僕はこんな事を考えている ~curezの日記~

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ホークアイ:L.A.ウーマン

ホークアイ:L.A.ウーマン (ShoPro Books)

howkeye: L.A. WOMAN
著:マット・フラクション(作)
 アニー・ウー、ハビエル・プリード(画)
訳:中沢俊介
刊:MARVEL 小学館集英社プロダクション ShoProBooks(シリーズ全4巻)
アメコミ 2015年
収録:HOWKEYE #14.16.18.20(2013-14)
 HOWKEYE ANNUAL#1(2013)
☆☆☆☆

 

ニューヨーク…人生…そしてクリント・バートンから逃れるために、ロサンゼルスに向かうケイト・ビショップ。だがトラブルからは逃れられなかった。というのも彼女とマダム・マスクは同じ人種―つまりどちらもプールサイドでくつろぐ、金持ちのセレブだったのだ!心を病んで隠遁生活を送る、1960年代のカルト・ミュージシャンの失われた名作を取り戻すために奔走するケイト。だがその一方で、マダム・マスクがケイトを見つけ出し、彼女にふたたび命の危険が迫る! 

 

シリーズ第3巻。前巻のラストで袂を分かったクリントとケイトの二人のホークアイ。ストーリー的には、クリント編、ケイト編と交互に刊行されていったそうですが、単行本では3巻がケイト編、4巻がクリント編として纏められた、という事です。

 

ちょっと前に、ケイト・ビショップなんて何で人気あるのかわからんって言ってるツイートがたまたま目に入って、ふ~ん、まあ好き嫌いなんて様々だしな、としか思わなかったのですが、3巻を読み返して成程と思いました。

 

ケイト・ビショップ、資産家の娘でボンボンなんですね。金持ちの道楽でヒーローごっこをやってるだけ、という面は確かにあったのかも。しかもホークアイを支える献身的なサイドキックとかじゃないし、さしたる経験も無いのにズバズバ物を言うとか、まあ嫌われるような要素もあるのかもしれないなぁと。

 

なかなか自分を認めてくれず、トラブル続きのクリントに愛想をつかし、愛犬のラッキーをひきつれて、ニューヨークから遠く離れたロサンゼルスへ。誰も知らないこの地でヒーローとして大成してやる!と息巻いて来たものの、飛行機を降りたとたんに拉致されて、なんとか逃走はしたものの、身ぐるみはがされ無一文に。

 

ヒーロー仲間も居なければ、親の財力も全て失う。まさにゼロからの出発でここから再起していくって、いや凄い面白いじゃないですか。ホークアイ版「ボーンアゲイン」と言っても過言では無いんじゃないの?これ。

 

自分もスーパーヒーローなんだ、誰かを救える人間になりたいんだって、無一文から始めたのが探偵業。勝手に名乗ってるだけで、多分無許可だよねこれ。勿論、お金を稼ぐ為でもある。この辺のちゃっかりさがとてもケイトらしくて素晴らしい。

 

ケイトのみならず、このシリーズ通してですが、世界の危機を救うとかじゃなくても、困っている人を助けるのがヒーローなんだっていう主張が凄く良いです。

 

最初に出会ったゲイのカップル、そして無理矢理押し入った地元の警察のおっちゃん刑事とか、ゼロから人脈を作っていくバイタリティが面白い。そして深夜のスーパーで合う、謎の男、ハロルド・H・ハロルド。彼はメンター的な役割をしてくれるのですが、この作品の為に作られたキャラではなく、ブレイドを輩出した「ドウーム・オブ・ドラキュラ」誌の古参キャラだそうで、こういうのもまた面白い部分。

 

そんなケイトを付け狙うのは、前巻までで因縁がついたマダム・マスク。ホイットニー・フロストはアイアンマンのヴィランとして登場した後に、色々な作品に登場するようになった古参の人気中堅ヴィランです。(邦訳版「ニューアベンジャーズ」シリーズでも結構出番は多かった)

 

ホイットニーも金持ちの娘というバックボーンがあるので、キャラの対比的にも面白い所です。で、更に面白いのがマダムマスクのサイコな面がより明らかになるのが今回のストーリー。

 

マーベルあるあるの一つ、「○○が死んだ!」→「あれはライフモデルデコイでした」という良くも悪くもご都合主義的に使われがちなLMDですが、そこをあえて今回のストーリーの鍵として持ってくる話が秀逸。上手いな~って感心しました。

 

アート面が素晴らしいこのシリーズですけど、それに負けず劣らずストーリーもちゃんと面白い。

 

誰もが認めるスーパーヒーローにはまだなれていない。でも、ボロボロにされながらも、不屈の闘志で立ち上がり、関わった人達からは、お前さんは立派なヒーローだ、と認められる姿はね、いやこれこそだ!と、若さゆえの無謀さとバイタリティ、そして正義感を持つケイトの事も応援せずにはいられません。

 

この1冊だけで十分にケイトの魅力が伝わりません?私は好きだな~。

 

マダム・マスクとの因縁はそのままに、事件の後始末をシールドのマリアとコールソンに任せ、クリントの危機を知ったケイトは再びNYへ!

 

という所で最終巻「ホークアイリオ・ブラボー」へ続く。


やっぱり面白かった。

 

ああそうそう、今回調べてて知ったんですけど、このシリーズ、3巻4巻は今はプレミアついちゃってるんですね。ドラマに合わせて再販されるのかな?読みたい人は電子書籍版も出てるみたいですので、プレミアで買うよりそちらで是非。


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