!って排除されちゃいましたよね。

 

アンとの比較になりますが、一応諦めたエディよりヴェノムの方がアンの事好き好き言ってるのが面白かったし(そこもエディの一部分ではあるのでしょう)、逆にアン側は、前作からそうでしたが、安定の方を求めちゃうタイプのようで、ダンの方を選ぶわけです。(今回、ダンもカーネイジに火炎攻撃したりと脇役ながら面白かった)でも、無料弁護人でしたっけ?ボランティア的な事をする人で、根はやっぱり良い人なんですよね。エディとの恋人関係は終わらせたけど、彼の欠点なんかを知りつつも、友達としては気にかけてるし、何かあれば協力してくれる関係と言うのは、とても面白い描き方だなと思いました。

 

話を動かすキャラクターの数が足りないっていう事情ももしかしたら、あったのかもしれませんけど、単純に「1作目のヒロイン」のみで終わらせずに、違う形できちんと生かす使い方は素晴らしいと思ったし、結局カーネイジに排除されたシュリークと違って、欠点を受け入れつつ、それなりの関係を続けて行くって、「関係性」こそが軸になってるこの映画における、物凄く面白いポジションに感じました。

 

多少複雑な部分はありつつ、そんな感じで、この作品の描こうとしてる部分だけを追って行くと、思った以上に上手く出来てるドラマなんじゃないかなとは思う。

 

ただそれをね、90分強のVFXヒーローアクションにしました!っていうのがなんかズレてる感じがしなくもないです。最近のヒーロー映画は長尺で重たい物になりがちだから、あえて短くしたって言ってますし、スーパーヒーロー映画全盛期の中で、空いてるポジションを狙うってコンセプトは良いのだけど、なんかそれはヴェノムとは合って無い気がしました。

 

エディは割と単純なタイプの性格ですし、決して暗くてどんよりタイプでは無いですが、明るいヒーローかと言えばそうでもないし、短くてカラッと明るい軽く見れるタイプのヒーロー物なら、ティーンエイジャーとかの若いヒーローでやった方が良かったかも。

 

とまあ割と良い部分は沢山あったのですが、前作もそうですし、ヴェノムってあんまり見てて面白いようなアクションじゃないんですよね。VFXが見所と言えばそうなのかもしれませんが、触手うねうねって、何が出来て何が出来ないかとかがよくわかんないんですよ。

それこそ弱点とされる火とか音波だとシンビオート全体にダメージが行きそうだからそこはわかるんですけど、尖った先で刺されたとかもダメージになったり、その理屈がようわからん。

 

マスク部分が半分出てベノムの顔の下からエディの顔が出たりするシーンとか結構ありますけど、あれって本当は細胞全部が変化してるだけであって、シンビオートの中に人間の体として入ってるとかじゃないんですよね???ヴェノムが脳みそ食ったとして、それを人間のエディの体内で消化してるの?でも傷とか骨折もヴェノム化すれば治るとか、その辺がさっぱりわからん。

 

指一本食って、それが別人格持ってヴェノムより強いカーネイジになるとかそこの理屈もさっぱりわからん。尖った弾丸みたいに飛ばしてた奴もあれは人に刺さったら勝手に増殖してまた別人格として無限に増殖してくのだろうか?

 

なんかその辺のロジックがようわからんのよ。そこも乗れない要因として凄く大きいです。

 

ラスト、ネタバレですが

 

よし、じゃあお前にシンビオートの世界の事を教えてやろう、ってなって、おお~これはシンビオートの本来の役割である「邪神ヌール」とかそっちの大きい話にも繋げてくのか?コズミック系のヒーローの話になっちゃうけど・・・

 

と思った瞬間!


スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム」の世界へ!

 

MCUと繋がると言っても、マーベルスタジオ側で次の「スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム」で使用契約が終了。ソニー側がスパイダーマンユニバースとして新たに戻ってきたスパイディ使って「ヴェノム」とか次の「モービウス」に絡めた別ユニバース路線になってくんだろうなぁ、でもマーベルスタジオ制作じゃ無いなら、あんまり面白くならないんだろうなぁとか思ってたので、え?スパイダーマンがこっちに合流するんじゃなくて、ヴェノムがあっちに行っちゃうの?って結構困惑しました。

 

スパイダーマンも、トム・ホランドでまた新3部作を作るっていう話も出てきてますし、詳細もわからなければ、実際に作品が出来てみないと何とも言えない部分はありますので、超嬉しい展開!凄く楽しみ~!って感覚では無いのですけど、これはどうなるか読めなくなったな、という感じです。

 

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