原題:FREE GUY
監督:ショーン・レヴィ
アメリカ映画 2021年
☆☆★
<ストーリー>
ルール無用・何でもありのオンライン・ゲーム<フリー・シティ>のモブ(背景)キャラとして、平凡で退屈な毎日を繰り返すガイ。ある日、彼は新しい自分に生まれ変わるため、ゲーム内のプログラムや設定を完全に無視して自分勝手に立ち上がる―。ありえないほど“いい人”すぎるヒーローとして。ゲーム史上最大の危機が迫る中、はたしてガイに世界は救えるのか…!?
観ようかどうかちょっと迷ったのですが、世間での評判もすこぶる良い感じなので、じゃあせっかくだし観ておくかぁ!と挑んだものの、う~ん、正直私は微妙でした。
まず大前提として一番最初に凄く大事な事を言っておきます。私はいわゆるオープンワールドのゲームを1本もやった事がありません。この映画のベースになってる部分に全く馴染みが無いのです。まずそこがついていけなかったポイントの一つ。
あともう一つ乗れなかった理由があります。その作品の独自のルールを最初に提示してきて、それを途中で壊すって言う作品、私は物凄く苦手なのです。まあ、クリストファー・ノーランとかの映画がそんな感じ。
え?それってアリなの?ルール的に変じゃ無い?と思ってしまうとね、そこはあまり気にしないで流れで見てねっていう作りなんでしょうけど、なんか途中で細部が気になっちゃってついていけなくなるんですよ。
そういう意味でちょっと苦手なタイプの映画でした。
モブキャラでも生きててその人なりの人生があるんだよ!っていう部分と、AIが自我に目覚めてしまうっていうテーマの部分は決して嫌いじゃないのですが・・・いやAI物も細かいとこ気になって結構乗れない方かもしれない。
そういう雑音の部分が気になってテーマとかに集中して観れなかった。
例えばですね、そもそも私はオープンワールドゲームを知らないので全然間違ってるのかもしれませんが、私が昔ギリギリゲームをやってた頃にも「GTA」とかが流行って、凄く自由度があるゲームとして話題になりました。(例に出すのがGTAとかいつの時代だよって時点で察してください。PS2版、私買ったけど結局封も切らずに積んでた記憶が。)通行人を撃ち殺したり車を奪ったりできる。で警察が来たら逃げ切ればいい。メインストーリーとそういうのがどう絡むのか知りませんけど、う~ん、そういうのって面白いのかな?と。何度も言うけど実際にはゲームプレイしてないのでただの想像ですよ。なんかそういう暴力性が強いゲームで、多分今回のフリーガイもそんな感じのイメージのゲームなのかなと。
で、ガイはそういう事じゃ無く善行を重ねてレベルを上げると。暴力的なゲームに対してのアンチテーゼ的なものなのかな、までは想像がつく。そこまでは良いです。
気になっちゃって集中できないっていうのはそこからで、そもそもそいうのでレベルが上がる仕組みなの?それはどれくらいの時間がかかるものなの?何回も死んでるっぽい描写はあったけど、それでも記憶を引き継げるってどういう仕組みなの?とかいうのがわからない。
私の中ではゲームってプログラムされてる以上の事は出来ないという認識なので、例えばコーヒー以外のものを注文するってなった時、キャラメルマキアートを頼んだとしてそれはゲームのデータにあるものなの?というのが気になって気になって進めなくなる。
行動に関してはまだAIが自我に目覚めてプログラムされて無い行動をとって、それが話の進行にも繋がるので、まだわからなくもないのですが、物理データはどういう扱いになってるのかよくわからなかった。
逆にね、AIゲームの島は、このゲームの元になったプログラムだから、隠されてはいるけど物理的に存在するっていうロジックだったじゃないですか、そこは凄く納得出来る。
でもサーバーを破壊したからと言ってあんなゲーム内の壊れ方はしないだろうとか、あくまでガイから見た世界は現実と変わらない世界という体なのか、ブルーシャツはブルーシャツでもワイシャツからポロシャツみたいなのに着替えるけど、それはゲームのデータとして存在するのかとか、でもオンラインだからネット空間とリンクしてAIと同じく自由に拡張出来る可能性もあるんだろうかとか、とにかくありとあゆる所が気になって、テーマとかそっちのけで、これどういう事?に溺れてしまった。
明日にもパート2が発売されて、データ引き継ぎ無しなのに、こんなにユーザー居るの?2の前に最後にやっておこうみたいなユーザーなのかな?と、前提が私にはよくわからない事だらけでした。要するに、この作品がモチーフにしているゲームとかの知識や経験の前提が私には無いから、理解に及ばないのです。昔流行った「バカの壁」みたいな奴です。(あれは確か説明してもその前提や経験が無いから言葉でいくら説明してもわからないんだよ、っていう本でした)
毎日同じような事を繰り返してるだけの俺達は所詮ガイと同じくモブなんだよ、でもそんなモブでも一歩踏み出せばヒーローになれる、的なメッセージまで私は辿りつく前に、私はこの複雑なシステムについていけずにログアウトしてしまった。
う~ん、「レゴムービー」+「シュガーラッシュオンライン」+「トゥルーマンショー」にAI覚醒シンギュラリティみたいなのを足した感じか。
最初にも書いたけどAIが自我に目覚めるシンギュラリティも、フィクションとしては面白いけど、実際には私は懐疑派。でもオンライン上なら無限のデータベースにも繋がれるから不可能ではないかもしれないな、とは思うんだけど、そうすると多分データの複製が出来るから、一つの場所や形にこだわらなくなるだろうし、う~ん、う~ん、と
そこは答えが出ません。
マーベルネタもせっかく20世紀FOXもディズニー傘下に入ったんだから、と付け足したように思えて、ちょっと微妙でもありました。勿論、本筋から離れた形でネタになるというのは、それくらいアメコミヒーローもメジャー化したんだなって思えてそこは喜ばしい事ではあるのですが。
つまんない映画だな、なんてディスるつもりは無いです。むしろ、こういうのに全然馴染みが無くて付いていけなくなった自分が、ああやべぇ世間の当たり前についていけなくなってる自分が居る、と逆に焦りを感じてしまった映画でした。
そう言えば「レディプレイヤーワン」も全然乗れなかったのを思い出しました。