howkeye:MY LIFE AS A WEAPON
著:マット・フラクション(作)
デイビッド・アジャ、ハビエル・ブリード、アラン・デイビス(画)
訳:中沢俊介
刊:MARVEL 小学館集英社プロダクション ShoProBooks(シリーズ全4巻)
アメコミ 2014年
収録:HOWKEYE #1-5(2012)
YOUNG AVENGERS PRESENTS #6(2008)
☆☆☆☆☆
世界的に大ヒットを記録した映画『アベンジャーズ』(2012)で一躍注目を浴びた“ホークアイ”ことクリント・バートン。叩き上げのヒーローである彼が守るのは「正義」と…そして「屋上での美味いバーベキュー」だった!ヤング・アベンジャーズの一員ケイト・ビショップを巻き込んで、地球最強のヒーローの休日に何かが起こる!?『イモータル・アイアンフィスト』の名コンビ、マット・フラクションとデイビッド・アジャがお届けする、マーベル・ユニバースきっての弓の使い手の新たな冒険譚。クリントとケイト…二人の射手が集まれば、トラブルも倍増する!?日本初上陸の“マーベル・ナウ!”最新作を堪能あれ!
さらに、クリントとケイトの初邂逅を描いた『ヤング・アベンジャーズ・プレゼンツ』#6も同時収録。彼女は学ぶ―「ただ欲しがること」と「自分で勝ち取ること」には、天と地ほどの違いがあると…。
MCUドラマ、「ホワットイフ」の次は「ホークアイ」が配信という事で、予告も解禁されて非常に楽しみにしております。
そちらの原作・・・というかMCUは設定の違いとかもあって原作まんまではなく、原案、或いは元ネタに近い感じですが、おそらくはこれをベースに作られているであろう作品をチョイス。
途中までしか刊行されない事の多い邦訳アメコミですが、こちらは全4巻で最後まで完訳された、非常にありがたい作品です。出た時に読んでるので初見では無く再読ですけど、このシリーズ、メチャメチャ面白くてとても好きな作品です。
まずアートがカッコいい。絵柄的にはオルタナティブコミック系、アメコミだと「バットマン:イヤーワン」「デアデビル:ボーンアゲイン」のデビッド・マツケリーに似てる筆のタッチなのですが、カラーリングがメチャメチャ良いんですよねこれ。
アメコミファンでもある長濵博史監督が手掛けた「ザ・リフレクション」というアメコミ風アニメがあったのですが、どう見ても、この作品みたいな色使いでやろう!って感じでした。スタン・リーもほぼ名前貸し程度かと思うけど「ザ・リフレクション」には関わってて、アメコミヒーローの二次創作を日本のアニメでやるっていう視点ではそれなりに楽しめる部類。メチャメチャ面白かったかと言えば流石にそこまでではありませんでしたけど。
「ウエスト・コースト・アベンジャーズ:あぶない!?新チーム誕生」にも収録されてた「ヤング・アベンジャーズ・プレゼンツ#6」も、こちらにも収録。つーかこっちが先だったか。忘れてました。ホークアイの引き継ぎの話なので、Wホークアイを語るには外せない話ですしね。
2代目ホークアイこと、ケイト・ビショップ。クリントが死んだと思われていた時期に、キャップから君がホークアイを引き継ぐんだ、と指名されてホークアイを名乗るも、後にクリントがローニンとして生きていた事が判明。復帰して再びホークアイに戻るも、ケイトの事も認めて、ホークアイのコードネームは二人とも名乗る形になる。
MCU映画でも、「エイジオブウルトロン」でワンダに「ここを出たら君もアベンジャーだ」って名シーンがありましたけど、若い子の面倒見が意外と良いんですよね。
なんでかっつーと、クリントも初登場時はヴィランとして登場して、その後に更生してヒーローになったから、というのも大きいのではないかと。例え脛に傷を持つ身でも、その人がそう望むのなら助けてあげたいっていう。この辺はウィンターソルジャーことバッキーにも近いものがある。
かつてアベジャーズの大幅なメンバー変更があった時、キャップをリーダーにホークアイ、スカーレットウィッチ、クイックシルバーというチームで、みんなヴィラン出身じゃんって揶揄されたりもしつつ、それでも自分達を信じてくれたキャップには恩があるし、それに報いたいという気持ち。
「キャプテン・アメリカと一緒に居るとな…誰もが最善を尽くさずにいられなくなるんだ。 …彼が居ると善人になりたくなるんだよ 本当さ」
「だが、気をつけろよ いま、俺のそばにキャップはいないぞ」
ってメチャメチャ好きなセリフです。
超人的なパワーを持たずに、常人レベルの肉体で、ヒーロー業務外の部分で町のギャングにボロボロにされる。でも自分の飼い犬でもない犬の為に自分は大怪我を追ってでも助ける。ああ~、クリント良い奴じゃん。(後にラッキーと名前をつけてその犬を飼う事に)
なんかボロボロになりながら、愚痴を吐きつつ、それでも何とか立ち上がる姿は「ダイハード」のジョン・マクレーンにも通じる部分がありますね。(ガラスで足を切るというオマージュシーンまでありますし)
で、そんなオッサンの相棒が跳ねっ返りの生意気な小娘、というのもまた良い。ケイトもケイトで未熟ながら、クリントの相棒として危険に身を投じる、自分だってこれくらい出来ると頑張るも、二人でピ~ンチ!みたいな展開が本当に素晴らしい。
オジサンはこういうの好きなんだよ。男女ペアながら恋愛関係にはならないし、師弟であり、同時にまたかけがえのない相棒、みたいなの凄くグッと来ます。
粋なセリフ回し、スタイリッシュなアート、そしてときめくシチュエーションと、所謂不朽の名作的な深いテーマとかじゃないんだけど、連載物の良作って感じで凄く好きな作品。
う~ん、MCUドラマ版どうなるかな?楽しみである半面、こっちの原作は超えないかな?とちょっと怖くもあります。
そんなこんなで次は2巻目「リトル・ヒッツ」へ続く。
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