僕はこんな事を考えている ~curezの日記~

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ソー:ラブ&サンダー(MCUその36)

 

www.youtube.com原題:THOR:LOVE AND THUNDER
監督・脚本:タイカ・ワイティティ
原作:MARVEL COMICS
アメリカ映画 2022年
☆☆☆★

 

マーベル・シネマティック・ユニバース最新作。
映画作品としては「ドクターストレンジ:マルチバース・オブ・マッドネス」の次ですが、お話としては「アベンジャーズ:エンドゲーム」のその後。アスガルドをヴァルキリーにまかせ、ガーディアンズと共に宇宙に旅立ったソー。ただし!ガーディアンズガーディアンズで単独映画がまたあるので、前半でガーディアンズとの共闘は描かれつつも、当然ながらソーは別れてこっちはこっちのお話が展開。

 

監督は前作「マイティソー:バトルロイヤル」からタイカ・ワイティティが引き続き務める。最初の2作とは方向性を変えて、コメディ要素強めにした事で、正直あまり高い評価は得られていなかった前2作から、一気に人気が出たと。

 

そこはソーを演じている、クリス・ヘムズワース自身も迷いを吹っ切り自分のやりたい事をやる、という所でコメディエンヌとしても開眼。アイアンマンとキャプテン・アメリカは引退したけど、ソーはまだやりたい事があると、MCUでも唯一の単独シリーズ4作目に突入。

 

一応、原作をあまり知らない人向けに言っておくと、原作のソーはこんなギャグキャラとかでは決して無いです。原作がMCUに寄せてくる部分もあるし、人並みにお茶目な部分は勿論あるけれど、基本的には古の神様なので結構な堅物です。ただ原作に忠実に描くとかではなく、映画は映画に合わせた自由なアレンジをしてくる事がMCUが成功した原因の一つでもあると私は思ってます。

 

ただそれでも、今回はちょっとやりすぎでは?と思う人も居るかな?というぐらいに、前作の明るい持ち味をさらに加速させてきた印象。何度も書いてるけど、私はMCU或いはアメコミって社会派要素が一番の面白味だと思ってるので、こういう作品は楽しいけど、好みかどうかで言えば、決して度直球とかではない。

 

イカとクリヘムがこういう事をやりたくてやってるんでしょうから、そこに水を差す必要も無いかなとは思うけど。

 

因みにタイカ、前作から登場のコーグの声もやってますけど、長年の旧友だったウォリアーズ3が前作で死んでるのもあって、昔の友達で無く、今のソウルメイトはコーグだぜって感じで、今回もコーグとソーがマブダチみたいになってるのって色々と示唆的ですよね

 

ただね、こうやって明るいギャグでやってるからあまり気にならないけど、実は今のソーって相当に不幸ですよね。某女帝の言葉を借りるなら不幸のミルフィーユです。

 

今回、一応コーグのナレーションとか演劇とかでこれまでのおさらいを説明してくれるけど、旧友を失って、両親も失って、土地も亡くし、弟まで失った。「バトルロイヤル」「インフィニティ・ウォー」「エンドゲーム」で実はソー回りは相当なものを失っています。デブ・ソーだって見てる方はコメディ要素に思った人も居るかもしれませんが、あれ、精神的に相当に病んでしまったって事ですからね。ギャグ要素を強めると、そういうとこもシリアスに思えなくなるというのがある意味欠点かも。

 

タイカ・ワイティティの監督作「ジョジョ・ラビット」もそうでしたけど、不幸な環境を、明るい作風で描くって言うのがこの人の作風と言うのもあるのでしょう。

 

今回もすご~くおバカな作風で、コメディとして笑えて楽しかったって感想の人もきっと多いでしょう。でもその明るい作風の中で、テーマとして何を描いているか?っていう事だと私は思うんです。(っていうか私の興味はそっちにあるっていうだけの話ですが)

 

今回のヴィランは、クリスチャン・ベイル演じるゴア・ザ・ゴッドブッチャー。神殺しの男です。ヴィランは主人公の写し鏡というパターンも多いわけですけど、今回もまさしくそんな感じ。冒頭でゴアのオリジンが描かれますが、信仰心を持って生きて来たが、神は救いの手を差し伸べてはくれなかった。愛する者を失い、誰も救わない神など不要だと、神を殺してしまう。

