僕はこんな事を考えている ~curezの日記~

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映画 ふたりはプリキュア Max Heart

映画ふたりはプリキュア MaxHeart [Blu-ray]

監督:志水淳児
日本映画 2005年
☆☆

 

映画「最強のふたり」に続いて最強のふたり。いや「MaxHeart」の方だから本当は3人ですけれど。
TVシリーズとしては無印「ふたりはプリキュア」に続く2作目「ふたりはプリキュアMaxHeart」(略称「MH」)キャラクターはそのまま引き継いでいますので2作まとめて「初代」と言われる事もあります。1年目は映画が作られなかったので、映画としてはこれが1本目のプリキュア映画という事になります。

 

説明すればそんな事をサラっと言えますが、実はそれ、サラっと流せる事じゃあないのです。これが初代ですので、当然オールスター物はまだありませんが、ここからプリキュア映画が始まりました。じゃあ、それの何が一体凄いのかと言えば、女児向け作品を「単独」で映画として公開する事が初めての試みであったという事です。

 

あれ?確かその前に「セーラームーン」とかも映画版やってたんじゃ?って思いますよね?私もそう思いました。でも、調べてみると必ず併映作品があるんですよね。「東映まんが祭り」という名前はもう使われていませんでしたが、セーラームーンはそんな感じで他の作品と組み合わせての上映だったようです。

 

キュアホワイト雪城ほのか役のゆかながよくこの辺りの事にインタビューやコメントで触れるのです。今はプリキュアの映画をやる事が当たり前みたいになってるけど、自分の頃はそうじゃなかった。初めての試みだったので、嬉しい半面怖さもあって、もしこれが興行的にあまり良くない結果になってしまったら、それは女児物を単独の映画でやるのはやはり難しい事なんだと判断されてしまう事にもなりかねない。プリキュアという単体の作品としてだけでなくて、ジャンルそのものの印象にまで影響してくるのではという懸念があったと。
なので、自分達が何か少しでも力になれる事はないものかと、今では恒例となっている声優舞台あいさつなんかも自分たちから話をもちかけたそうです。
なんかこの話だけでも泣けてきません?

 

当たり前は、最初は当たり前なんかじゃない。誰かが勇気をふりしぼって最初の一歩を踏み出したからこそ、その後に道は続いていくもの。TVシリーズの「ふたりはプリキュア」そのものもそうなのですが、この映画もまた最初の一歩であり、挑戦であったのだと。うーん、プリキュアって凄い!

 

この辺りの話で面白かったのは、「男児向け」映画には、極少数の割合いながらも女児も見に来るのですが、こと「女児向け」映画に来る男児は完全にゼロなのだそうな。勿論、自分は子供の頃見に行った事があるよ、っっていう人は世の中には絶対に居ないとは言い切れないとは思います。でも割合的には限りなくゼロに近い。

時代によっても違ってくると思いますし、近年のプリキュアに関するジェンダーうんぬんで男の子がプリキュア好きなのは悪い事なのか的なものはネットの記事やツイッターでよく見かけました。

でもなんとなくわかるんですよね。今でこそプリキュアおじさんとして平気で映画館に一人で見に行ってますが(だってこんなに面白いコンテンツ見ない手はないっしょ)もし自分が子供だったら、なんて事を考えるとTVでこっそり見る分にはいいけど、映画とか流石に行けないなぁと思います。もし誰か知ってる人に出くわしたら、それが噂になって「男なのにこいつプリキュア見てるんだぜ」的にいじめられたりしないかとか心配になるじゃないですか。プリキュア面白いんだよ、なんて堂々と言えるのはそりゃ大人だからです。

 

そこを考えると、女児向け映画を男児が見に来る割合はかぎりなくゼロっていう数字も頷ける話です。という事はですよ、それって興行成績的にも相当に不利ですよね。

そういった背景があるにも関わらず、プリキュアを単独映画として公開に踏み切った英断と、そして結果的に大ヒットの成績を残せた事は、単純に一つの映画としてうんぬんなんて事は別として、物凄く歴史的な意義もあるし、とても面白い事だと思います。

 

あ、ちなみに「スター☆トゥインクルプリキュア」の記事にも書いたのですが、私がガッツリとプリキュアにハマったのは9作目の「スマイルプリキュア」からで、映画もリアルタイムはそこからです。なので上で書いているような事は全て後になってから全部知った事で、プリキュアってこんな風になってるんだなと、調べれば調べるほど自分が知らない世界が出てくる事に物凄く面白味を感じたのでした。
その辺りを私なりにでも伝えていければなと思っていますので、もし良かったら今後もお付き合いしていただければ幸いです。

 

でもって興行成績と言えば、今回の映画には工藤静香がエンディングテーマと希望の園の女王の声を担当しています。全作では無いですが、割とプリキュア映画は芸能人をサブキャラとかで起用します。
昔は私も映画のメインターゲットとは違う層の取り込みみたいなものなんだろうなと単純に考えてました。でもいくら工藤静香のファンとはいえど、わざわざプリキュア映画見に来るものなのか?とか疑問に思ってました。

 

でもそれ、違うんですよね。単純に言えば宣伝費として芸能人を使ってるのです。今でこそメジャーになってタイトルブランド力もそれなりにあると思われるプリキュアですが、それでもきっと「プリキュアの映画をやるよ」っていう告知なり発表会見をしたとして、何も無ければそこに来るのは多分アニメ雑誌の記者だけだと思われます。
でもそこに芸能人が居れば、TVやマスコミも駆けつける。プリキュア映画の宣伝そのものでなくて、例え「○○がプリキュアに出演」という結果的に主語が違っていたとしてもそれでもマスコミに「プリキュア」という名前が出る。それだけで十分と言うか、それが目的であるわけです。例えワイドショーで1~2分程度の話題だったとしても、プリキュアという字を他の公共の媒体に露出させる事で、潜在的プリキュアという存在を認知させる。そういう事を意図的にやっているのでした。

