僕はこんな事を考えている ~curezの日記~

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ワールドヒーローズ (3)

ワールドヒーローズ(3) (ヒーローズコミックス)

WORLD HEROES
漫画:横尾公敏
原作:SNK
小学館クリエイティブ刊 HCヒーローズコミックス 全3巻(2019-20)
☆☆☆★


史上最強を決める
史上最大の戦い、
決着!!
伝説の格ゲー“ワーヒー”コミカライズ完結巻!

 


続き早く出ないかな~と思ってた所で本屋さんで出たばかりの3巻発見。やった!と思ったらこれが最終巻になっちゃうんですね。そこはちょっと残念。

 

内容的にはゲーム3作目「2JET」ゼウス編に絡めた内容。1巻2巻と比べると、やや駆け足な印象もありますが、打ち切りで無理矢理終わらせた感はあまり無いです。

 

1巻のあとがきでも書いてましたが、4作目の「パーフェクト」制作には関わっていないので当時ゲーム制作をしていて本人の頭の中にあったワーヒーの世界観をこうして出しきったという感じなのかな?

 

勿論、自分が関わっていないからと言ってパーフェクトも無かった事にするわけではなく、派手な究極奥義とかはパーフェクトの物を使ってますし、ストーリーもここからパーフェクトに繋がるんだよ、的な感じで終わらせてます。

 

原作ゲームではほとんど描かれる事が無かった、タイムマシン開発者のブラウン・シュガー博士の苦悩と、歴史改変の是非について。メタ的に「ワールドヒーローズ」っていうゲームが過去にあったんだよ、我々はその歴史の中に生きているんだよ、星の数ほどあるゲームタイトルの中で「ワーヒー」というタイトルが残した何かは絶対にあるはずなんだ、そこは開発者としてのパーソナルな感情かもしれないけど、当時も、そして今もワーヒーを愛する人に何か形として刻みこんでおきたい、的な執念が宿ってるのがこの作品なりの特別な面白さだと思います。

 

ただの人気作(というより「カルト作品」の方がワーヒーとしては近いかも)のコミカライズっていうだけじゃなくて、ゲームの制作者自らが手がけるコミカライズという特殊な位置付けに意味を見いだせる作品になっていたんじゃないかと。

 

単純にメタ要素が面白いっていうだけでなくて、そこに魂やら執念が宿っているというのは、例えば当時ファンだった第三者が描くとかではなかなか難しいでしょうし、今回のコミカライズの最大の特徴といった所でしょうか。ガンダムで言う所の安彦版ジ・オリジン的なのの格ゲーコミカライズ版みたいな。

 

尺があればもう少し色々なキャラの掘り下げ出来たかな?という気はします。今回、リョウコ回り設定変えてますよね?元々こういう裏設定だったのかな?どう考えてもヤワラちゃん(当時で言えば田村亮子)がモデルでしょうし、同時期に「ファイターズヒストリーネオジオ版ならダイナマイトでも同じキャラ居ましたが、今回は彼女が元居た時代にはオリピックに女子柔道の種目が無かったから今回のワールドヒーローズに参加したという事になってる。


で、大会後にちゃっかりタイムマシンで初めて女子柔道が正式種目になった92年へ行く、という色々と考えた設定。お父さんも顔に傷がある何か曰くありげな感じですが、何かのADKキャラなのかな?それとも東京オリンピックに絡めた史実ベースの人?色々と考えてはあるような感じです。

 

設定的には「ニンジャコマンドー」の使い方もやっぱりファンとしては嬉しいし、単純に一つのドラマとしても、ハンゾウに対するフウマの気持ちとか、見応えのある作品になってました。

 

そしてハンゾウの危うさもこう生きてくるのかと。単純にキャラクターとしては「ストリートファイター」シリーズのリュウのストイックさをコピーしたような部分があるかなとも思うのですが、そこを忍者設定とタイムトラベル要素を生かして、きちんとリュウとは違うキャラクターに出来てたんじゃないかと。そこは凄い。

 

そもそも「ワールドヒーローズ」ってネオジオの代表的な作品でもあるし、シリーズ4本作られるくらいの人気はあるとしても、SNKやカプコンと比較してしまうと、そこまで大きいメジャータイトルでも無いとは思う。他の各ゲーと並行してちょこちょこやってたよ、くらいの人が多いのではないかと。そこ考えると、あまり売れ筋とは言い難いなとは想像しつつも、届く人には届く作品になっていたんじゃないかと思います。面白かった。

 

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