原題:Stray
監督:ジョー・シル
アメリカ映画 2019年
☆☆☆
<ストーリー>
日系アメリカ人が炭化した状態で発見された事件を担当することになった女性刑事。捜査をしていく上で亡くなった女性の一族が特殊な能力を継承することが判明。生き残った娘もまた能力を継承し、犯人である兄には恐るべき闇の力が継承されていた。
(MIHOシネマさんより引用)
アトロクでスクリプトドクターの三宅さんが劇場未公開おすすめ映画でとりあげていた作品です。
何年か前にも同じような企画やってて、その時に紹介された「ファイナルガールズ 惨劇のシナリオ」はあらすじとか設定が面白くって、わざわざ探して見たのですが、大傑作とまでは言わないものの、斬新なアイデアでなかなか面白かった。
で、今回もわざわざ探して見たのかと言うと、そんな事は無くて、たまたまです。レンタル店でタイトルを見て、X-MENシリーズの便乗タイトルかな?とか思って手にとってみたら、あれ?これこの前三宅さんが紹介してた奴じゃん、せっかくだから見ておこうとそのまま借りて来ました。
スーサイドスクワッドでカタナ役を演じてた福原かれんと日本人ロックミュージシャンのMIYAVIが超能力者の兄弟で出演。日本のパッケージビジュアルだと、派手な超能力バトル物っぽいですが、思いっきり地味です。決してSFアクション物とかではない。主人公の刑事が事件を探っていく内に、超能力を持ったノリコという少女と出会う、というサスペンスドラマっぽい感じで、テーマとしては人ならざる力を得てしまった者達の悲哀、みたいな方向。
X-MENっぽいタイトルとビジュアルはあながち間違ってはいなくて、多分、影響は受けてると思うんですよね。
昔さ~映画サークルに参加してた時、X-MEN3作目の「ファイナルディシジョン」を好きって言う人が居たんですね。どの辺りが好きなんですか?って聞いたら、超能力バトル面白いじゃん。何であれの評価低いのかわからないって言ってました。アメコミオタクな私は、内心おいおいって思ったのは思ったんですが、同時に、まあ一般層はそんなものか、とも思ったんです。
せっかくテーマとも直結するキュア(ミュータント能力を無くしてしまう薬品)とかの話があるのに、そこ途中でぶん投げてただ派手なバトルやってるだけじゃんか、X-MENは差別とか能力をどう受け入れるかとかそういうのがテーマでしょ?そういうドラマが一番面白い部分じゃん!・・・なんて言うのはまあオタクだけなのかもしれません。
ただね、この「ミュータンツ 光と闇の能力者」って作品は、パッケージビジュアルは無理矢理に前者の方に向けた作りに日本では作り変えて売ろうとしたけど、実際に映画の方でやってるのは後者の方の部分のみ、という感じの作品です。
いやさ、もっと単純に、例えばもし自分が超能力に目覚めたら?なんて妄想をしたりするじゃないですか。そこでね、じゃあそれを使って派手に金もうけにでも使ってやろう、と思う人も居れば、この力は世間には受け入れられない、人知れず闇に潜み、悲運な人生を生きていかなければならないのだ!的に思う人もいるんじゃないかと。
いや、凄い中二病っぽいですが、そういう悲劇のヒーローヒロインみたいなのにあこがれる人も居るわけです。多分この作品はそういうのに惹かれる人向けに本気で作ってある作品です。
親は俺を認めなかったんだ!だから俺はこの力で世界に自分を認めさせてやる!
とか中二なセリフ、言いたいじゃないですか。え?そんな事無い?
正直、凄い面白かったとかそんな感じでは無いのですが、ああ、なんかわかるわ~、この監督だか脚本家だかはこっち側の人間なのね、とちょっと嬉しくなってしまった。こういうのはこういうので全然アリだよね、世間は認めなくとも私が認めてあげよう、とかついつい思ってしまった作品でした。うん、でもまあ万人に受ける作品では無いな。
※脱線話
そういや昔「PUSH 光と闇の能力者」とかって似たようなタイトルの映画も見ました。そっちは割とまともに超能力バトルしてたような気がする。内容は憶えて無い。「ファンタスティックフォー」の後のクリス・エヴァンスが出てて、その後の「スコットピルグリム」とかもあったから、この手の映画はもういいやってなって、キャプテンアメリカ役のオファーは最初断ったとかいうのも今は良い思い出です。
関連記事