MOON KNIGHT VOL.2
著:ブライアン・マイケル・ベンディス(作)
アレックス・マリーブ(画)
訳:堺三保
刊:MARVEL 小学館集英社プロダクション ShoProBooks(全2巻)
アメコミ 2017年
収録:MOON KNIGHT v6 #8-12(2012)
☆☆☆★
ムーンナイトことマーク・スペクターにとっての大問題。それは、キャプテン・アメリカ、ウルヴァリン、スパイダーマンという最も頼りになるヒーローたちが統合失調症の彼の脳内に棲みついてしまっていることだった……。
人類にとってとてつもない脅威である殺人ロボット=ウルトロンの壊れたボディの強奪をたくらむカウント・ネファリア。自身の内なる声に悩まされるムーンナイトは、彼の陰謀を阻止することができるのか? そして、元アベンジャーの孤独なヴィジランテ、エコーことマヤ・ロペスとのロマンスの行方は?
正義感と狂気が入り交じるムーンナイトの冒険、ここに完結! 映画の都ロサンゼルスを舞台に、ひときわ異彩を放つヒーローの活躍を見届けよ!
という事でムーンナイト後編。
前巻と比べると、週録話数が少ない分、本の厚さが薄い。
が!12話で完結なので、怒涛のクライマックス展開で一気に読めて、非常に面白かった。
アメコミって、一般的なイメージと乖離してる部分がちょっとあって、実は戦闘シーンとかって少ないのですが、それはおそらく月刊誌の少ないページでストーリーを進めなきゃいけない分、戦闘シーンに何ページも費やしたりとか基本的にはしないので、バトル描写は基本そんなに多く無い、というのが理由かと思われます。日本の漫画みたいに一人の敵とのバトルで単行本1冊使うとかはまず無いです。
今回も別に戦闘シーンが多いわけでもないんですけど、カウント・ネフィリアとのバトルが意外と面白かった。
キャップのシールド(エネルギーシールドですが)、ウルヴァリンのクロー(勿論アダマンチウム製ではない)、スパイダーマンのウェブシューターをムーンナイトが一人で駆使して戦うと言うアイデア溢れた戦いが結構面白い。勿論、脳内アベンジャーズを炸裂させながら。
そしてまさかのエコーが・・・。
初見じゃないですが、展開をすっかり忘れてて、え?マジか?ってちょっとなってしまった。
まあ、例え死んだりとかしても、2~3年後にはしれっと生き返ってるのがアメコミなので、よくあるパターンと言えばパターンですが。
そしてカウント・ネフィリアの強さ。前回、よく知らないヴィランだなぁとか書いちゃいましたけど、ああそうか、こいつの娘がマダム・マスクなのか。
マダム・マスクは邦訳でも割と出番の多い中堅ヴィランなので、今回もまた出てて、ああそういう事かと繋がってちょっと嬉しい。
常人のヴィジランテ程度では手を出してはいけない相手だったカウント・ネフィリアの圧倒的な強さ。そして何とか食らいつこうとするムーンナイトとエコー。犠牲を払い、なんとか一矢報いて逃れる事が出来たものの、怒れるヴィランをよびさましてしまった結果、更なる悲劇が広がってしまう。
この絶望感の中、ムーンナイトは自分の立場をわきまえ、やるべき事をやるっていうクライマックスがお見事。コンプレックスがありつつも、ムーンナイトなりにヒーローでありたいという気持ちもちゃんと持ってるんだなぁと。
感情に身をまかせ、内なるウルヴァリンがキャップとスパイダーマンを排除してしまった時、新たな脳内アベンジャーズが現れるというのもムーンナイトの壊れっぷりが発揮されてて面白い。
全12話のリミテッドシリーズとして一気に纏めて読んだ方が面白いタイプの話でした。紙の本はプレミアついてるみたいですけど、電子書籍でも読めますので、ドラマはこれとは全然別の話だとは思いますが、ムーンナイト気になる人は読んでみても良いんじゃないかと。
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