僕はこんな事を考えている ~curezの日記~

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ランボー ラスト・ブラッド


ランボー最後の血戦!『ランボー ラスト・ブラッド』本予告編

原題:Rambo: Last Blood
監督:エイドリアン・グランバーグ
アメリカ映画 2019

 

<ストーリー>
グリーンベレーの戦闘エリートとして活躍していたジョン・ランボーは、いまだベトナム戦争の悪夢にさいなまれていた。ランボーは祖国アメリカへと戻り、故郷のアリゾナの牧場で古い友人のマリア、その孫娘ガブリエラとともに平穏な日々を送っていた。しかし、ガブリエラがメキシコの人身売買カルテルに拉致されたことで、ランボーの穏やかだった日常が急転する。娘のように愛していたガブリエラ救出のため、ランボーグリーンベレーで会得したさまざまなスキルを総動員し、戦闘準備をスタートさせる。


「ロッキー」と並ぶシルベスター・スタローンの代表作「ランボー」シリーズ5作目にして最終作。というか前作の「最後の戦場」も最終作。今回も最終作。きっと次回作も最終作ですよね。

 

ええと、まず私のスタンスから。特にスタローンのファンでもなければ思い入れもありません。80年代もどちらかと言えばスタローンよりシュワちゃん派でした。ただ、ランボー1作目「ファーストブラッド」は超超超超名作だと思っています。

 

映画好きなら誰もが認めざるをえない「ランボー」1作目。原題はファーストブラッド。熱心な映画ファンでない人がランボーというキャラクターに抱いているイメージとは1作目に限り全く真逆の作品である、っていうのも映画好きにはあるあるネタです。もし、見た事が無い人が居ましたら、一度は見ておくべき作品ですので是非。

 

ポプテピピック」でパロディーをやってましたので、そこで気になったというような
新しい層も居るかなと思うのですが、ランボーがワンマンアーミーとして戦場で大活躍するのは2から。1はベトナム帰還兵の悲哀を描いたアメリカンニューシネマ色の強い作品です。私はアメリカンドリームを描いた「ロッキー」より「ランボー」派。最も、ロッキーだって単純に勝つという話じゃありませんけれども。

 

勝手な想像ですけど、一応前作の「最後の戦場」で最終作として作ったものの、1作目が「ファーストブラッド」なら最後は「ラストブラッド」がいいんじゃね?みたいな安易な発想で作って無いか?と勘繰ってしまいたくなります。

 

実際の所、「最後の戦場」で長い旅路の果てにようやく「家」にたどり着いたランボー。スタローン自身もそこで終わったと思っていたものの、たどり着いた「家」には何があるんだろう?という所から今作の発想に繋がって行ったそうです。なるほど、確かにその気持ちもわかります。ランボーはその後どう生きたのか。

 

ロッキー・バルボアのように過去の仲間達を思い出の中に宿し、細々とながら平穏な暮らしをしているのだろうか?とか色々考えてしまいます。その後の物語なんて、想像に委ねるのが一番美しいし、そこが粋でもあり、映画でもある。蛇足と言われる覚悟をしつつも、あえてそれでも描く物語とは一体いかなるものなのか?

 

新たな家族を持ちつつも、かつてのベトナムのようなトンネルを掘り続けるランボー。心の傷はまだ癒えていないのか。つかの間の平和でさえ暴力の連鎖に巻き込まれていく、悲惨な世の中。う~ん、もっともらしい描き方をしてるとは思う。

 

でもね、私は思うんです。クライマックスの殺人ホームアローン。面白いというか、凄い見所ですよ。でもさ~、予告編を先に見ちゃってたというのもあってか、最初に穴掘ってる所からして、ベトナム要素なのは読み取れつつも、それ以上にアクションシーンの為の舞台作りの方の印象の方が強く思えてしまったし、暴力描写や負の連鎖、娘と共に馬に乗るシーンからその後の悲劇まで、ランボーの皆殺しシーンを見せる為だけの舞台装置にしか思えなくて、心からゲンナリしました。

 

「最後の戦場」の過ぎた暴力はまだテーマ性に基づくものだとは思えました。ただ今回はやっぱりクライマックスの殺人ホームアローンをやりたいが為に、あれくらいの事をされたらランボーもそりゃ怒るでしょ、ここまで残酷になるよな、という正当性を持たせる担保としてやってるようにしか思えない。

 

それってランボー2とか3でも戦争の悲惨さを上辺の名目上だけ一応入れてますよ、っていうのと何もかわらなくないか?スタローンがまだ肉体派ヒーローをやっていたいっていうエゴと、ファンもランボーにはこういうアクションシーンを望んでるんでしょ?どう?面白いだろ?みたいなものに感じてしまって、心底ガッカリしました。

 

最初から期待もしていませんでしたので、じゃあそんなのわざわざ見に行くなよって話ですが、それでもやっぱりランボーの新作とかあったら見るよな、っていう自分も居ますし、一概に文句ばっかり言うのもどうかと思う所もあってそれを観に行く自分もまたそういう所に加担している一人じゃないか?というモヤモヤも内心あったりします。

 

ロッキーシリーズも5で「最後のドラマ」なんてタイトルの後に6で「ザ・ファイナル」をやったり、どの作品にもそれなりの見所はあるんですけど、過去の栄光に縋って情けないな、という印象はありました。でもロッキーはその後に傑作の「クリード」という作品が生まれました。しかもクリード2は過去作品をこれ以上無いくらいのレベルで精算までしてくれたんですよ。


続編と言うのはこうあるべきだとスタローンはそこで学ばなかったんでしょうか?自分達が教え、引き継いで行くと共に、若い人たちからも相当な事を教えてもらったじゃないですか。

 

なのにランボーはこれなの?これでいいの?う~ん・・・。

 

今回の作品の作りもそうですが、とにかく一度どん底まで落として、タメにタメてから最後にどーんとクライマックスで爆発させる、という作りです。
シリーズとしても、ロッキーシリーズのように次の作品で、これぞ!というのを見せてくれて、「ラストブラッド」はその為の引きだったんだ、こりゃ評価を改めねば!と思わせてくれる事を心より望みます。ラストブラッドのタメがあったからこそ次の作品がこんなにも素晴らしい作品になったんだ、当時はわかんなかったよ、と再評価出来る時が来るのを私は待ちたいと思います。

 

おじいちゃんだって良いじゃん。イーストウッドだってあの歳になってからあんなにも凄い物ばかり作れるようになったんだし、老い=衰えなんて単純なものじゃない。なので、ランボーは「シリーズ物としても面白いんだよ!」って今後言わせてもらいたい。
そんな期待も込めて、今回はクソ映画だったと今は記しておきたいと思います。

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