キン肉マン secound generations
著:ゆでたまご
刊:集英社 スーパー・プレイボーイ・コミックス 全29巻(1998-2004)
☆☆☆☆
旧シリーズ読み終えたので、早速「II世」に入る。
週刊プレイボーイ誌で連載してるのを途中で知って、たまに立ち読みはしてたのですが、きちんと通した形で読むのは実は今回が初。
ケビンとかジェイドとか、旧作からの第二世代キャラはともかく、バリアフリーマンとかイリューヒンとかあの辺のオリジナル超人が圧倒的にダサくて、私の中ではちょっと微妙な印象も強いシリーズだったのですが、こうして改めてきちんと読んでみると、あれ?なんか思った以上に面白いぞこれ。
旧アイドル超人の老いさらばえた姿とか、正直見たくないぞと思いつつ、そこは最初だけで、きちんとII世の話が中心になると、これはこれで悪くないし、序盤は基本、万太郎がきちんと主人公してるのがかえって新鮮。
旧シリーズもね、もちろん主人公はキン肉マンという所は外しませんでしたが、やっぱり7人の悪魔超人編以降は特に、正義超人のチーム全体が主役みたいな感じで、キン肉マン以外の活躍こそがむしろ面白かったと思うのですが、こっちはまだ序盤と言うのもあってか、万太郎の連戦。
8巻までだと、ヘラクレスファクトリー編、d.M.p編、二期生入れ替え戦まで。テリー・ザ・キッドこそ1勝するものの、セイウチンは万太郎の為に捨て石になってくれるし(ここは旧作のラーメンマンオマージュですよね)、肝心のケビンはお前結局戦わないのかよ!みたいな状態。必然的に万太郎が連戦してどんどん成長していく感じが、おお主人公だなって気がして、結構引き込まれる。
そして、前作との関連性というか、引き継ぎ要素も多すぎず少なすぎずのバランスがこの時点では絶妙。旧作人気の貯金だけで戦ってるわけじゃないぞ、II世はII世なりの面白さを出そうと努力してるし、新しい魅力がちゃんとありました。
いや、伊達にアニメ化とかしてないですね。II世のアニメって、プロデューサーがプリキュアの父として知られる鷲尾さんですし、監督もSSと5を手掛けた小村さんなんですよね。youtubeで無料公開されてる1話だけつい見ちゃいましたけど、ちょっとこれは続きも見たくなる感じです。鷲尾さんだったら、古いファンに向けてだけじゃなく、ちゃんと今の子供達も楽しんでくれるものをって考えて作ってくれてるはずですし、そこの信用度は高い。
アニメは見て無かったけど、主題歌の「HUSTLE MUSCLE」がメチャメチャカッコ良くてね、それだけは昔からipodに入れてリピートしてました。
万太郎、父親のスグルよりは真面目なタイプだし、最初はテリーにもガゼルマンにも嫌われてたけど、一緒に合コンとか言ってる内にいつの間にか仲良くなってる感じがね、ああ最初はギクシャクしてたけど若いし友達として仲良くなって行ったんだなぁっていうのが意外とすんなり受け入れられて、友情パワーにしても、火事場のクソ力にしても、少しづつ目覚めていく段階っていうのが面白い。
そしてかのスニゲーターの家系のMAXマン、そして老いさらばえた姿ながら悪魔超人の枠組みを残したいサンシャインとか、なんかちょっとグッと来るものが。
パートナーのアシュラマンまで正義超人の仲間入りしちゃってさぁ・・・って、お前が「悪魔にだって友情はあるんだぁ~」とか一番にやってたじゃん。
でもこういうイデオロギー闘争というか、師から弟子への引き継ぎみたいなのってプロレスの面白さの一つではあるし、旧作では出来なかった長くプロレスを見続けているからこそわかる、面白い要素を今回は表現して見ました的なのが良いです。
バトル部分だとマウントポジションがどうのと凄く出てくるので、総合格闘技の全盛期だなと思う反面、「dMp」はどう見ても当時の「nWo」ブームを受けての描写なので(私もTシャツ当時持ってたよ)そこら辺に時代背景も感じたりする。
私は途中から、しかも飛び飛びで昔は読んでたので、チェックメイトとかスカーフェイスも似たり寄ったりな感じだし、旧作のライバル超人と比べたらあんまり面白意味は無いかなぁという印象でしたが、こうして順を追って読んで行く分には、チェックもスカーも各シリーズのラストバトルとしては十分に面白いじゃないですか。
そしてジェイドも2期生ながら、スカーとの対決は非常に熱いしベストバウトでした。
あと個人的には同じく準決勝の万太郎VSクリオネマンもなかなか面白いじゃないかと。いわゆる「ゆで理論」としてネタにされるキン肉マンですが、ゆで理論だろうと何理論だろうと、一応は描く方なりにロジックをバトルの中に持ち込もうとしてるんですよね。ただ必殺技を連呼して終わるバトル物とはちょっと違う。
何もジョジョとかハンター×ハンターみたいなロジックバトルとは言わないまでも、例えばクリオネマン、体が透明だけど、血とか濁ったものが混ざってしまうと、透明な臓器が見えてしまう。当初は正義超人故に流血を好まないと思わせておいて、実はそういう理由だったのだ、という弱点を突いて倒す。大なり小なりこういうロジックがちゃんとバトルの中にあって、そこが面白いんですよね。
単純に勝敗のみで、どっちが勝つのかと言う部分だけじゃなく、こんな理屈で逆転するのか!みたいな所をちゃんと描こうとしてるのは実はキン肉マン、特にこれ、II世からが顕著な気がするけど、そういう漫画としての面白さみたいなものをちゃんと意識してやってるのは凄い気がするなぁ。
そこは学生時代にもうデビューが決まっていて、右も左もわからないままに描いていた最初のキン肉マンと、一度そこに区切りをつけて、再度テクニックとかを改めて身に付けた上で描く違いはあると思える。
作者本人も、今改めてキン肉マンを描いたら昔よりももっと面白い物が描ける気がするって言って始まったのがII世なので、逆にベテランの老獪なテクニックみたいなものを身につけて、ただのフレッシュさでは無く脂がのっている感じになったのは面白い変化じゃないかと。結局は後にII世でも行き詰って、一度ストップして新シリーズ始めたらそこで更にもっと面白くなった、とかを今やってるわけですけど。
そしてスカー撃破の後に、やっとヒロインの凛子ちゃんが出てくる。あの二階堂マリさんの娘として・・・って、ここはアニメ派と原作派で意見が割れるとこでしょうけど、アニメはマリさんがヒロインのままで通して、原作だと途中からマリさん退場、ビビンバがヒロインポジになりました。ここの設定の拾い方が抜群に上手い。
私、キン肉マン読んで泣きそうになったのここが初めてですよ。
いやぁ、ミート君再登場で「この星から消えかけてる正義の二文字を取り戻すために」っていうのもすげぇグッと来ましたけど。
凛子もね、ギャルギャルしくてあまり好きじゃないかなと思ってたけど、良い子じゃんか。そしてその名前の由来がまた良いんだこれが。
いや「キン肉マンII世」ぶっちゃけ舐めてました。
なんか超面白くないですかこれ。
新キン肉マンの方では展開が展開だけにII世には繋がらないパラレルなもの、無理に整合性とかとろうとして小さくなるよりはその方が良いと私も思ってましたが、ここにきてまさかのあのキャラが登場してリンク発生してたりするし、色々と目が離せません。
という辺りで次へ続く。
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