僕はこんな事を考えている ~curezの日記~

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激突!

激突!スペシャル・エディション [DVD]

原題:DUEL
監督:スティーブン・スピルバーグ
原作・脚本:リチャード・マシスン
アメリカ映画 1971年
☆☆☆☆

 

<ストーリー>
トラベリングセールスマンであるデイヴィッド・マン(デニス・ウィーバー)は商談のため車でカリフォルニアへ向かう途中、荒野のハイウェイで1台の大型トレーラー型タンクローリーを追い越す。しかし追い越した直後より、今度はトレーラーがマンの車を追いかけ回してくるようになる。 


スピルバーグがキャリア初期の頃に作ったTV映画。日本では劇場公開されたようですね。

ジョジョの奇妙な冒険」3部の運命の輪(ホイールオブフォーチュン)の話の元ネタとしても有名で、私もおおまかには知ってたのですが、ちゃんと見た事は無かったので、一応見ておこうかなと。

 

うん、オマージュどころじゃなくてほぼパクリな感じですね。

 

ストーリーなんてあって無いようなもので、90分を演出だけで乗り切り、そしてそれが物凄く魅せる作りになってるのが凄いです。

 

最初から最後までカーチェイスだけで行くのかな?これ、と思いながら見てたら、途中で一度車から降りて、ダイナーに入るシーンもありました。そしてそこもまた、もうメチャメチャ荒木テイスト。いや、荒木がこういうものから影響を受けているっていう事なのですがダイナーの中の誰が犯人かわからないっていう部分、もう思いっきり「ゴゴゴゴゴゴ」っていう緊迫感。荒木漫画だこれ!っていう感じで非常に面白かった。主人公のモノローグまで凄くジョジョっぽいし、こういう面白さを荒木飛呂彦は漫画で再現しようとしてるんだよなぁと改めて感じました。

 

ただね、今の視点で見ると、凄くヘンな所もあって、何度もスピードメーターが画面に映るんですけど、60キロくらいなんですよ。一度だけ100超えるところもあったのですが、主人公は150キロも出したんだとかセリフで言ったりする。

 

もしかしたら、当時の車ってこれくらいでもあまり出さないような高スピードだったんでしょうか?画面のテンションと、メーターのスピード表示がさっぱりつりあって無くて、ちょっと笑ってしまいました。
中高生とか、普段ほとんど車に乗らない人が見たら、スピード感覚が無い分そこって全然気にならないのかもしれない、と思ったんですけど、今の感覚で言えば、あんな直線道路を60キロで走ってたら、ノロノロ走ってんじゃねーぞ!ってそりゃあ煽られる気がします。

 

そこは当時と感覚の違いなのかもしれませんが、もしかしたら逆にそれも意図したものなのかな?という気もしなくはないです。なんかマイペースでモタモタしたタイプの人が、60キロくらいでヒャッハー俺こんなに飛ばしてるぜ!みたいな感覚で居て、覚悟を決めて120キロくらい出したらもうパニクってしまって(150キロも出てる!もうこれヤバイ、ヤバいって!)みたいにアドレナリン出て変な感じになっちゃってるのかなと。おっちゃん、やたらヨロヨロして運転すげぇ下手くそな感じでしたし。

 

だって一般のバイパス道路みたいなとこなら60キロだと若干遅めでその車の後ろに渋滞作っちゃうかな?ぐらいだし、高速道路なら120キロくらいがスムーズに流れる速度じゃないですか?混雑気味だともうちょい下がるかもしれませんが。

 

なので、主人公がありふれた普通の人とかではなくて、ちょっと小心者で、精神的にも弱めで不安定さを元々持ってる人で(奥さんに電話で何であのとき言いかえさなかったのよ!みたいに言われてましたしね)、こっちがおかしいのか、相手がおかしいのかそこもよくわからなくなってくる、みたいな感じも、多少は意図して描いてあったのかなとも思いました。

 

ええ、まさか相手が本気で殺しにかかってくるとは思いませんでしたけども。

 

あと、クレジット見てて、あれ?これリチャード・マシスンが脚本書いてるのか?と思ったら、原作もマシスンだったんですね。へぇ~それは知らなかった。マシスンは「ある日どこかで」の原作の人でもあり、「アイ・アム・レジェンド」・・・の前に「地球最後の男」と「オメガマン」とその話は2度も映画化されてて、そちらはロメロの「ナイトオブザリビングデッド」のゾンビの元ネタなので、私も割と名前的には馴染みのある人でした。まさか「激突!」もマシスンだったとは知らなんだ。

 

スピルバーグ的には、見えない恐怖が迫ってくるという所で「ジョーズ」へ繋がってる感じです。

 

あの距離で10キロで走ってる先行車に追いつかねーわけねーだろ!とかツッコミ所もありますが、全体的には引き込まれてしまいました。

 

いずれ見ようと思いつつ、ずっと後回しにしてましたが、こうやって「元ネタ」みたいな古い作品を遡って実際に観てみると、色々な発見もあって面白いもんです。

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