キン肉マン secound generations
著:ゆでたまご
刊:集英社 スーパー・プレイボーイ・コミックス 全29巻(1998-2004)
☆☆☆
悪魔の種子(デーモン・シード)編でキン肉マン2世としての第一部完結。
旧シリーズの七人の悪魔超人編のリメイク、あるいは2世版という感じで、ミートがバラバラにされてそのパーツを回収していくという内容。
初戦のザ・星座マンことコンステレーション戦こそ万太郎が戦うものの(その前にバッファローマン先生がかませになってくれるが)、大ダメージを受け、連戦は厳しい状態になる。
で、ここが旧シリーズだと、テリー、ロビン、ウォーズマン、ブロッケン、ウルフマンと助っ人に現れ、この辺からアイドル超人VS悪の悪魔超人という図式が始まって、燃える展開になるわけだけれど、今回はそこで素直に正義超人ニュージェネレーションを持ってこない。
いやいやいやいや、だからどこでテリーやジェイドを活躍させるんだよって話じゃないですか?
今回は悪魔超人側のバリアみたいなのが貼られていて、悪の心を持った存在しかそこを突破出来ないという設定になっており、助っ人として現れるのが、ケビンマスク、スカーフェイス、イリューヒン、バリアフリーマン、ハンゾウの5人。
いや、ケビンはまあ人気キャラだし前章での主役みたいなものだったからわかる。スカーもケビンの同胞として許そう。ハンゾウもかなりの悪行超人だったからな。でもイリューヒンとバリアフリーマンはどうなの?超人オリンピックは正義超人しか参加出来なかったわけだし、例え残酷なファイトでもイリューって普通に正義超人なのでは?バリアフリーマンもニルスの方は正義超人だけど、じじいのジージョマンの方は悪い奴だったっぽいのでかろうじてわからなくもない。
いやでも超人オリンピックキャラなら、まさしく正義と悪の両方の系譜を持ったヒカルドとか居たでしょう?イリューヒンよりそっちでは?
というかそれ以前に、正義に鞍替えしたのに解説役しかやってないチェックメイトというこれ以上無い設定にぴったりハマるキャラが居るじゃないですか。ケビン、スカーと同じく元デーモンプラントで、サンシャインの弟子。チェックの為にあるみたいな設定にしておきながら、また解説役をやらせるセンスはどうなのよ?真面目君に転身したチェック、私は好きなので活躍が全然見れないのは悲しい。
で、まずはハンゾウVSゲッパーランド
次が、イリィーヒンVSメルトダウン
その次、バリアフリーマンVSタトゥーマン
正義側が勝つって展開は勿論嬉しんだけど、旧「七人の悪魔超人編」は次々と正義(アイドル)超人が敗れていく、星とり表では負け越し、みたいな所が大きいインパクトを残した要因でもあると思うのですよね。そこがあったからこそ次の悪魔六騎士編では正義側が結果勝ちこしても前の例があるから緊張感を維持できた。この辺の構成は恐らく当時は狙ってやったものじゃないとは思うけど、今見ると上手い構成になってるなとは思うんですよね。
3戦目こそ引き分けっぽくはなってるけど、それでもミートの体は取り戻すし、皆大激戦とは言え、3連勝というのは都合の良すぎる感じ。
そこからの
ケビン&スカーVSボルトマン&再生アシュラマン。ここはね、ケビンとスカーのコンビも良かったし、次の展開の為かもしれないけれど、ボルトマンを割と強豪超人の部類として描いていたのが功を奏したのか、割と面白い試合でした。結局、アシュラマンという旧作の人気キャラをひっぱり出してきて、そこで客を引きつけようみたいなのが垣間見えて、そこは正直どうかなと最初は思ったのですが(そこが悪い意味で実現しちゃったのが次の「夢の超人タッグ編」ですよねぇ)意外とボルトマンの強さでスカーを倒したので、そこはなかなかやるなと。
で、ここで試合は一度仕切り直しで今度は万太郎&ケビンのザ・坊っちゃんズで最終決戦を挑む事になるわけだけど、そりが合わない二人っていう描写がしばらく入るのが凄く面白かった。ぶっちゃけ、試合よりもここの特訓も含めた準備パートがこのシリーズの中では一番良かった部分の気がするぞ。
そして最終バトル。万太郎&ケビンVSボルト&アシュラ戦。
ここは旧七人の悪魔超人編のラスト、キン肉マン&モンゴルマンVSバッファローマン&スプリングマンと同じく、形式上はタッグマッチで始まるものの、実質それぞれのシングル戦みたいになっちゃうのは御愛嬌といった所だけど、解説役でキン肉マン&サンシャインも登場し、普段の生活で仲が悪くても実際の試合では物凄い相乗効果を生む名タッグになる!というのは過去のキン肉マン感想でも何度も書いてきたけれど、中井&嶋田でゆでたまごという作者二人のタッグの心底実感した上での言葉なんだろうなと思うと微笑ましいです。
で、ケビンがボルトマンを何とか撃破して、最後は万太郎と悪魔将軍の影を背後にチラつかせながらの再生アシュラマンとの一騎打ち。
アシュラマンねぇ、旧作でも何度も出てきたキャラですし。技のホールドうんぬんで言えばそりゃ強キャラだろうとも思う。一度は正義超人側につきながら、息子のシヴァの件でうんぬんっていう掘り下げは決して悪くないとは思う。仕切り直しでのラストであって、次のシリーズも決定済みの上での最後と言うのもわかるけど、一応の最後が未知の超人じゃなくみんなが知ってるアシュラマンなのかぁ、って思うと、若干日和った感はある。
あと、ここだけでなく2世全般に感じる事だけど、何故か説明が2回か3回とか同じ事を繰り返すの何なんだ?アシュラマン戦で言えばあれは子供を無くした親の目ですっていう一般人の描写が、定期的に入るけど、毎回同じ事しか言ってなくて、非常にクドい。こういう部分、2世は多くないですか?昔と違って伏線とか意識するようになった半面、なんか逆にぎこちなくなってる気が。
サンシャインっていう的役を既に配置済みなのに病院から抜け出すバッファローマンと、それに肩を貸すスプリングマンとか出して結局は特に意味は無かったとか、もう単純にザ・ニンジャはゆで先生のお気に入りキャラなんだなぁとかそういう部分は相変わらずな感じもしましたが。
という事で、初代と違ってきちんと読んでいなかったので、こうして通して読んで見ると、良い部分悪い部分両方あるかなぁという感じ。
ミート君の掘り下げとかは面白いし、あのロビンの息子がイメージと真逆でこんなのなのか?と最初は思いつつ、何だかんだケビンはケビンでキャラは立ってて悪く無かったりと、決して読んで損はしなかったという印象。
キッドとかジェイドとかの活躍がほとんどないのが不満だし、下ネタやグロ要素の多さに辟易する部分も多かったですが、まだここまではそれなりに面白く読める方じゃないかと。
むしろ問題は次のシリーズの「究極の超人タッグ編」かなぁ?初代と2世のクロスオーバーのおいしいとこどりを狙いながら、終盤は作者自身も迷走したと認めてるくらいなので(だから次の「新キン肉マン」はその反省をいかして面白くなったと散々言われてるし)色々と思う所はありますが、一気にそちらも読んで行く予定ですので、よろしかったらおつきあい下さい。
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