僕はこんな事を考えている ~curezの日記~

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マーベル映画究極批評 アベンジャーズはいかにして世界を征服したのか?

マーベル映画究極批評 アベンジャーズはいかにして世界を征服したのか?

MARVEL CINEMATIC UNIVERSE
LTIMATE STUDIES
How did The Avengers conquer the world?
著:てらさわホーク
刊:イースト・プレス
2019年
☆☆☆☆

 

アベンジャーズ
排外主義と同時多発テロ
人種差別とホロコーストと…
戦ってきた!

 

著者はシュワルツェネッガー主義、映画秘宝やアトロク、最近だとアメコミ翻訳家の御代しおりさんとyoutubeで番組なんかもやってるてらさわホーク氏。

 

エンドゲーム公開時期に合わせて出たMCU評論本で、1作目「アイアンマン」から21作目「キャプテン・マーベル」までのMCU映画を1作づつ評論していくという内容。

 

当然ながらエンドゲームに関してはあとがきでこれから公開になると、予告編の事にしか触れられてませんが、見てからでは刊行に間に合いませんし、そもそも当時は公開後もしばらくはネタバレ禁止になってましたので、そこを待ってからでは売れる時期を逃す形になっていたでしょうからこういった形もやむを得ないと思われます。

 

ただやっぱり万が一、後に文庫化とかされる機会がありましたら、切り良く「エンドゲーム」と「ファーフロムホーム」まで追加してほしい所です。

 

ちなみにこれ、マーベルのクレジットが入っていない非公式本。つっても違法とかそういうのではなく、ポスタービジュアルとか写真とかそういうのを使っていないので、マーベルとか映画会社の許可とかは要らないというわけです。とはいえコミックの方の表紙なんかは何点か掲載されてたりしますので、書評の引用とかと同じで、そういうのは許可をとる必要はないですしね。

 

一度目は一気読みした後に、ブログでMCU映画を見る度に、こちらも読み返す、という事をしていました。1年間つきあってきた本なので結構ボロボロになってしまった。

 

帯の文句だけだと結構社会派っぽい印象もありますが、そこまでお堅いものではなく、まあいつもの映画秘宝くらいのノリです。


ホークさん、他の本でもそうでしたが、「ここまで自分で書いてきて思うのだが」とか、ちょっと原稿を書いてる自分の気持ちとか変なとこでたまに入りますよね。作業風景が想像できて、素人ブログながらこうして物書きっぽいことをしてる身としてはそこちょっと好きです。評論のノイズになるほどではないし、サクッと読める文章を書く人なので、特に著者を知らない人にはあまり気にらない部分だろうとは思いますが。

 

明確に全ての作品をこの視点でっていう軸が無いので、作品ごとに結構ふわふわした部分もあって、かしこまった評論本という感じでは無いのが良くも悪くもな部分はあったりしますが、統括プロデュサーのケヴィン・ファイギはともかく、マーベルCEOのパールムッターと、その確執とかはあまり他の本では触れられる事が無い部分なので、その辺りは私も初めて知る事も多くて、とても興味深く&面白く読めました。

 

MCU作品はどれも面白いのであまり気になりませんが、フェイズ1の頃とフェイズ3の頃ではやっぱり色々な変化は感じられます。そこは単純にルッソ兄弟とかガンが優秀だった、とか片付けてしまいがちですが、制作側の背景とかそういう所も色々と絡んできてる所もあって、思った以上に複雑な経緯だったと知れて、多角的にMCUを知る事が出来ました。

 

マーティン・スコセッシがMCU批判したのはエンドゲームより後でしたっけ?なので、この本でその辺りに触れる部分は無いんですけど、やっぱりかなり特殊な作品群だとは思うんですよ。

 

元がコミックというのもあるし、こういうTVドラマみたいな連作やユニバース化というのも映画としては新しい部分。そして歴代興行収入を塗り替えるほどの大ヒット「鉄は熱い内に打て」じゃないですけどまさにこの本もその熱があるまさに渦中で書かれた本です。(この本独特の視点こそあれど)

 

これね、また10年後とかだと絶対別の視点になるんですよ。私は元からアメコミヒーロー物が好きなので、見続けるつもりではいますし、映画としてもブームとしても続いてほしいけれども、後年になってみれば、絶対ここがピークだったと過去形で語られる事になると思ってますもの。

 

映画史的にMCUの隆起はこれこれこういう事だった、ともう少しマクロな視点からこのブームが語られる事は絶対に来ます。その時に、当時の渦中にあった中で出されたこの本の価値とか評論ってまた別の意味の価値が出てくると思うのです。

 

この本そのものも、これまでの作品をもう少し冷静に分析してみようっていう意図はそこかしこに見られますが、ここに書かれてる内容は決して誰もが頷く客観的な評論とかにはなってないはず。逆に言えば今後そういう評論なりはもっと出てくるはずで、比較対象としてのこの本の別の価値も出てくるように思います。

 

どうしよう?10年後も世間はマーベル映画にこれまで以上に熱狂!とかやってたら。いや、ファンとしてはそれはそれで嬉しいのだけど。

 

キャラクター解説とかそういうのとはまた別に、各作品の背景にあったもの、という意味でのMCU副読本としては十二分に価値のある一冊になっているんじゃないかと思います。

 

意識した事無かったけど、もしかして私は「プリキュア」でこんな感じのものをやりたくてブログ書いてたりする所はあるかも?という気がしてきた。

 

という所で準備完了。次はとうとう「エンドゲーム」に突入です。

 

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