僕はこんな事を考えている ~curezの日記~

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はちどり


世界各国で50冠以上!韓国映画『はちどり』予告編

原題:벌새
英題:HOUSE of HUMMINGBIRD
監督・脚本・制作:キム・ボラ
韓国映画 2018年
☆☆☆★

 

<ストーリー>
1994 年、ソウル。家族と集合団地で暮らす14歳のウニは、学校に馴染めず、 別の学校に通う親友と遊んだり、男子学生や後輩女子とデートをしたりして過ごしていた。 両親は小さな店を必死に切り盛りし、 子供達の心の動きと向き合う余裕がない。ウニは、自分に無関心な大人に囲まれ、孤独な思いを抱えていた。
ある日、通っていた漢文塾に女性教師のヨンジがやってくる。ウニは、 自分の話に耳を傾けてくれるヨンジに次第に心を開いていく。ヨンジは、 ウニにとって初めて自分の人生を気にかけてくれる大人だった。 ある朝、ソンス大橋崩落の知らせが入る。それは、いつも姉が乗るバスが橋を通過する時間帯だった。 ほどなくして、ウニのもとにヨンジから一通の手紙と小包が届く。


「パラサイト半地下の家族」と賞争いをしたらしい韓国映画。予告編で面白そうでしたので観て来ました。

 

これといった大きい事件的な物が起こるわけではなく、中学生の少女ウニの心の動きを丁寧に追っていく作品でした。ドラマチックな話という感じでは無かった。

 

今では無く1994年と明確に時代が設定されているので、ソンス大橋の崩壊とか、金日成主席の逝去とか、近代化の為の立退きなんかが物語の背景に入る。ストレートにその辺りの社会背景に問題定義を投げかけるというより、時代の変化、移り変わりという部分が、中学二年生の少女の微妙な変化というのに重ねてあるのかなと思います。

 

そう、そこがポイント。そこに乗れないとやや退屈な話に思えてしまうかも。そこで、わかるわかる中二の頃ってこういう感じあるよね!わかるわ~って思えると恐らく感情移入度MAXになるタイプの映画。すご~く些細な感情や状況の変化なので、同性の女性の方が多分共感できるし、これが男だと、わかる部分もあるにせよ、多分男はこの時期もっとアホなので自分もこんなだったな、みたいにはなりにくい気がします。

 

あの後輩の子とのやりとりとか、なんじゃそれ!って思ってしまうとちょっとキツイ。恋とか友達とか家族との関係、上手く行かない焦りや、世の中と自分なりに向き合おうとはするんだけど、その理不尽さとかをなかなか飲み込めずに、時に感情を爆発させてみたりとか、ああ、わかるわ~って上手く乗れればグッと来る話。

 

私は残念ながら、ああ確かにこういうのあるかもしれないね、くらいには思えても、気持ち的には完全に乗れたかと言えばやっぱり微妙な所でした。

 

後は直接94年特定でなくとも良いとは思うんですが、まだまだ男尊女卑が強い時代ってのは凄く感じました。今の韓国はどうなのかな?日本でも、こういうのはもう古い価値観だから変えていかないと、という声は昔よりはあっても、多分まだまだですよね。私個人の感覚でも、この辺りと実際はほとんど変わっていない気がします。

 

お父さんとかお兄さんとか、男なりの悲哀みたいなものも多少はあったようには思いますけど、女性の視点からみるとこういう感覚なのかな?やっぱそこに理不尽さを感じるよね、みたいには思いました。

 

単純に誰かを悪人にするんじゃなく、人として波のある描き方と言うか、グラデーションですよね、あえてわかりやすくしない描き方で、その辺りは面白かったかな?

 

日本映画のアート系っぽい作風に近いと言えば近いんだけど、邦画だとこういうの少女の危うさと、それでも理不尽な世の中で生きていく少女の美しさ、みたいな方になりがちな気もするんですが(それも偏見かなぁ?)案外そういう感じとも違っていて、そこは新鮮だったかも。やってる事はアート版中学生日記みたいな感じかとは思うのですが。

 

映画の中で出てくるボーイフレンドみたいに、女の子がグズグズになってる隣でポカーンとしてるのがやっぱり男だよね、みたいな気がしないでもないです。

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