 

え~?何をそんな当たり前のことを今更、と言う人も多いでしょうけど、私は最初そんな事もわかってなかったのよ。

なんでそれを理解したかと言うと、とあるフリースペースNPO団体に参加して間もなくの頃、割とマスコミが取材に来てて、「へぇ、結構取材とか来るものなんですね」と何気に言った所、いやいや君、違うんだよと。マスコミが取材に来やすい題材をこちらから提示しているから来るのであって、その辺りはちゃんと考えて運営してるんだよって教えてもらったのです。なるほどそういう事なのかと。

 

ただ自己アピールして取材に来てと言った所で、そんなのはせいぜい仲の良い友達くらいしか集まらない。そうじゃなく、マスコミがこれなら取り上げられる話題でしょ、っていうのをちゃんと用意しているから取材に来る。そこで名前を浸透させるというれっきとした戦略があった訳です。
そういった経緯があったからこそ、私はプリキュアに変身して花笠まつりに出場という私なりの戦略を試みたわけですが、それはまた別の話です。

 

うん、映画の内容の話全然してないね。

基本的なプリキュア映画のテンプレートとしては、TVシリーズの番外編的な位置づけで、直接TVシリーズ本編に影響する事は基本ありません。

キャラクターの基本設定くらい知っておけば、単品の中編(基本70分前後)として単独で見られるのですが、TV見てないけどなんとなく興味があるから1本だけ映画見てみよう、的な感じで見るのはあまりオススメはしません。お試しと割り切って見るのも悪くは無いとは思うのですが、それだったらTVシリーズの1巻とか手に取った方が良いような気がします。

 

そしてあまり褒められた事では無いのですが、劇場版ならではの超クオリティの絵、というのも基本的にプリキュアにはありません。いや、中には凄い作品もあるにはあるのですが、アニメーターの腕が大きく影響してくるので、むしろTVのある話数の方が超絶劇場版クオリティになったりする事がプリキュアにはよくあったりします。(MAD動画でよくまとめられてるのはそれだったり)映画単体として大予算をかけて、というよりTV何話か分の予算の番外中編くらいと割り切る部分が必要です。

 

ちなみに今作、クオリティは決して悪くないのですが、初めての劇場版というのもあり、おそらく制作側がスタッフコントロールをしきれてないのか、この時期のTV版の方の作画がちょっとガタガタになってたりするのがご愛敬。

 

ついでに言えば、TVシリーズと同時進行で作られている映画ですので、TVと映画では監督やプロデュサーがまた別の人がやっています。勿論、外部で無く同じ東映内ですのですり合わせなんかはやっていると思うのですが、多少のカラーの違いも出てたりします。その辺りの違いに気付けるようになったら多分立派なプリキュア上級者。

 

今回、見直してて思ったのですが、力で何かを勝ち取るとかでなく、あくまで何かを守るため、助ける為に戦うのがプリキュア、という基本的な部分がきちんと映画でも描かれてたり、倒れても何度でも立ち上がる姿(そこで日常話がふと出たり!)とか、無印の1年間を踏まえてプリキュアってこういうものだというのがきちんと描かれてる辺りが面白いなと感じました。

 

そして、それぞれの7人の妖精たちがもつダイヤモンドを掲げ、プリキュアに力を!ってやってる姿は、まさしく後のミラクルライトの原型っぽくてちょっと驚かされました。(プリキュア名物ミラクルライトはまだ1作目のこの時点では無いのです)でもってパワーアップはゴールドクロスを纏う東映的センス。

ラストカットの「かえるぴょこぴょこ」って所も映画的なカットで締めるのもなかなか面白い。

 

普通に面白い映画なのかと言えば、ちょっと返答には困ってしまうのですが(つまんなくはないよ!)こうして見返すと、いくらでも語れる作品だなと改めて思います。


「MaxHeart」としては2本映画が作られてて、こちらはいわゆる後の「春映画」ポジションですが、公開日が3月中旬でなく4月中旬。春というよりGW映画という側面が大きかったのかな?ひかりもTVでルミナスに変身してすぐの頃のはずですので、まだ十分に力を発揮できず、なんかやたらと弱いのですが、なぎさ、ほのか、ひかりがパーティ用にドレスアップしてて、個人的にはひかりが一番可愛くって好きです。

 

あと、アクションはそんなに期待しない方が無難。よく、初代はアクションが凄くて、それに比べて最近のプリキュアは・・・という人が多いのですが、そういう人は最近のプリキュアもちゃんと見てなければ昔のプリキュアもちゃんと見てません。昔も最近も、要所要所に超絶アクションがあるのであって、全部が全部ではないので、「今のプリキュアは・・・」はスルーして今のも昔のも全部見るのが正解!

 

あ、そういえば無印総集編どうしようかな?TVの方のDVD-BOX持ってるし、逆に「2時間に纏めました」とかじゃないので、気軽に見る感じでは無さそうでちょっと迷ってます。

 

え?プリオタなら買わないなんてぶっちゃけありえない?


いやいやいや、「ぶっちゃけありえない」って言うのはね、OPと本名陽子とこの映画のほのかだけで、なぎさの口癖は「ありえない…」だけなんだよ!とか言いたくなるプリオタ。(いや実際は何度かはなぎさも言ってるんだけどね)

 

こんな感じで順番に映画シリーズ今後も取り上げていきます。
MCUと同じで次がいつになるのかは急かさずまってて下さいな。


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