原題:MORTAL ENGINES
監督:クリスチャン・リヴァース
原作:フィリップ・リーヴ『移動都市』
ニュージーランド・アメリカ映画 2018年
☆★
<ストーリー>
「60分戦争」と呼ばれる最終戦争から数百年の時が過ぎ、わずかに残された人類は地を這う移動型の都市で生活することを余儀なくされた。巨大移動都市ロンドンは、都市同士が捕食しあう弱肉強食の荒れ果てた地でその支配を拡大させ、小さな都市を捕食することで成長を続けている。そんなロンドンの指導者的立場にあるヴァレンタインに対し、過去のある出来事から復讐心をたぎらせる少女ヘスターは、ある小都市がロンドンに捕食される騒ぎに乗じてロンドンに潜入。ヴァレンタインに刃を向けるが……。
予告では面白そうだけど、予告がMAX感もまたありありな作品でしたが、まさしくそんな感じの作品でした。
移動都市同士がガンガン激突する映画なのかと思ったら、それは序盤だけ。一応その後に空中都市とか、巨大な壁に阻まれた城塞都市とかも出てくるんですけど、そうなるとそんなに目新しさは無くなってしまう。
超超巨大移動都市とかやっぱりビジュアル的に面白いのですが、動力とかエネルギーは?なんでそんな非効率な感じ?しかも失われた文明の古臭い機械をありがたがって、考古学的な見地なのかと思ったら、そこから部品を使ったりする。
レトロフューチャーかと思えばサイボーグ的な存在が出てきたり、世界観がよくわからないまま、話もよくわからんまま終わってしまった。
よくわからんのはまだいいのですが、そこで「よくわからんけど面白い!」まで行けなかったのが非常に残念。
去年見た「デカダンス」というアニメが、あっちも移動都市でビジュアル的には似てるのですが、あのアニメって何か航空機的な物は使えないようになってるっていう設定だったんですね。だからこそ移動都市も作品の個性になってたんですけど、こっちは航空機は航空機で多少レトロな感じながら普通にある。
う~ん、何だこれ。監督はジブリ映画のファンらしくって、ハウルの動く城とかラピュタとかそんな感じの世界観を意識してるっぽいのですが、ああいうのを実写CGでやるとこんな感じって程の面白さも無い。
あと、壁で世界が分断されてるっていうのもあるし、ちょっとだけ主人公がミカサっぽい感じもあってか、割と「進撃の巨人」の声優さんが多く吹き替えやってたりした。が、ここもそれで何をやりたいの?感が強い。
その上、量子砲みたいな奴で終盤に壁を壊しにかかるのですが、上の方から少しづつ崩していくという変なやり方でした。もしかしたら物理学上とかではその方が理に叶ってるのかどうかは知りませんが、いやどうせなら壁に穴開けようよ。ビジュアル的に、え?何これ感が凄い。
壁に阻まれた城塞都市側がアジア人になってて、一応そういうとこは世相を反映した社会風刺になってるのかと思いますが、テーマとしてはあまりにもとってつけた感が。
いやこれね、バカ映画に徹した方が絶対面白くなってた気がする。
なんか色々と全部が中途半端でした。
もしこれに興味が湧いたのなら、予告だけにしてあとは「デカダンス」見た方が絶対に面白いです。原作がどういった方向性の話なのかはわかりませんが、面白そうなビジュアルを全然生かし切れていない残念映画でした。
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