僕はこんな事を考えている ~curezの日記~

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ホークアイ:リオ・ブラボー

ホークアイ:リオ・ブラボー (ShoPro Books)

howkeye: RIO BRAVO
著:マット・フラクション(作)
 デイビッド・アジャ、フランチェスコ・フランカビラ、
 クリス・エリオブロス(画)
訳:中沢俊介
刊:MARVEL 小学館集英社プロダクション ShoProBooks(シリーズ全4巻)
アメコミ 2016年
収録:HOWKEYE #12-13.15.17.19.21-22(2013-15)
☆☆☆☆☆

 

ニューヨークに借りていたアパートの地上げ問題から始まった、クリント・バートンのトラブル続きの日常は、いつの間にか深刻な局面を迎えていた。友人を殺され、ガールフレンドとは破局寸前、さらに相棒である“もう一人のホークアイ”ケイト・ビショップは(犬を連れて)西海岸へと去った…。そんな彼の前に、兄であるバーニー・バートンがホームレス同然の姿で現われる。かつて死闘を繰り広げた兄の登場は、何を意味するのか?一方でジャージ軍団は、アパートを奪おうと、最後の総攻撃を仕掛けようとしていた…。アメコミ史に残る名シリーズ、堂々のフィナーレ! 

 

シリーズ最終4巻。アパートを守る為の最終決戦が描かれる。

 

の前に少々時間が逆戻りし、12話はクリスマスの時に子供達と見ていたカートゥーン番組「ウインターフレンズ」が劇中劇として描かれてるんだけど、これが秀逸。見た目は動物(犬)のヒーロー物のカートゥーン番組の体で、アベンジャーズにおけるホークアイの位置付けが示唆されてるんですよね。

 

いや~、アベンジャーズが映画で大ヒットして、日本でも集合物が「○○版アベンジャーズ」だとか「アベンジャーズ的な」っていう言い回しが認知されるくらいにまでなったじゃないですか。そこは古参アメコミファンとしてとても嬉しい。一般的な代名詞として通用するくらいにまでなったって事ですからね。

でもそこで結構目にした意見として、アイアンマン、ハルク、ソーとかと比べて、キャプテンアメリカって弱く無い?盾投げて戦うなんて格下っぽいとか最初は結構言われがちでした(2作目のウィンターソルジャーでそういう声を黙らせたのも凄いけど)となると次に言われるのが、常人であるホークアイとブラック・ウィドウ。超人たちの中に普通の人間が混ざってると。いやいやいやいや、それの一体何が悪いんだ?

 

いやね、映画から入ったアメコミヒーロー初心者の意見でしょうし、別にそれに対して目くじらを立てて怒ってるとかじゃあないんですよ。なるほどな、日本のヒーローしか知らない人にはそんな風に思う訳か、と興味深い部分だったりします。誰が強いのかなんて話は小学生までにしとこうよ。

 

その辺がね、今回の劇中劇「ウインターフレンズ」でちゃんと描かれてたりするわけですよ。あいつだけ弱くね?そもそも超人たちの中になんで普通の人間が混じってんの?一体そんな奴に何が出来るんだ?って。

 

でもってその答えが今回の一連のマット・フラクション作のホークアイシリーズ全体で描いてるんですよ。もうメチャメチャ面白いし、初心者はまずこれを読めと、私はそう言いたい。

 

前巻のケイトもそうでしたし、今回のシリーズ、ホークアイはギャングとかにとにかく何度もボコボコにされます。全身傷だらけで、時に諦めかけたりもします。多分、カッコいいシーンよりも、カッコ悪いシーンの方が多いんじゃないかと。これ、どう見ても意図的に描かれてる部分です。コスチュームを着て見栄を張るのがヒーローのカッコよさなのか?

 

アベンジャーズ、或いはヤングアベンジャーズの一員としてのホークアイではなく、あくまでクリント・バートンとしての日常、ケイト・ビショップとしての日常の延長線上での戦いを描いている。

 

2巻の時の流れもあるけど、スパイダーウーマン、モッキンバード、ブラック・ウィドウも何だかんだ言ってもクリントの事を気にかけてくれて、手伝ってはくれるんですけど、アベンジャーズの方の任務が入ると、こっちは大丈夫だから世界の危機を救って来いと、クリントも彼女たちの任務を優先させるんですね。自分は怪我で行けないからと。

 

で、クリントはクリントで自分で何とかするしかない。アベンジャーズでは無い、普通の人達であるアパートの住人と協力して。ちょろっと帰ってきた兄のバーニー・バートンも強力してくれるものの、彼も決して超人とかではない(洗脳されてヴィランやってた過去はあり)。兄弟二人、幼少の頃に虐待されて育った二人は、何とかここで再び力を合わせて絶対的な力を持ち、自分では敵わない相手に「家族」として立ち向かう。

 

それでもどんどん追い詰められて行って、クリントも耳が聞こえなくなる大怪我を負ってしまう。「ピザ犬の冒険」に続いて、セリフに頼らない手話ベースで展開する話があったりと、なかなか実験してる感じで面白いのですが、最後の決戦でもかなりの危機的状況。

 

そんな中で、出て行ったはずのケイトとラッキーが遂に戻ってきてくれた。アベンジャーズではなく、ホークアイファミリーの戦いとして徹底して描いてあるのが本当に素晴らしい。

 

ラストもね、大逆転勝利でスカッとして終わるというよりは、やや苦い結末というか、余韻の残る終わり方ではあるものの、そこがまたホークアイらしさかなと。

 

エピローグとしてヴィラン連合も再び、まず二人のホークアイを消そうか、アベンジャーズでもあいつら二人は全然殺せるしな、と不穏な話が渦巻く。そしてそのヴィラン達の中にはケイトの父も居て、娘を消す事に一瞬迷いは見せるものの、そこで選んだ選択は・・・。

 

二人のホークアイの苦難はまだまだ続いていくのだ、という感じですが、今回のシリーズはそんな感じで「ホークアイ」というキャラクターの立ち位置を改めて描いたという事なのでしょう。

 

シリーズ全4巻として邦訳できちんと完訳してくれたのは非常にありがたいし、凄く面白いシリーズでした。


MCUドラマ版、予告を見た限りではこれがベースっぽいのは確かですが、勿論コミックとドラマでは設定も描き方も違いますので、まんまって事は無いと思われます。映画の方は、マーベル・スタジオ外さないな、この驚異のヒット率は何なんだ?ってなってますけど、まあドラマは今の所多少の浮き沈みはある印象。今回ばかりはこのコミックの深さは超えられないかな?と不安もありますが、それでも、こう来たか!って言わせてくれるのがマーベル・スタジオの強みでもある。そこは素直に楽しみにしてます。


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