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キン肉マンII世 究極の超人タッグ編 19~28(完)

キン肉マンII世 究極の超人タッグ編 19 (ジャンプコミックスDIGITAL)

著:ゆでたまご
刊:集英社 スーパー・プレイボーイ・コミックス 全28巻(2005-11)
☆☆☆★


トーナメント準決勝からラストまで


準決勝第1試合
<ザ・マシンガンズキン肉マンテリーマン
   対
マッスルブラザーズ・ヌーボー>万太郎&カオス

キン肉マンvs2世がここで実現。これが決勝戦でも良かったのではと思いつつ、時間超人との因縁で始まったシリーズですし、そこを倒した後に決勝で初代対2世で夢の対決では物語的に締めくくりにくいという判断でしょうか。

ただ読者的には時間超人よりも、こっちの方が夢の対決で、このシリーズに求めるのはこれでしょ感が強いと思う。

 

ただ!ただですね、濃いプロレスファンの人は理解出来ると思うんですけど、「夢の対決」って、夢のままで終わってた方が良かったかもという実例は後を立たないんですよね。意外と凡戦になりがちというよりは、ファンが夢の中で、妄想の中で自由自在に繰り広げられていた戦いの、その先まで提示するっていうのはちょっと難しいわけです。妄想は無限で限りないわけですから。

そこはプロレスファンであるゆで先生も十分に理解はしているであろう上で、その妄想を自分で描けるのが漫画の利点。
例えば「グラップラー刃牙」で猪木(猪狩)VS馬場(斗羽)という妄想を自分で描いちゃったように(全日派だった私は馬場イズムってそういう事じゃないんだよ板垣!って思ったけど)キン肉スグルVSキン肉万太郎という夢のカードを実現するためにこのシリーズを始めたわけで、ストーリー上のではなく、描くモチベーションとしてはここが最大の山場となる。

 

序盤、悪魔将軍の策略により、全力を出せないキン肉マンだが・・・というのは、プロレスで言えばシリーズ前に怪我をしてハンデがある状態で戦ったという「言い訳」を作る、いわゆるブックみたいなものに思わせつつ、ビビンバやマリさんの愛を越えるの、それはパートナーであるテリーマンの友情、というのはなかなかに考えた展開だと思います。

 

愛情以上に友情を描いてきた漫画なわけですから、そこは男女間の恋愛なんかよりホモソーシャルな友情関係の方が勝る、というのは正しい答え。

 

そしてそこからはベタではありつつ、遂に親子の和解と継承がきちんと描かれる。あくまでなんとなくの感覚ですけど、作品としてもここで2世の変な悪癖みたいなのが抜けて浄化された印象が強いです。でも、だからこそⅡ世の未来ではなく、キン肉スグルの方の時代をまた描きたいって言う気持ちが更に高まってしまったのかなとも。

 

 

準決勝第2試合
<ノヴァ・ヘル・イクスパンションズ>ネプチューンマンマンモスマン
   対
<ファイブディザスターズ>ライトニング&サンダー

 

ヴィラン同士の戦いと言う、消化試合感もありながらネプチューンマンにもちゃんと思い入れはあるのか、消化試合にせずにじっくりたっぷり律儀に描く。

 

劇中の時系列上はタッグ編の後になる王位争奪編からマンモスマンと、更にそれを気にかける謎のフードの男と、ますます旧シリーズへの愛着を加速させていく。

 

友情なんか必要無い、一人一人の強さがあれば良いんだっていうイクスパンションズ側のドラマですが、それが次の試合のデザスターズ側でも同じような事を繰り返しまたやるっていう、悪い意味での構成力の無さは少し気になる。一度は味方になったものの、再度悪墜ちして・・・ってそれスカーフェイスでもこの前やったばっかじゃん!っていう。


ただ、それでも最後は再び友情に目覚めっていうのはベタでも嫌いじゃないのだけど、今回、え?何それな展開で、まさかのネプチューンマンを救うためにカオスが犠牲に。

 

間隙の救世主じゃなかったのかよ!ここまで散々引っ張ってきて、遂に覚醒までして、あのマシンガンズを破ったのにですよ?意外さはあるかもしれないけど、ちょっと悪手だった気もするなぁ。

 


という所からの勝戦

<ザ・ヤングマスターズ>万太郎&ケビン
   対
<ファイブディザスターズ>ライトニング&サンダー

 

おいおいおいおいやっぱりケビンなのか!?何回美味しい所かっさらっていくんだよ。キン肉マン2世の主人公はケビンマスクって言ったって過言じゃないレベルだぞこれ。

 

とはいえカオスの犠牲により、ニュージェネが再び一つにまとまり、あのひねくれていたケビンがザ・正義超人みたいになってるのはなかなかに熱い。その分、今度はまた万太郎がききわけのない感じになるけど、そこは親父譲りなのかもしれないなと。勿論、壁を乗り越えた先には「友情」があるのがキン肉マンという世界ですが。

 

そしてここに来て、ライトニング&サンダーの能力的な部分でのチートっぽさは加速しつつも、個人のパーソナルなキャラの掘り下げが入り、サンダーは仮面の下に意外なやさしさをもってたり、ライトニングの方は孤高ゆえの寂しさみたいなのが垣間見えて、そこは意外と良かった。

 

悪魔将軍みたいに、悪を貫いたが故に今も屈指の人気キャラになってる場合もあるにはあるけど、基本的にはキン肉マンという漫画においては、戦いの果てに友情を知り、終わってしまえばノーサイドで心を通わせる。ぶつかり合う事で生まれる友情というのが作品の最も根幹にある部分。

 

キン肉マンという作品の最上級の価値感が「友情」で、それはゆでたまごという作家が一人の作家じゃ無く、二人の作家が描いているからこその価値感なんだってのは過去にも何度か書きましたが、やっぱりそこは揺るがない部分です。

 

旧シリーズを越えるものにはならないと自分でも思ったから2世を終わらせたってどっかで言ってましたし、最後は雑に畳んでエピローグ的な余韻も無しなのがやや寂しい終わり方でしたが、終わってみれば、2世も言うほど悪い物では無いなというのが正直な気持ちです。

 

あまり好きじゃないな、っていう部分もいっぱいあったけど、決して全否定してしまえるかというには2世なりの魅力も多少なりともありました。

 

さて次は・・・「オール超人大進撃」という番外編的なものもあるんだけど、全3巻の内、2巻までしか確保して無いのでそこは確保出来たときにいずれ。
新シリーズに行く前に、もしかしてラーメンマンの方に行くかも。

キン肉マンII世 究極の超人タッグ編 28 (ジャンプコミックスDIGITAL)

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