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バトル・ロワイアルII 【鎮魂歌】

バトル・ロワイアル II 鎮魂歌(レクイエム) スペシャルエディション 限定版 [DVD]

Battle Royale II Requiem
監督:深作欣二深作健太
原作:高見広春バトル・ロワイアル
日本映画 2003年
☆☆

<ストーリー>
近未来、中学3年生同士に殺しあいを強いる法律「BR法」を生き延びた七原秋也(藤原竜也)はテロリストとなって大人たちへの復しゅうを開始し、東京を爆破。政府は新法律「BRII」を制定し、中学3年の1クラス生徒42名に、孤島に立て籠もる七原の暗殺を命令する…。

 

前作とはクラスを変えて同じような展開の別バージョンなのかな?それだったらあまり見る価値は無さそうだけど、でも藤原竜也がそのまま継続して続きっぽいし、一応見ておくか、と言う感じで今作に挑みました。

 

そしたら今回は全然違った。クラスでの殺し合いとかじゃなくて、「今度は戦争だ」と、中学生が戦場に駆り出されるという話。映画の続編という事で話は原作から外れて映画オリジナルのようです。

 

前作でも監督を務めた深作欣二が制作中に病気で亡くなられて、息子がそれを引き継いで完成させた、という作品のようです。有名作家の子供が、みたいな時点で結構危険な感じが漂ってますね。才能じゃ無くて親の七光りでしょ、みたいなのはね、カルチャーに関わらず、会社経営とかでも割と負の面としてありがちな部分ですし。

 

ゲド戦記」とかでもそうでしたが、立派な親と比較されてしまう子供の気持ちってのも、それはそれで興味深い部分ではあるのだけれど。ただ、その人にしかわからない苦労は勿論ありつつも、子供だから財産引き継げたのも事実だし、単純にバックボーンが何も無い人よりは恵まれてるんじゃ?という、ある意味での妬みはどうしても出ちゃうわな。1から出発してまた別の地位にまで登り詰めたとかなら凄いけど、そうじゃないなら、っていうフィルターはどうしてもかかってしまう。

 

で、今回の作品、戦争がテーマになってるのもあって、画面がとにかくドンパチやってて派手です。そういう所では、邦画でも結構面白い感じにやれるもんなんだなと最初は思ったのですが、実際のところは見た目が派手なだけっていう感じでした。

 

前作の良い所で、描写は短いけど、クラスメイトのそれぞれの個性みたいな所を描こうとしてそこは差別化されてて上手い部分だなって感心させられましたが、今回はそういうの一切無し。ただ派手にドンパチやって、ただ無駄に誰が誰だかわからないうちにドンドン死んでいくっていう形でした。もしかしてそれは戦場では個人のパーソナルな部分なんか出てる間もなく死んで行くんだよって意図的なものなのかもしれませんが、映画としては面白くないわな。

 

そこいくと前作のビートたけしポジションとして、今回の先生役で出てる竹内力、メチャメチャ面白かった。たけしの冷たい感じとかとはまた違う体育会系のヤンキーの怖さとか可笑しさとかが出てて、序盤の戦いに至るまでの部分は、何これ面白いじゃん!とワクワクさせられました。

 

が、最初の島に乗り込むシーン。何故かよくわからんけど、ノルマンディー上陸作戦のパロディーですよね。「プライベート・ライアン」辺りから戦場の描き方が変わってきたって映画史的にはよく言われますが、そこと同じようなシーンを作って、それで何をやりたいのかがよくわからん。あれの真似をしてみました以上の意図が私にはよく読み取れなかった。

 

ん~これ何だろう?とか考えながら見てると、今回はタッグ形式だから同じ出席番号のパートナーが死んだり、離れたりするともう一人も死ぬという形。戦いたくない人でも無理矢理戦わせなきゃならないからかな?とも思うのですが、なんかそれだと一人死ねばもう一人も戦力にならなくなるし、え?それはあくまで「ゲーム」だからなの?本気で藤原竜也を倒すとかいうのは無いものなの?と困惑してしまう。

 

弾丸の補給とかも、これもし敵にとられちゃったらどうするんだろう?とか思っちゃうし、そもそも敵は大した戦力じゃ無いなら、そのままヘリで爆撃とかすればそれで終わりなんじゃないの?と不思議な描写が最後までいっぱい。

 