 

明るい作風なので、イマイチ伝わりにくいのが難点ですが、ソーも似たような状況だったりするんですよね。多くのものを失って、自身も含め、神とは何か?がわからなくなってしまっている。


ヴィラン・・・かどうかは微妙な所ですが、こちらも今回の新キャラ、ラッセル・クロウ演じるゼウスもそこら辺のテーマを背負ってました。最近は人間の信仰心が薄くなってしまったのだと。

 

前作の原題は「ラグナロク」です。神々の黄昏。神の時代の終焉。いくら神様を崇めたって、本当に困った時は救ってくれないじゃん?戦争や虐殺、或いは災害や病気でも良い。まさに今みたいなご時世ですけど、神は一体何をやっているのかと。どうせこれもまた一つの試練とか言うんだろうけど、死んでいった人達はそんなので本当に納得するのか?神なんてこの世には不要、或いは、神なんて存在しないんだ、と思わざるを得ない時代です。

 

もう予告とかポスターで普通に出てるジェーン・フォンダ・・・じゃなかった、ジェーン・フォスター版ソーもそうじゃないですか。彼女にはある理不尽な不幸が襲いかかる。困った時の神頼みをしてみた所・・・とまあ一応ここは伏せますが、彼女も彼女のアイデンティティである、科学(科学者である彼女にとってはそれは信仰と同様)も結局は自分を救ってくれるものではないと知る。

 

じゃあこんな神の慈悲も存在しない地獄のような場所で、不幸のミルフィーユ3段重ねみたいな現実が襲いかかってきた時、何が必要なのか?何を信じるべきなのか?

 

というのを描いている作品じゃないですかね、これ。
え~っ!物凄く時代性があるじゃん!物凄く社会派じゃん!
ここでは私らしく、ただのエンタメ作品なんかじゃないよ!っていうのは主張しておこうかな。

 

ソー・オーディンソン、ジェーン・フォスター博士、コーグ、そしてゴアがこんな理不尽な現実に向き合った果てに選んだ選択肢は何だったのかを考えてみてほしい。

 

ってかヴァルキリーはどうだったろう?と思うんだけど、実はあの人、前作の時点で隠居生活してるんですよね。ヴァルキリーの軍隊が全滅して、一人だけ生き残ってしまった贖罪を抱えていたからアスガルドに戻れずに居た人。実はそういう気持ちを知っているからこそ、ソーが多くを失った時に、無理に王座に就くのではなく、外で自分を見つめ直すのを許したんだと思う。

 


考えてみればさぁ、MCUのフェイズ4って映画だと
「ブラック・ウィドウ」「シャン・チー」「エターナルズ」「スパイダーマンNWH」「ドクターストレンジMOM」
ドラマは
「ワンダヴィジョン」「ファルコン&ウィンターソルジャー」「ロキ」「ムーンナイト」「ミズ・マーベル」
こうして並べてみても、見事なくらいにほとんどの作品が、過去と向き合って、それでも今の自分をちゃんと肯定してあげようって話ばっかりじゃないですか?この辺りはやっぱりご時世的なものがある気がします。

 

援軍を探しに行こうていう中で、そこはアベンジャーズじゃないのかぁっていうちょっとしたガッカリもあったり、ストームブレイカーのくだりとか色々とふざけすぎかなぁと思いつつ、ゴアの色の無い世界がモノクロで描かれてやたらカッコ良かったり、好きな部分嫌いな部分、良い部分悪い部分が色々と入り混じってた印象。

 

個人的にあまりサプライズとかは気にしてませんが、ゼウスの息子のあの人は、う~んまあアベンジャーズの一員だけど今更そんなでもないしなぁっていうのと、ウィルリータンは誰だろうとドキドキしましたが、う~んまあ次も単独でやるのかアベンジャーズ的な集合タイトルになるのか、流石に今回で終了って感じでは無いですよねそれは。

 

MCU映画としては次は何でしたっけ?「ブラックパンサー2」で年内は終わりかな?(ドラマはともかく)「アントマン3」「キャプテンマーベル2」が来年早々だったかな。3~4ヶ月おきぐらいに新作が見れるってやっぱりありがたいですねぇ。

 

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