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ヴァイオレット・エヴァーガーデン 外伝 - 永遠と自動手記人形 -

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監督:藤田春香
原作:暁佳奈
日本映画 2019年
☆☆☆

<ストーリー>

……大切なものを守るのと引き換えに僕は、僕の未来を売り払ったんだ。

良家の子女のみが通うことを許される女学校。
父親と「契約」を交わしたイザベラ・ヨークにとって、
白椿が咲き誇る美しいこの場所は牢獄そのもので……。

未来への希望や期待を失っていたイザベラの前に現れたのは、
教育係として雇われたヴァイオレット・エヴァーガーデンだった。

 


という事でTV録画していたものをようやく観ました。
尺的には十分だったのか、ノーカット放送という事でしたし、むしろTVに合わせてCM明けはちょっと時間を戻して同じシーンを入れたりとかしてましたね。早送りでCMを飛ばしてたのでそこは楽でした。いや別に楽では無いか。

 

この作品は初心者ですので、見終わってから調べましたが、前半部分のイザベラ(エイミー)の話が原作の外伝のアニメ化で、その後のテイラーの話がアニメオリジナルという事のようですね。話的には繋がってますが、時間の経過なんかもあって、OVAを2話続けて纏めました的な感じはしたかな。1本の長編映画っぽくは無かった。TVシリーズに習った感じでそれぞれにサブタイトルが出たりもしてましたし。そこは特別編集版もそうでしたが。

 

時系列的にはTVシリーズのその後っぽいですし、更に後半でテイラーの成長に合わせて後の時間になるので、C.H郵便社の各々のキャラクターも含めた上での「その後」みたいな所が見れたのは良かったかな。みんなあのまま今も頑張ってるんだなぁ的な感じで。また戦争がおきたりはしてないっぽいのでそこは安心しました。

 

ただ今回、前半の話も後半の話も、ヴァイオレットが自動手記人形としてじゃなく、前半は教育係、後半は郵便配達人の方がメインの働き方をするので、そこはちょっと、ん?っていう違和感がありました。勿論、ドラマとしては最後に手紙を書くんだろうなっていうのはわかるのですが、そういうちょっと本筋とは違う役割みたいな所が「外伝」たる所以だったのかな?という気はした。

別にそれで作品としてのカラーが違ってしまうとかいう事は無いのですが。

 

つーか今まで気付いてなかったけど、ベネディクト君、凄いピンヒール履いてるのね。脚の裏の方にも凄いヒラヒラついてるし、今回そこがアップになってるシーンが何度かあって、え?こんな格好だったんだってちょっとビックリした。バイクに乗ったりもしてるけど、配達員ってそれでも結構な距離を歩きそうだし、あんな刺さるくらいのピンヒールで歩きにくく無いんだろうか・・・。

 

あとエヴァーガーデン夫人?テイラーも引き取ってくれて良い人ですね。設定はよく知らないんですけど、彼女も戦争で子供達とか家族を無くしたりしてるのかな?最初はヴァイオレットを引き取ろうとしてくれたけど、なんか出てっちゃったわけだし(それでも籍を残してくれてるのはありがたいけれど)テイラーが良い子に育ってくれればと思います。

 

若干違和感があったのは、ヴァイオレットもイザベラさんを初めてできた友達みたいに言ってたとこでしょうか。イザベラさん側からならわかる話なのですが、ヴァイオレットとしてもそうなの?郵便局のみんなは?ルクリアさんは?わざわざ再会するシーンまで入れてたのに、友達っていう感じでは無いのでしょうか?そこはちょっと謎です。

 

あと、今回の話に限った部分では無く、TVシリーズ、特別編集版の後にまた少し他人の感想とか漁ってみたりしてたのですが、その中に、戦後の話っていうのも今の若い人にこの作品が響いた要因の一つじゃないかっていう言い方をしてる人が居て、ああ確かにそこはあるのかも?という気はしました。

 

勿論、本当の戦争の後の意味での「戦後」じゃなくて、バブルも弾けて、色々な価値観を失ってしまった、喪失の時代。何を信じて良いのかもわからず、先の見えない時代の空気感が今の若い人達(に限った話じゃないけども)にはあって、そこが劇中の戦後っていう設定や、きちんとした自分の価値観を持っていないヴァイオレットの心情みたいな所に響いたのかなというのは、確かにあるのかもね、という風には思う。

 

この作品、ファン層がどんなものなのかは調べて無いので知りませんが、勿論、基本は萌えアニメが好きな人達が支持してる作品かとは思うんですよね。(京都アニメーションのファン層ってそういう人達で良いのかな?私よく知らないんで間違ってたらゴメンなさい)


「泣けるアニメ」とか安易に言っちゃう人達の事を私は基本信じて無いので、そこはまあどうでもいいのですが、やっぱり今回も思いましたけど、京アニのこれもかっていうぐらいの緻密なアニメーションは本当に凄い。つーかTVシリーズの時から圧倒的に凄かったので、今回の劇場版クオリティと全然差が無いじゃねーか!やっぱTV版そのものが劇場アニメクオリティだった!って凄く感じたんですけど、やっぱりそこにファンがつくのも十分に頷けるものはありました。

 

で、京アニ作品とか、ヴァイオレット・エヴァーガーデンっていう作品そのものに女性ファンってどれくらい居るのかな?多分、ある程度は居ますよね。(京アニとは関係無いけど、「ガルパン」はあのクオリティなのに女性ファン少ないらしい)今回のイザベラ(エイミー)さんって、なんとなくそこの層を意識してるキャラクター造形なのかな?っていう気がした。自分は何も持たざる者なんだ、ヴァイオッレットみたいに何でも出来る人とは自分は違うって思いこもうとしてる感じ?

 

まあ私の偏見とか勝手な思い込みも相当に入ってる気はしますが、そんな彼女もテイラーへのやさしさから、立場が後半では変わるわけですが、その後半の主役でもある純粋なテイラーへの、見てる側の感情の動きみたいなものも意外と面白かった気がします。前半はイザベラがあなたであり、後半はテイラーがあなたですよっていう感じにも見えるというか。あくまで劇中内でのキャラクターではなく、見てる側の気持ちっていう意味ですよ。そういう部分では、オムニバス2本ってちょっと変な映画だったなと思いつつ、そこにもそれなりの意図があったのかも、とも思わなくもない。

 

いやしかし、なかなか私の中ではこの「ヴァイオレットエヴァーガーデン」という作品がストンと腑に落ちる瞬間がまだ来て無い感じ。果たして次の最後の劇場版でそこ上手く行くのでしょうか。

そうか、そういう事だったのか。ヴァイオレット・エヴァーガーデンとは要するにこういう作品だったんですね、と言えるようになるかなぁ?う~ん、ちょっと不安ですが、また次の感想でお会いしましょう。

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