X OF SWORDS
著:ジョナサン・ヒックマン(作)
レイニル・フランシス・ユー 他(画)
訳:高木亮
刊:MARVEL 小学館集英社プロダクション ShoProBooks
アメコミ 2023年
収録:X-MEN(2019) #12-14
EXCALIBUR(2019) #13-15
MARAUDERS(2019) #13-15
X-FORCE(2019) #13-14
NEW MUTANTS(2019) #13
WOLVERINE(2020) #6-7
CABLE(2020) #5-6
HELLIONS(2020) #5-6
X-FACTOR(2020) #4
☆☆
10本の剣と
10人の剣士を
探し出し、
戦いに
勝利
せよ――。
古代の戦争によって引き裂かれた国、アラッコとクラコア。二国の前に立ちふさがるのは、多元宇宙の中心点アザーワールドの支配者、女帝オパール・ルナ・サターナイン。
ミュータントたちは闇の軍勢を食い止めるために、彼女が主催する剣闘大会で勝利しなければならない……!
彼らはこの戦いに勝利し、世界を救うことができるのか!?
『X-MEN Vol.1:黎明』『X-MEN Vol.2:戦雲』に続く、ミュータントたちの物語。ついに大型イベントが開幕!
ジョナサン・ヒックマン版新生X-MEN2.5巻に当たる大型クロスオーバーイベント。
買ったの1年前くらいですが、定価8800円って流石に過去最高額ですわ。私は書店のポイント全部投入して5000円くらいで済ませたけど、それでもちょっと…。厚めの上下巻のセットで、いつものアメコミなら4000円×2くらいの分量なので、これだけ特殊な価格ってわけでもないのですが、それにしてもな印象。
まあそこでね、最初に出た「ハウスオブX」みたいな歴史的な名作であるとか、クライシスみたいな歴史的な価値のある作品とかならまあ仕方ないかとも思えるんですが、普通の大型イベントくらいで、話的にはちょっと…みたいなものでしたので、気持ち的には結構文句も言いたくなる感じ。
前半の、剣と代表者集めみたいな部分は面白いんですよ。伝説の剣、魔剣、こう来たかという新しい物とかも。ウルヴァリンはそりゃ選ばれるだろうと思いつつ、ストームがワカンダに伝説の剣を奪いに行ったり、ソウルソードを持つマジックが今や大将クラスになってたり、そんなイリアナと同じくニューミュータンツ出身のサイファーとウォーロックとか意外性があるし、まさかのゴーゴンとかこんな重要なキャラだっけみたいな面白さがあります。
お互いの陣営で10本の伝説の剣同士が戦うとかいう、まるでジャンプ漫画かのような展開は素直に燃えるものがあります。剣の能力も結構様々で、これがどう生かされるのか?アメコミには珍しい壮絶バトル漫画になる展開に期待。
もしこれが上下巻セット売りじゃなく、前後編のばら売りだったとしたら、これは早く次が読みたいぞと思わせるものがありました。
ただ実際の下巻、後半の展開が・・・え?何これガチで戦うんじゃないのかこれ?剣はあくまで証的なものであって、実際のバトルはバラエティミニゲーム集みたいな展開になる。いやいやいやいや、剣持ってるのに何で腕相撲勝負なのこれ?
X-MEN側は死を超越した事で人間とは違う倫理観の生き物になった、というここまでの展開で、今回のバトルに関しては死んだら生き返らないとか煽るに煽っておいて何なのこれ。しかもいっぱい倒したからまとめて10点!とか本当にバラエティみたいになってるし。
気を衒ったのかもしれませんが。これは無いな、という気持ちにさせられ、こんなクソ高い金払ってこの内容かよ?と怒りが湧いてくるレベルでした。
う~ん、「ハウスオブX」はゾクゾクしてくる展開で今までに無い衝撃を受けてメチャメチャ面白かったけど、その後の新シリーズが正直あんまり面白くない。これでよく人気出たなと思ってしまうレベル。次以降面白くなるのでしょうか。不安すぎる…。
今回、キャプテンブリテンの設定が、ヴィラン側のサターナインと共に結構重要になってくるのですが、邦訳的にはベッツィがサイロックになった後からの時代でしたし、アニメ版もその時代でした。
キャプテン・ブリテンである兄のブライアン・ブラドックも特にストーリーラインが邦訳では出る事も無かったので、解説書で誕生から今までの歴史をほぼ網羅してくれてるのが有難いですし、この本の唯一の評価部分かもしれない。
アラン・ムーアが手掛けてた時期のキャプテンブリテンでマルチバースの設定が出て来た時にマーベルの基本ユニバースである616が初めて定義されたっていう豆知識だけは有名なので、キャプテンブリテンといえばその話が最初に来るくらいのイメージしか無かった。
あとベッツィがサイロック時代(今は彼女がキャプテンブリテンになってる)の精神が入れ換わっていたカンノン様の方。そっちはそっちで今のサイロックとして出てるので、見た目的にはやっぱりそっちの方に多くの人が愛着あるだろうし(ゲームでも映画でも出てたのはサイロックとしてですし)なかなか難しい所。
そして敵のアラッコ側の10本の剣に10剣士。アポカリプスのパートナーであったアナイアレーションとかを含め、設定やビジュアルもなかなか頑張ってはいるものの、実際のバトルがあれでは全てが大無しでした。
後々に設定が生かされて重要な作品になる、みたいなのもアメコミあるあるですけど、ぶっちゃけこれ解説書のみで飛ばして良いイベントだったのでは?値段の事はあんまり言いたくないけど8800円の価値はちょっと感じにくいネガティブな印象の方が強く残ってしまう1冊、いや2冊か)でしたとさ。
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