僕はこんな事を考えている ~curezの日記~

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Ms.マーベル:キャプテンといっしょなら

Ms.マーベル:キャプテンといっしょなら

Ms.MARVEL:LAST DAYS
著:G・ウィロー・ウィルソン、ダン・スロット(ライター)
 エイドリアン・アルフォナ、ジョゼッペ・カムンコリ(アーティスト)
訳:秋友克也
刊:MARVEL ヴィレッジブックス
アメコミ 2020
収録:Ms.MARVEL v3 #16-19(2015) AMAZING SPIDER-MAN v3 #7-8(2014)
☆☆☆☆☆

 

夢なら醒めないで
世界の危機に二人のマーベルが立ち上がる!

駆け出しヒーロー、Ms.マーベルとして、ご近所のジャージーシティの平和を守ってきたカマラ・カーン。新たな生きがいを見つけた彼女だったが、ついにその真価が問われる最大の危機が訪れる。世界の終焉に戸惑うカマラの前に現れたのは……
人気シリーズ最終巻、ボーナスエピソードとしてスパイダーマンとの共演作も同時収録!


という事でシリーズ最終巻の4巻目。時系列的には並列世界の衝突が起きたインカージョン事件の最終局面。この時点ではまだアベンジャーズ入りしてないので、まだいわゆる御当地ヒーロー以上の活躍はしてないカマラちゃんです。

 

世界規模の危機が差し迫った時に、彼女がとった行動とは?というのが描かれるのがとても良い。まだ地元のジャージーシティにとっての親愛なる隣人ぐらいでしかないんですよね、この時点では。

 

世界の終焉を迎えようとしている今、彼女にとって大切な物は?みたいな所が描かれるのがホンっっっっとに良いです。後にヒーローコミュニティに参加する形にはなるけど、この時点ではまだファーストシーズンならではの終着点っていう感じで、新世代ヒーローの代表でも無い時期での最終回っていう感じでとても好き。この時期だからこそでしか見れないストーリーというか、後のカマラちゃんも良いですが、シリーズ1期目良かったよね、と心から思える一冊でした。というかシリーズ1~4巻完訳してくれてありがとうと言いたい。

 

彼女にとっての世界は、この街であり、家族であり、友達であり、学校であり、向き合う事をあえて避けてきた恋心なわけですよ。最終的に決断する最後のシーンは本当に良かった。

 

お兄ちゃんのね、特別な力なんていらないんだよ、つまらないかもしれないけど今の自分と今の生活で自分は満足してるんだ。普通でいいんだよっていうのも面白い視点だなぁと思ったし、こういう災害的な危機に陥ったりすると、ニューヨークが中心で隣のジャージーシティは支援や補給物資は二の次になる、みたいなチクリとした風刺もこの作品ならではです。

 

「地球最後の日に何する?」って訊ねたら、好きな物を食べるとか、夕陽を眺めるとかみんなつまらない答えを返すものだけど・・・実際にはキレて物を壊して回ってる」とかも風刺効いてて良いです。でも、そうじゃない人もちゃんと描かれてるのがまた良いんだこれが。

 

で、タイトルにもある通りキャプテン・マーベル(キャロル・ダンバース)ですよ。カマラちゃんは2代目ヒーローとしては珍しく、本人とは縁の無い所で、成り行きであこがれのMs.マーベルを名乗る事になったキャラ。世界の危機の中でわざわざキャロルが会いに来るっていうのは若干ご都合主義っぽく感じる部分はあるものの、二人のやりとりも凄く心にグッと来ます。

 

ただのヒーローオタクが成り行きでたまたまスーパーヒーローを始めてね、現実ではあるものの、所詮は夢見心地のヒーローごっごみたいなものですよ。でもその中で彼女の本来持ってるものとかがちゃんと生かされてきてさ、あこがれの存在から認められるわけですよ。

 

「今回、私は…ここには自分のために来たつもりだった。最後に会っておきたくて…自分の名を継いだこの勇敢な女の子にね。けど、あなたに会ってからのこの数時間、あなたのために働いた。あなたが特別だと言われる理由が今ならわかる。もっと一緒に居たかった…」
「幸運を、Ms.マーベル。あなたを…誇りに思うわ」

 

いやもうこんなの泣くしかないって!


そこで禊を済ませてというか、自分はヒーローなんだって自覚を持って、じゃあヒーローならどうする?って自立していく。全19話を通してのオリジンストーリーというか、ここから新しいMs.マーベルのストーリーが始まって行くんだよ、感がとてつもなく良かった。

 

いやこれMCUドラマ版どうなるかな?間違い無くこのシリーズがベースになるんでしょうけど、MCUだとインヒューマンの扱いが微妙だし、キャロルもMs.マーベル時代が無いですしねぇ。どういうアレンジになるのか見物です。原作まんまをやるんじゃなくて、ちゃんと設定や時代に合わせた調整が上手いMCUですから、なにはともあれドラマも楽しみです。

 

Ms.マーベル全4巻、とても好きになれたシリーズでした。名作!

 

って忘れた。同時収録のアメイジングスパイダーマン#7-8は時系列的には2巻の後に来る話で、カマラちゃんが他のタイトルに初出演した時のもののようです。スパイダーマン側の事情が割と複雑な時期ですが、オタクヒーローとしてのカマラちゃんとスパイディの軽快な掛け合いが楽しい話。カマラちゃんとは絡みませんが、シルクが糸を体に無理矢理巻きつけたあの恥ずかしいコスチュームから今の普通のコスチュームに変える所も描かれてたりしてちょっとお得なおまけストーリーっぽい感じでした。

 

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