僕はこんな事を考えている ~curezの日記~

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キン肉マン 16~18(完)

キン肉マン 16 (集英社文庫(コミック版))

KINNIKUMAN
著:ゆでたまご
刊:集英社 集英社文庫 全18巻 1999年(連載1979-87)
☆☆☆★


「キン肉星王位争奪編」決勝戦
キン肉マンチームVSフェニックスチーム

 

初戦からいきなりキン肉マンが先鋒で登場。
サタンクロスと魔法陣デスマッチ・・・なんだけど、これが最高に酷い。

 

ファミコンブームだったのか?キン肉マンはかの有名な「マッスルタッグマッチ」が最初に出て、その後にディスクの方で「王位争奪編」が出てたから丁度この辺りの時期だったか、それかゆで先生がファミコンにハマってたとかでしょうか?ディフェンドスーツとかも多分「聖闘士星矢」の人気のおかげでクロス(鎧)物が流行った時期だろうから、むしろ編集者の入れ知恵なのかなぁ?

 

リアルタイムで読んでた当時は私も楽しんでたと思うし、ディフェンドスーツのデザインとかも決して嫌いでは無いのですが、今読み返すと相当にキツイ。

 

技の攻防みたいなのを道具だよりにして、わぁ~はやく攻撃を防御してくれ~とかセリフで言っちゃってるのが超萎える。いやバトル物で自分の力とは関係無いオートディフェンスみたいなのは無しでしょう?キン肉バスターだって過去に何度も破られてはきたけど、こんな機械で簡単にディフェンスされると一気に興醒め。

 

ついで言うと、この後に出てくるフェイスフラッシュという技?能力も凄く嫌いでね。当時から何だよこの安易さとガッカリしてました。ラストで死人を生き返らせるとか、そういうお話の都合で奇跡がおきましたよとかは仕方ないと思うんだけど、預言書での消失とかも含めて、個々の超人の能力以外のギミックみたいなのの多さは今読むとなかなかにキツイ。

 

機械の体と能力を持つ超人なんかが当たり前に居るキン肉マンの世界観でね、線引きをどこにするかっていうのはやっぱり難しくて、別にリアルなプロレスや格闘技を再現するタイプの漫画でも無く、荒唐無稽な超人プロレスこそが魅力でありつつ、バランス感覚って難しいなと思う。

 

夢の超人タッグ編以降、人気が落ちて行ったのも何と無く頷けるものがあるというか、過去の感想にも書いたけど、個人的には最後まで当時は飽きずに読んでたし好きな作品だったんですけど、こうして冷静に見ると、ファンが離れた要因も多少なりとも理解できなくもない。

 

あと決勝戦のチームメンバーがね、ジェロニモとネプチュー・・・いや、ザ・サムライってのもね、個人的にはイマイチ。何でもキン肉マン、ロビン、テリー、ラーメンマンウォーズマンにしちゃうと強すぎて逆に面白味に欠けるからっていう理由らしいんだけど、ここでテリーを外すのは少し勿体無い気がします。

 

タッグ編で最高の活躍した分なのか、王位争奪編ではロビンの株が最後まで落ちない。むしろマンモスマンを友情パワーに目覚めさせるまでやってくれるし、このシリーズのMVPは間違いなくロビンでした。

 

最後のライバルでもあるスーパーフェニックスも、最初は圧倒的な強さのみが魅力のキャラに思えて、キャラの描写が増えれば触れるほど小物感が増してきて、ビビンバの下りなんかもう最低ですし、正直そんな魅力のあるキャラクターでは無かった。
ソルジャーチームとのバトルが面白かったのは、フェニックス側と言うよりはソルジャーチームこと超人血盟軍の魅力こそが面白味だったんだなぁと改めて感じます。

 

そんなこんなで長い闘いもここで完結。人気絶頂から、少しずつ低迷していく様子が多少感じられつつも、それでもまだそれなりに人気のあるうちに終了したのはまだ救いがあるし、それこそジャンプ史上で伝説の巻頭カラーで最終回を迎えた「リングにかけろ」へのあこがれがあったから、落ちぶれて誰も読まなくなる前には最終回にする道を選んだというのは自伝に書いてあった部分。

 

で、そんな自伝を読んだ上での作品再読で一番に思うのは、キン肉マンで一番出てくる部分は「友情パワー」だと思うんですけど、昔はね、単純にジャンプのキャッチフレーズの「友情・努力・勝利」に沿ったものだと思ってましたが、実際の所そんな雑誌のカラーだからではなく、「ゆでたまご」という作者は話を考える方の嶋田隆司と絵を描く中井義則の二人のペンネームで、キン肉マン連載中から何度も衝突したし、性格の不一致から互いの顔を見るのも嫌になるくらいにもなった。連載終了後、10年もヒットが生み出せず路頭に迷う事にもなったし、そこで互いの道を行く可能性もあったかもしれない。それでも、結果として二人のコンビがあってこそのゆでたまごなんだという結論にたどり着くわけです。

 

そこには本心が現れる。世間は「友情」なんていう言葉に嘘臭さや欺瞞を感じる人も中には居るかもしれない、けれど少なくとも自分達は二人のコンビに縁や特別な力があると実感してるし、それこそが漫画を描く原動力でもあり、嘘偽りの無い主張なんだと自分達は胸を張って堂々と言えるよ、と二人は言うのでしょう。

 

結局は作家なんて自分の体験や実感があってこそ、それをリアルに描けるしそれがその人の主張や得意分野になる。「キン肉マン」が他の作品と一線を画すのは、そんな二人の作者の共著である部分だと思う。もしこれが一人の作家なのであれば、きっとこうはならない。原作の嶋田氏が一人で小説キン肉マンを描いてもこうはならなかったし、絵の方の中井氏が一人でキン肉マンの物語まで考えていたのなら、こういう展開やテーマには絶対になっていない。仮に編集部からウチの雑誌のコンセプトだから「友情」もちゃんと話に組み込んでねとか言われても、それはきっと表層だけのものに終始して、こうはならなかったはず。

 

キン肉マンの面白さは超人プロレスの多彩なバトル描写であろうけれども、その奥に隠された本質はきっとそういうとこなんじゃないでしょうか。

 

いやぁ、「キン肉マン」面白かったなぁ。次は時系列順では無く、発表順に「キン肉マン2世」の方に行きます。飛び飛びで少し見てるくらいで通しては読んで無かったので楽しみです。

 

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