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ファイアーエムブレム 覇者の剣

【コミック】ファイアーエムブレム?覇者の剣?(全11巻)

原作:井沢ひろし
漫画:山田孝太郎 
協力:任天堂インテリジェントシステムズ
刊:集英社 ジャンプ・コミックス 全11巻 2002-5
☆☆☆★

 

GBA「封印の剣」「烈火の剣」をクリアした今のタイミングで読まなければ確保だけして一生読まないパターンになりかねないのでここは一気に読む。

 

封印の剣」のメディアミックス作品で、ゲームの方にはアルの剣、ガントの槍、ティーナの杖、とかが出てたくらいですが、こちらの方はゲームと同じ世界観の中で漫画オリジナルの主人公の物語が展開し、ゲームのキャラもちょろっと出てくる、くらいの、いわゆる外伝コミックみたいな感じで序盤~中盤くらいまでは展開。

 

ただ、月刊誌(月刊ジャンプ)での連載だったためペースは遅く、連載中にGBA2作目「烈火の剣」も発売。・・・どころかGBA3作目「聖魔の光石」まで発売しても連載は続いていたっぽいです。


ゲームの販売促進の為のメディアミックスという役割じゃなくなったのもあってか、中盤からはゲームの方の主人公、ロイ率いる軍へ合流。「封印の剣」のコミカライズ版に近い形になっていく。山場もゲームと同じくゼフィール戦。ロイとアルのダブル主人公的な形でゼフィールに挑む。

 

ゲームの方のファンならば、序盤は入れ換わりで数人しかゲームキャラが出てこないので、そこが目的で読んでるとちょっとツライ気もしますが、中盤からはガッツリとゲームの物語が再現される。盛り上がってくるまでに若干のペースの遅さが気になるかもしれない。

 

で、「ファイアーエムブレム」という作品、FC・SFC版の時代から何度かコミカライズ化はされてきたのですが、絵柄が少女漫画路線。まあゲームの方もキャラデザがそっち寄りになっていったゲームでもあるので、そこは普通にアリだと思うのですが、今回はそんな過去作との差別化というのもあって「今回は少年漫画で」というコンセプトだった様子。

 

絵柄も序盤はディフィルメの効いた少年漫画風だったのが、ゲームキャラをなるべくゲームに近い感じで再現しようという部分もあってか、中盤以降どんどんそっちに引っ張られて、線が細く耽美な感じに全体の絵柄も変化していく。

 

特に主人公のアル。封印された力を解放する流れで、劇的な変化が起きる。少年漫画風の主人公だったのが、バキバキの美形キャラにいきなり変身。なんだこりゃ?と思ったものの、そこにちゃんと理由がつけられる。「アルはクラスチェンジンジした」・・・ああそうね、クラスチェンジすると確かに容姿も変わるからな。エムブレムらしい所を突いてきたかと。

 

いやクラスチェンジすると2頭身からいきなりリアル体型になるのは「FF1」じゃねーかと突っ込みたくもなる。

 

しかもね、クラス(職業)名が「ドラゴンロード」とかになる。
主人公の秘められた過去が明かされ、竜族と人間の血を引く子供だった・・・って!
どこのドラゴンの騎士様ですか?

curez.hatenablog.com

 


というかドラゴンロードとか言われるとおっさんの私は電撃稲妻熱風!
とか歌っちゃうぞ。

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そんなツッコミ所はありつつ、ゲーム主人公のロイを立てつつ、漫画主人公もちゃんと存在感を失わず、ゲームのボスのゼフィールの事もきっちり掘り下げ、その上でゲームのクライマックスの他にアル用のラストバトルとかも最後に入れてくる。

 

ゲームのサイドストーリーとしても面白く、ゲームの話を再現するコミカライズ版としても上手く、どちらも、そして敵キャラや脇役まで丁寧に愛情を持ってバランス良く描き切る、という手腕は正直とても上手いです。

 

この手の奴ってね、一部見所や魅力はあるけれど、全体的にはちょっと・・・そこは企画物だから仕方ないよね、というのが大半だと思うんですけど、そんな言い訳は必要無いくらいに上手く出来てる漫画だと思います。流石、時期を外れてまで続けてきちんと完結まで持って行っただけのものはある。つまらなかったりファンの反応が良くなかったら普通に切られてすぐ終わらせられるタイプの企画物なのに、こんなに長く続いたのはきっと内容が良かったという事なのでしょう。

 

私が「封印の剣」でエースとして使ったドロシーなんて1コマしか出てこないし、ウェンディなんか未登場だったりするので(もしかしたら背景モブくらいには居るのかも?)自分のお気に入りのキャラが活躍しない!みたいな不満はあるかもしれませんが、「封印の剣」(と、ついでに「烈火の剣」も)が好きなら一読の価値は十分にある漫画です。

 

ああそうそう、一つ大きく感心したのは、ちゃんと軍が大軍勢として描かれる所。ゲームだとメインで15人くらい。控えまで含めても20~30程度の軍勢ですけど、国家間の戦争や城攻めなんかが話として描かれるわけで、何百何千というモブ兵士もきちんと戦っているんだよ、というのをきちんと絵で描写してあるのは素直に凄いと思いました。描く方は物凄く大変でしょうに、ゲームに習って30人だけの軍隊とかにせずに、リアルならこれくらいの感じだろう、みたいなのをね、ちゃんと考えて描いてる感じが凄いです。

そういうのも含めて、かなり良質なコミカライズ作品じゃないでしょうか。

ファイアーエムブレム‾覇者の剣1 (ジャンプコミックス)

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