MARVEL RISING
著:デビン・グレイソン、ライアン・ノース、G・ウィロー・ウィルソン(ライター)
マルコ・フェイラ、ジョージ・ドゥアルテ、ロベルト・ディ・サルボ、
アイリーン・ストリカルスキー、ラモーン・バッハ(アーティスト)
訳:御代しおり
刊:MARVEL ヴィレッジブックス
アメコミ 2019
収録:MARVEL RISING #0(2018)
MARVEL RISING:ALPHA #1(2018)
MARVEL RISING:SQUIRREL GIRL/Ms.MARVEL #1(2018)
MARVEL RISING:Ms.MARVEL/SQUIRREL GIRL #1(2018)
MARVEL RISING:OMAGA #1(2018)
☆☆☆
リス娘×伸び伸び女子高生
これからのマーベルを担う若手ヒーローが集結!
新作アニメ『マーベルライジング』原案
リスパワーのスクイレルガール、伸縮自在のMs.マーベル、新世代
のマーベルヒロインがタッグを結成!アルバイトでプログラムの授業を
受け持ったスクイレルガールの生徒は、なんとMs.マーベル!
例によって事件に巻き込まれた二人は、互いの正体を疑いながら
解決に奔走するが、事件の裏には意外な真相が隠されていた!
アニメ『マーベルライジング』原案の新感覚コミック登場!
という事で、ディズニープラスで結構な本数が配信されてる「マーベル ライジング」シリーズ。そちらに手を付ける前にせっかくなのでこちらから。(発売時に一度読んでますが)
原作というより、新しいファン層に向けたマーベルの新世代ヒーローを集めたアニメを作ろうっていう企画ありきで、じゃあコミックの方もそれに合わせた企画でっていう感じで刊行されたもののようです。
アニメの方はマーベルユニバースの複雑な歴史を知らなくとも楽しめるよう別アース扱いの話のようですが、こちらはメインユニバースのアース616基準。詳しい背景は出てませんが、キャラ説明的にはチャンピオンズはもう結成後のようです。ただ、基本はカマラちゃんとスクイレルガールが初対面で意気投合してチームアップ、そこにインフェルノとアメリカ・チャベスが合流というような形になってますので、あまりメインストリームの流れとかは気にする必要は無し。
カマラちゃんはスーパーヒーローのファンフィクション(同人小説)を描きつつ、ゲーマーだったりとオタク要素強めな中で、スクイレルガールもその手のノリに合わせられるキャラなので、相性は良い感じ。
ヴィランとなるエミュレーターがゲームキャラを実在化させるという能力で、全体的にゲームネタ多い。そんな所からもイマドキの若い人向けを狙った話というのは凄くわかりやすい。MMOをやりつつ、ドンキーコングとかも出て来ますけど、レトロゲーはレトロゲーとして、昔はこういとこからゲームが始まったんだよ、くらいの認識はあるって事でしょうか。
孤独感を募らせたインフェルノが黒幕のあいつにメールで上手い事言いくるめられるって辺りも凄く今風。黒幕は古参ヴィランなので、逆に古臭さが強調されていて、そこでも新世代の台等みたいな所はきっちり描かれてます。
解説でも触れられてますが、チームの4人中3人が女ってのも今風ですよね。ここはポリコレうんぬんじゃなくて、マーケティングでの部分。
アメコミはもはや30代40代のおっさんオタクしか読まないとか言われるようになってから結構経ちますが、MCUの隆起とかもあって、今の内に新しい読者層を開拓していかないと未来が無いそっていうのがコミック業界の悩みの種だったわけですが、幼年層の取り込みとかはこれまで通り狙いつつ、新しいマーケットとして女性層の取り込みというのもあって、新生Ms.マーベルとかが話題性・注目度も高くて、その辺りを契機に若手ヒロインキャラが乱立、というような状況。
ここは日本のアニメ業界なんかにも通じる部分があって、私はアニメ全般にはあんまり詳しくないですけど、今だと各期ごとに十数作品とか新作が出てますけど、半分とは言わないまでも1/3くらいは結構女オタク向けの作品になってますよね。
アニメじゃないけど、ゲームの「アンジェリーク」とか昔から細々とニッチな層を狙った作品とかはあったんですけど、そういうのが今はある程度の市民権を得たって事だと思います。
これって、最初は美少女物とか男オタクがお金を落としまくってた時期があって、それが段々と渋くなっていった中で、じゃあ次はとマーケティングとして女オタクに狙いを定めた形で、それが実際ヒットに繋がっていったんだと思います。
多分それもそろそろ乱立しすぎて頭打ちな印象がありますので、次はアニメ業界どこを狙うのかな?って個人的には注目してます。
と同時に女性向けでありつつ、そこを飛び越えて社会現象・或いは批評的にでもアニメ史に残る作品がいずれ生まれるまでに成熟してほしいとも思ってたり。「鬼滅」がそれに近いけど、一応あれ少年ジャンプ枠ですしね。
で、アメコミに話を戻すと、アメコミは決してヒーロー物だけではないし、それこそ女性向けとかも細々とあるにはあるんだけど、やっぱりそこはオルタナティブ。どうしてもスーパーヒーロー物がメインストリームというのはあるので、日本のアニメ業界で起こったような例が、メインストリームのスーパーヒーロー物の内部の流れの中でこうやって表れてくる、というのが割と面白い所。
あっちのアメコミオタクとか実際の子供達がこの流れを見てどう思ってるんだろう?というのは興味のある所ではありますが、流石に私はそこまでは精通してないので、単純に一オタクとしては、女ばっかになっちゃったけど話は普通に面白いし、可愛い女の子キャラ見れるなら別に悪くは無い、という感じだったり。
そんな感じのどうでも良い事を考えてしまう「マーベルライジング」でしたとさ。
さてアニメの方も見てみよう。
関連記事
G・ウィロー・ウィルソン