僕はこんな事を考えている ~curezの日記~

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MARVEL 倒産から逆転No.1となった映画会社の知られざる秘密

MARVEL 倒産から逆転No.1となった映画会社の知られざる秘密

原題:THE MARVEL STUDIOS STORY
著:チャーリー・ウェッツェル、ステファニー・ウェッツェル
訳:上杉隼人
刊:すばる舎
2020年 ノンフィクション
☆☆☆


スパイダーマン』『アイアンマン』『アベンジャーズ』・・・
「弱いヒーロー」で
世界を熱狂させる
全く新しい
クリエイティブ・メソッド
「アメコミの雄」が不況で破産、社運を賭けた復活劇で
興行収入2兆3000億円を稼ぎ出すまでの全軌跡

 

1939年のマーベルコミックスの刊行から、2019年に映画「アベンジャーズ:エンドゲーム」で興行収入歴代1位を更新するまでのマーベルの流れを描いたノンフィクション。

 

原作コミックを出してる出版社としてのマーベルと、映画を作ってるマーベルスタジオはまた別なのでは?という疑問もありつつ、そもそものスタン・リーだって、今のケヴィン・ファイギみたいな所を目指して動いてきた歴史もある。

 

今風で、個人的にもこういう言い方はどうなのかなっていう面もあるんですけど、漫画、或いは映画作品というより、キャラクターコンテンツですよね。作品じゃ無くコンテンツなんだよ、とか言ってしまうとね、私も自分でちょっとひっかかったりするんですけど、ただそれも間違いでは無いよなというのが正直な所だし、そういったビジネスがあったからこそ、コミックの方にしても映画にしてもこんなに楽しませてくれる名作が生まれたのは間違いない。

 

で、スコセッシやスピルバーグタランティーノリドリー・スコットなんかも言ってましたっけ?ケン・ローチもかな?マーベル映画批判みたいなもの。個人的にはそれはそれでやむ無しと思う部分もあって、アメコミヒーロー映画は映画じゃ無いなんて思わないけど、ぶっちゃけMCUはそんな「映画」を経由して、さらなる新しい境地を目指して開拓してるってのも事実で、むしろそこよりもっと本質的な問題としては、ヒーロー映画全盛期で、他の映画の企画が通りにくくなってしまった背景ありきの問題なので、批判にあんまり真面目に付き合ってもなぁというのも正直な所。


ファンの私でさえ思うけど、こんなバブルはいつまでも続くわけないって。それが5年後になるのか10年後になるのかはわかんないけど、沈静化は当然するでしょうて。流行り廃りなんて所詮そんなもんです。

 

以前取り上げた「スタン・リー マーベル・ヒーローを創った男」でも触れられてましたけど、スタンはただコミックの脚本を書いてただけでなく、マーベル作品の映像化に奔走した人ですし、そこは勿論キャクターコンテンツとしての売り込みがあったわけで、ケヴィン・ファイギってコミック作家出身とかじゃ無いでしょう?スタンとはまた違うポジションでは?と言われても、必ずしもそうではなく、共通する部分は割と多いよなというのが個人的な感想。(この本でそういう風に主張してるとかではないです)

 

読んでてちょっと意外だったのは、アイザック・パルムッターとアヴィ・アラドを割と高く評価してる所。MCU以前のマーベル映画の立役者ですし、これまで実写映画の分野では苦労してきたマーベルですので、ここで足がかりを作ったのは評価されてしかるべきだろうと。

 

ケヴィン・ファイギの体制の上では、直接では無いものの老害的な立ち位置とされて今は二人ともマーベルには残って無いですが、彼らが居たからこそ映画業界に食いこむことが出来たし、そこはね、確かに評価に値するだろうと。

 

逆に言えば今のケヴィン・ファイギもエンドゲーム後のフェイズ4のクオリティやCGでも問題が発生してますし、スタッフの離脱とかもちょこちょこ目立って来ましたよね。MCU以前のマーベル映画からMCUへの変化がそうだったように、もしかしたら次のステップに進むには、ケヴィン・ファイギこそが老害になってしまっているという可能性も普通にありますし、逆にそこを察してまた変化していくというのも時代の流れです。

 

この本ではあまり描かれてませんが、MCUだって全て順風満帆で来たわけじゃないですしね。そこはてらさわホークさんの「マーベル映画究極批評 アベンジャーズはいかにして世界を征服したのか?」の方で結構触れられてるので、興味があればそっちの方が詳しく読める。

 

ぶっちゃけ、この本で描かれてるようなビジネスメソッドは、果たして普通の会社や普通のビジネスマンがどこまで参考に出来るのか?みたいな所は、いやこれマーベル以外によっぽど特殊な産業とかじゃなければビジネス書としてはどうなのよ感は凄くある。

 

単純にね、映画から入った人には裏話的なものとして読むのも楽しいと思うし、え?何十年も昔から続いてる出版社なのに、一度倒産したの?とか、MCU初期の頃の結構スリリングな賭けとか、表向きではわからない部分が読めるのは結構意外性があって面白いかもしれません。

 

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