僕はこんな事を考えている ~curezの日記~

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ラ・ジュテ

ラ・ジュテ デジタル修復版 [Blu-ray]

原題:La Jetée
監督・脚本・撮影:クリス・マルケル
フランス映画 1962年
☆☆☆


テリー・ギリアム監督作「12モンキーズ」の原案であり、押井守監督が自身の原点であり、この作品が映画監督を目指す切っ掛けになったとも語る、古典SF。

youtubeで期間限定無料公開されてたので、30分程度の中編映画ですし、物は試しにと見てみました。

 

監督はヌーヴェルバーグ(1950年代末くらいからのフランス映画の新しい作風)の鬼才と呼ばれたクリス・マルケル。モノクロ写真の連続で構成されている(最初から写真撮影してのではなく元は動画として撮影した物のコマを切りぬいて作ったそうです)風変わりな作品ですが、映画或いは映像作品というのはそもそもモンタージュ理論というもので形成されてるものですし、一コマ一コマの絵画的な美しさだけでなく、完成された映像や物語は、観客・視聴者の脳内に形成されるものという観点で見れば、映像作品の限界に挑戦したのかなと言う作風にも思えます。

 

そんな意味では、記憶を巡る物語というのも結構意図したものなのかも。物語としてはこうです。
第3次世界大戦で崩壊したパリ。かろうじて生き残った人類も、放射能が溢れる地上に出る事は出来ず、地下に潜伏して何とか生き伸びていた。しかし物資もそこをつきかけ、他国からの救援なども望めない今、救済を求めるには過去か未来しか無い。人の脳内にある過去に遡り、そこにタイムリープをする事が可能になれば、同時に未来へも飛ぶことが出来るという理屈。

 

う~ん、記憶を頼りに自分の過去に遡る事でのタイムリープは100歩譲って許せても、何故そこから未来に行けるんでしょう?未来の記憶なんか無いのに?と思わなくも無いですが、そこは量子力学的な思想、「ウォッチメン」でドクターマンハッタンが過去と現在と未来を同時に認識して生きているみたいな感じでしょうか。

 

タイムリープSFながら、その手のガジェット(タイムマシン的なもの)は一切出てこないというのが割と斬新に感じた。

 

同じようでいてちょっと違うタイムループ系。ループする奴だと、朝目覚めたら同じ日を何度も繰り返していたとか、何かのきっかけで戻るみたいなのは別にガジェット無しでもそういうものかと思えたりしますが、単純な繰り返しの「ループ」じゃ無く、過去や未来へ飛ぶ方の「リープ」だと、やっぱりタイムマシンか何かじゃないのは不思議な感じがします。
ただ、機械無しで気合で過去に飛んでた「ある日どこかで」とか、記憶だけを過去に飛ばす「シュタインズゲート」「X-MEN:フューチャー&パスト」とかそういう系譜もあって、タイムマシンを使わないタイムリープ物って言うのも系譜としてあるんだなとは思ってたんですが、もしかしてこの「ラ・ジュテ」が元祖だったりします?普通に古典SF小説とかで「記憶を利用してタイムリープ」物とかあるんでしょうか?教えて博識な人。

 

たった30分の尺で、しかも動画じゃなく静止画、セリフでは無くナレーションで語る方式で、随分と濃いものが作れるもんだなという関心はしたものの、話として面白いかと言えば、私的には正直そんなに惹かれるものでもなかったのですが、上記のような系譜としての珍しさみたいな意味での面白さはありました。

 

パトレイバー」は好きですけど、私は特に押井ストとかでも無いですしね。モノクロフィルムの良さという部分では「アヴァロン」、記憶と肉体への執着という部分では「イノセンス」なんかにも通じる部分は在りましたが、押井は自分でも言ってるけど、基本的にはハッタリでインテリ風を装ってるだけだから、どの辺が刺さったのかはよくわかりません。DVDの解説書には押井のロングインタビューが載ってるらしいのですが。

 

まあでもこういう貴重な作品を無料で見られるというのは素直に有難いです。
私は楽しいか楽しくないかだけで物事を判断したくない人なので勉強がてらに見るというのもそれはそれで面白いものですしね。

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