原題:DOCTOR STRANGE
監督:パトリック・アーチボルド、ジェイ・オリヴァ、ディック・セバスト
原作:MARVEL COMICS
OVA アメリカ 2007年
☆☆★
マーベル・アニメイテッド・ユニバースの第8作目。
ドクター・ストレンジのオリジンとドーマムゥを撃退するまでが描かれる。
MCU映画の10年前に作られたOVA。オリジンからドルマムゥ戦と、映画に近い素材なので、どうしても比較して見てしまいますが、映画はいかに頑張って作ってたかがよくわかります。いや勿論この作品を頑張って無いなんて言うのも違いますけど、どうにもセンスが古臭い。MCU以前のマーベル映画に近い感じがしました。
ブレイドを皮切りにX-MEN、スパイダーマン、ファンタスティックフォー、ハルクにデアデビルにパニッシャーにゴーストライダーと色々とありましたが、あの時代にドクター・ストレンジが実写で作れてもこれくらいの作品になっちゃってたかも?なんて思ってしまいました。つーかこの作品がそもそも2007年ですしね。
あの時代はあの時代で勿論私は好きですが、ちょっと野暮ったい感じ。個人的にはX-MENに思い入れがあってが好きなんですけど、MCUと比べると、その時の昔の感覚のままずっとフランチャイズを続けてる印象が強くて、「ファーストジェネレーション」とか「ローガン」とか「デッドプール2」辺りは頭一つ抜けたものはありましたけど、好きな人は好きだよね、だけどその外までは届かないかも?感が個人的にあります。
こちらのアニメだと、実写映画にあった、世界がよじれるみたいなグラフィックの面白さが無くて、割とありきたりな魔法表現に終始してる感じ。今までに見た事の無い絵とかじゃなくて、どこかで見た事のある絵ばかりなのが古臭く感じる要因かも。
単純に魔法・超能力アクションみたいな部分ではそれこそ先日見た「ロシャオヘイセンキ」があまりにも凄すぎて、あれを見てしまった後だとしばらくはあの壁は越えられそうに無い感じです。
ただ、そんな中で、いかにもな東洋思想かぶれみたいな部分は面白いです。エンシェント・ワンの教えで、この石は重いと思っているから重いのだ、軽い物だと思えば軽くなる、みたいなのを西洋人で、尚且つ医者と言う生物の理屈まで知り尽くしている人間だから、どうしてもその先入観を拭えずにいる中で、理屈に合わない、物理的にありえない現実を見せつけられて、一体何だこれは?みたいになっちゃう辺りが滑稽だけどやっぱり面白い。
私も理屈や理論、物理学的にありえないものとか信じないタイプの人ですが、それでもオカルトとか超能力とかそっち方面好きなので、ありえないと思いつつ、こういうのは結構好みなジャンルです。
密教の修行なんだか、カンフーの修行なんだかよくわからんオリエンタルな物をごっちゃにしてる感じがとても面白い。
あと、映画では触れていなかった部分で、ストレンジが医者を目指した切っ掛けが妹の命を救えなかった、っていうのが描かれてました。原作だと水難事故で妹を失ったっぽいですが、こちらは難病で、ストレンジがそれを治療しようとするも、力が及ばず、みたいなアレンジになっていて。自分の力が足りないから救えなかったんだと、そこにずっと囚われているものの、エンシェントワンはそもそも妹は救えなかった運命、それを受け入れない限りお前は前に進めないと諭す。この辺りの部分は「ドクターストレンジ」らしい部分かなと思う。
ソーサラー・スプリームを受け継ぐ下りとか、ストレンジにたまたま才能があった?部分とか結構雑に感じましたが、そこは「そういう運命なのじゃ」で良いんでしょうか。う~ん・・・運命って便利な言葉です。
でもまあ映画を見て原作を読んでこうして色々な関連作に触れてると、魔法って部分だったり、元は医者だったっていう設定とか、東洋思想なんかも含め、ドクターストレンジって凄く面白い要素がいっぱいあるんだなぁと改めて知る事が出来て、結構面白いです。
ハゲてないウォンとか、映画では最後に離脱しただけだったモルドの悪役っぷりとか、他では見られない部分もあって予想以上には楽しめました。
Doctor Strange: The Sorcerer Supreme - Trailer [2007]
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