僕はこんな事を考えている ~curezの日記~

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X-MEN:ヘルファイア・ガラ

X-MEN:ヘルファイア・ガラ

X-MEN: HELLFIRE GALA
著:ジョナサン・ヒックマン(作)
  マテオ・ロリ 他(画)
訳:高木亮
刊:MARVEL 小学館集英社プロダクション ShoProBooks
アメコミ 2023年
収録:MARAUDERS #21(2021)
 X-MEN #21(2021)
 PLANET-SIZE X-MEN #1(2021)
 S.W.O.R.D #6(2021)
 CLASSIC X-MEN #7(1987)
☆☆☆☆

 

今宵はミュータント史上
もっとも重要な
夜になる。

ミュータント史上最大の祭典ヘルファイア・ガラが開催。
名だたるヒーロー、各国の有力者たちが招かれ、重要な取引を行う。
このイベントには二つの重大なサプライズが用意されていた。
一つ目はクラコア最初の新X-MENのお披露目……
そして今宵の最後に花火が打ちあがる時、新たな時代の始まりを告げる二つ目のニュースが発表される。
“歴史に残る瞬間”を私たちは目撃する。

 

ヒックマン版X-MEN6冊目。
本来は12冊構成の大掛かりなイベントタイトルのようですが、日本語版はその中から4編とバックアップストーリー1編のダイジェスト収録。

 

X-MEN総選挙で選ばれた新生X-MENのお披露目とかがサラッと流されてしまい、いやいやいやいや、「Xオブソーズ」とか無駄な長編?はフルで収録したのに、これからのスタートになる部分をこんな軽く飛ばしてどうすんだ?本が売れなかったからダイジェストでも無理矢理完走する気か?
かつての90年代の「ヒーローズリボーン」のように!

 

とか、読んでる途中までは、これは何だかなぁ、まあ正直読むのもおっくうになってきた所だし、これはこれで納得しておくか。

 


・・・

 

・・・・・・・と!

 

思いきや!

 

そんな新生X-MENのお披露目以上のトンデモない事が起きる。

 


これは確かにヒックマンっぽいかも。
そしてクラコア編の行きつく先、
もはや人間達とは袂を分かち、ホモ・スペリオールとして違う価値感を持つ人間とは別の種族である事を宣言したその先にあるもの。

 

神の采配さえ超越した存在、というかマーベルユニバースはアスガルド人みたいなデミゴッドどころかエターナルズ、エクスターナル、セレスティアルどころか本当の創造神みたいな人達が普通に存在してる世界な訳ですし、描き方次第でこういうのは普通にありえる展開。

 

そして過去にだって、かつてのマグニートーが衛星軌道上にミュータントの楽園アバロンを建設したり、それこそジェノーシャやらクラコアやらミュータント国家を宣言する展開はいくつも語られてきた。

 

もはや我々は神をも超越しました。もう地球だけにもとどまる気はありません。宇宙全部がプラットホームです。さしあたり、惑星を一ついただいちゃおうかな。自分達の能力で住める星にしたから火星を我々の星にしますね。

 

っておいおいおいおい。

 

凄い展開来たなぁ。

 

まるで「我々は木星人なのだよ!SF映画に出てくる異星人のようにね!」
みたいな展開で痺れた。これぞSFの面白さ。

 

いやマーベル世界に普通に本物の異星人は山ほど居るし、今回もそういうとことの外交問題とかを描いてるけど、かつては人類との共存という理念を掲げてきたX-MENがここまで来たのかという。

 

今回、祭典にアベンジャーズとかサブマリナーとか他のヒーロー達だけでなく各界の有名人も招待され、その中で何とあのケヴィン・ファイギも登場。

 

サイクロップスに対して君の物語を聞かせてほしいと声をかける。
このシーンがメチャメチャ良くってね、多分私個人も今後何度もここを引用して行く形になるであろうセリフなので、ちょっと記録として残しておく。

 

「僕は無知だった でも、ある人物と出会って世界の仕組みを教えられた」
「彼を愛した 彼を愛し、彼を信じ、崇拝したとも言える。
 そんなわけで、彼が信じる理想を僕も受け継いだ。彼の理想を。素晴らしい夢を」

「でも、我々の世界は……この現実の世界は…夢を殺す。我々の信念を打ち砕く」

「やがて、彼を神格化するのは愚かだと気付いた。完璧な人を期待する方が間違ってる
 完璧な人間などどこにもいない・・・」

「我々の間には違いなんか無い。違いがあると言うのは嘘だ。
 彼は聖人じゃ無い。僕と同じような…ただのミュータント」

「彼の素晴らしい夢も他の人の夢と同じく現実的とは言えない」
「その考えが好きだ その可能性も」
「僕は夢想家 X-MAN」


いやこれね、アメコミとかの話じゃ無いですよ。
誰しも憧れの存在って居るじゃないでですか?
それは時に作家であったり、ミュージシャンであったり、スポーツ選手かもしれない。

 

あこがれて、あまりにも好き過ぎて盲目的になり、崇拝するようになる。
あの立派な人が言ってる事は全てが正しいんだと思いがちになる。

 

これね、私も経験あるし、例えば私の例だったらそれが富野由悠季であったり大槻ケンヂであったりしたわけですよ。子供の頃に触れた彼らは世の中の真理を突くそれこそ神のような存在に捉えてました。

 

でもね、自分も大人になって、最初こそただの視野の狭いダメなタイプのオタクでしかなかったけど、その後にそれではイカンとそこそこの勉強をして、そこそこの見識を深め、それなりに世の中の色々な事を見てきた上で、かつて子供の頃に憧れた彼らに再度触れてみると、勿論面白い存在である事に変わりは無いのですが、決してかつてあこがれた彼ら彼女らは神様なんかじゃないっていう事に気付くんですよね。

 

あくまで一人の人間の一人の考え方。そこを神格化するのはやめよう。だって下手したら知識なんか今の私の方が優れてる部分もあるし、神では無く隣人として捉えるようにしよう、みたいなスタンスが身についたんですよね。

 

盲目的に信仰するより、その方がずっと建設的ですし、むしろその方が面白味も増す。ただの信者になってはいけないな、と凄く思うし、逆に一人の人を崇拝して視野が狭くなってる人を見ると、かつての自分を思い出すし、そうじゃないんだよってつい言ってあげたくなる。

 


なんかねぇ、衝撃のSF展開にも驚かされつつ、上記のサイクロップスの変化の気持ちにグッと心を掴まれ、ここ数冊モヤモヤが高まっていた中で、抜群に面白い1冊でした。

 

次は「トライアル・オブ・マグニートー」ですね。
シリーズでありつつ、そこの話はヒックマン脚本じゃないのか。
今回で和解を果たしたと思われたスカーレットウィッチがいきなり殺害されるという展開からスタートするみたいなので、次も楽しみです。

 

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