藤原竜也側の描写も訴えてる事も奇妙奇天烈で全く乗れない変な物でしかなかったですし(何だ戦場でも子供達は笑ってたって)今回はヤンキーが大半ですが、不登校の子供とかも一緒になってるらしく、無気力に何の目的も無く生きるなら戦場で兵士にでもなった方が世の中の役に立つ、みたいな古臭いマッチョ思想みたいな感じで、とにかく設定もテーマも描き方も全部が陳腐な感じでザル。

 

私はいわゆる娯楽作よりも社会派作品みたいな奴の方が好きなのですが(一番好みなのはそこがバランスよく融合してる作品ですけど)社会派作品でも嫌な奴があって、それはちゃんと勉強して無い社会派作品です。社会的な問題に対して、自分が思うなんとなくの事を、きちんとバックボーンを調べたり、アカデミックな方できちんと勉強したわけでもなく、たいしてその分野に造形が深いわけでもないのに、変なメッセージとか出しちゃう作品が私は一番嫌いなパターン。まさにこの作品みたいなのがそれ。

 

観客側はまだ許されると思うんですよね、そこは。あまりこの問題の事は深くは知らないんだけど、気になって映画を見てみることにした、っていう入り口は全然ありだと思うんです。でも作る側がそれやっちゃだめだろうと。作品としてメッセージ的なものを残すんだとしたら、もう少し勉強しようよって思う。

 

ああ、芸能人のコメンテーターとかがしたり顔でニュースを語るとかそう言う奴ですね。大嫌いなの。素人は黙ってろとか言いたいわけじゃ無くて、その人なりの感じ方考えたは全然アリだしそれを表現するのは悪い事ではないんだけど、自分はこう思うんだけど、そこは素人意見なのでっていう一言が無いと凄く厳しい。そういう誠実さが無いのはちょっと許せないタイプ。素人意見もね、それはそれで面白いし興味深くはあるんだけど、じゃあ本当はどうなの?っていう裏付けがほしくなります。

 

なんというか、大人を舐めるなとか言いたいなら、舐められないような作品じゃないと全く意味が無いし、少なくともこの作品、1も含めてこんな作品を大人が作ってるなんてバカバカしいと思っちゃいますよね。

 

なんか最近こればっか言ってますが、今のオリンピックを強行しようとしてる世の中とかも、どうせ庶民なんかバカだからオリンピックで日本人がメダルとかとれば感動しましたって言って全部が丸く収まるんでしょ?っていう考えが透けて見えて、そう思ってる政治家も大嫌いだし、実際にそうなっちゃうようなバカな大衆も私は大嫌い。中には子供であってもそう思ってる人は少なからず居ると思うんですよね。そういう人にとっては、希望じゃ無く、こんな世の中クズだなっていう絶望を振りまいていると思うんだけど。

 

バトルロワイアルっていう作品もそうで、大ヒットしたし、当時の子供たちの中にも響いた部分は多少なりともあったのかもしれないけど、同時にその中にはこんな下らない物使って若者とか自分をひとくくりにされたくないよって思った人だってきっと居たはずだと思いたい。まだ世の中を知らないなりに、何かこれ違うわなって違和感を持ってる人だって居たんじゃないかなと。

1と2を通してそんな感じの感想を持ちました。

 


で、こっからはオタク話。加藤夏希が出てるのだけは知ってたんだけど、あれ?もしかしてこの人、ギャバンタイプGの人じゃね?とか思いながら見終わって、スタッフロールのキャストのとこをじっくり見てたら、ん?末永遥菊池美香って同姓同名かな?とか思いながら、後から調べたら本人。全然知らずに見てたので、どこに出てたかとかまではよくわかんないんだけど、後の東映特撮に出る人がやたらと出てる。

 

仮面ライダーファムに、仮面ライダー・ザ・ファースト、ギャバンにボウケンピンクにデカピンクにマジグリーンまで出てたのかこれ?特撮俳優じゃなく声優だけど、ガンダムAGEのフリットとかダイの大冒険のポップ役の豊永利行まで出てたっぽい。なんかその辺目当てでもっかい見ておこうか?と一瞬思ったくらい。いや時間勿体無いので思いとどまりましたけど。

 

この作品も東映作品なので、繋がりのある事務所から後の特撮作品のオーディションとかにも声かかったとかなのかな?前作も、後に普通に俳優として成功した人が多い作品として知られてますが、オタクとしては2の方がこれは!っていう人の名前が多くて個人的にはそこが面白い部分でした。

 

映画としてはチグハグな部分というか、ザル設定にあまりにもついていけない酷い映画だと思いますが、竹内力だけは100点、あとはオタクに響く俳優が多数出演って部分で、もしかしたら前作よりは好きかも。


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