THE UNDERSIDE: CIVIL WAR
著：チャーリー・ヒューストン。ダニエル・ウェイ（ライター）
デビッド・フィンチ、ミコ・スアヤン、ハビエル・サルタレス（アーティスト）
訳：石川裕人、坪野圭介、御代しおり
刊：MARVEL ヴィレッジブックス
アメコミ 2017年
収録：MOON KNIGHT v5 #7-12(2007)
GHOST RIDER v6 #8-11(2007)
☆☆
全米の超人を二つに割って燃え上がるシビル・ウォー。
だがしかし、全ての超人が
この戦いに参戦したわけではない。
超人登録法の是非でも主義主張の相違でもない、
道を逸脱した己との戦いに明け暮れるムーンナイト。
煉獄よりの脅威と戦い続ける運命に殉じる
ゴーストライダー。
世間の耳目も届かぬ路地裏で、辺境の地で、
シビル・ウォーの傍らで繰り広げられた戦いが
ここに明らかになる。
異形のヒーロー二人を主役に据えた異色作、
ここに登場。
君はどちらに付く？
ＭＣＵ次の作品は、５月公開「ドクターストレンジ２」の前にディズニープラスのドラマの方の「ムーンナイト」が３月末にスタートのようです。
ムーンナイトとかぶっちゃけマイナーヒーローの気がしますが、邦訳だと３冊出ていて、今回紹介するのがシビルウォーのタイインで出た第５シリーズ。単発で出た「ムーンナイト／光」「闇」が第６シリーズ。ドラマに合わせて今度は新刊で第７シリーズが１冊出るようです。
ムーンナイトのデビューは1975年の「ウェアウルフ・バイ・ナイト」という怪奇コミック路線のシリーズで、最初は敵の傭兵として登場。人気が出たのでその後個人タイトルを獲得。割と古参キャラで、新シリーズ→終了を何度か繰り返してるという事ですので、一時期はウエストコーストアベンジャーズにも参加してたりと、マイナーながらも根強い人気はあったという事でしょうか。
ただし、リニューアルされる度に設定が変更。マーベル版バットマン的な大富豪の自警団員だったり、エジプトの月の神の力を得たオカルト系ヒーローだったり、その時のシリーズによって変更が加えられ、設定が複雑化。今回の第５シリーズではその混乱を受けてか、精神的に不安定なキャラクターとして描かれる。そして次の第６シリーズではその精神的な病が重症化して、多重人格者というキャラ付けになり、今やそれこそがムーンナイトというキャラクターのアイデンティティという感じになっている。
ＭＣＵ版ドラマもその多重人格を生かした路線のようです。オチもＭＣＵ版ファイトクラブみたいな感じになるのかなと予想。
それはさておき、今回はシビルウォーのタイインとして、ムーンナイトのみではなく、同じくオカルトバイオレンス路線のゴーストライダーとのカップリング収録。「ムーンナイト」の方はまだスパイダーマン、キャップ、パニッシャー、トニー・スタークがそれぞれの話にゲストで出てきたりしますので、シビルウォー本編にがっつり絡む話では無いものの、同時期の話ってのはわかる作りですが、「ゴーストライダー」の方はほぼ無関係な話。ニュースでちょっと触れてある程度。
ただ逆に単発の話として読める分、私はゴーストライダーの方が面白かったかな？シビルウォー本編で死亡したジャック・オランタンが突如田舎町で復活。それはゴーストライダーの宿敵の悪魔ルシファーが乗り移ったものだった。地元の警察官の助力もあり、再びそれを爆散させるジョニー・ブレイズであった、ぐらいの話でしかないけど、アートがなかなかカッコ良くて楽しい。
「ムーンナイト」の方はぶっちゃけ話がさっぱりわからなかった。死んだはずの元サイドキックのミッドナイトが復活。ムーンナイトへの恨み節を炸裂させて、猟奇殺人でムーンナイトに挑戦を挑む、みたいな話なんだけど、濃いアートで異常な暴力衝動だとか、完全に呆れられてる元カノに強引に復縁を迫るだとか、殺した相手の幻影が常につきまとって話しかけてくるとか、それだけでもだいぶカオスなのに、更に時間軸シャッフルとかも入ってるので、非常に読み難い。
たまたま通りかかったスパイダーマンが、あんた頭おかしいよ大丈夫？って心配してくれたり、キャップは余計な混乱を招くだけだからお前は自粛しろって言ってきたり、パニッシャーは同類だけど俺は信念があるから一緒にすんなってあしらわれたり、一人でも駒がほしかったのか、一応君もアベンジャーズの関係者だった縁もあるし、と接触してくるトニーとか、その辺のムーンナイトに対する接し方の違いとかはちょっと面白いかも。
と言う事で次は「ムーンナイト／光」に行こうかなと。そっちは一度読んでますので再読ですが、キャップ、ウルヴァリン、スパイディのチームアップ！（オチは…）ってとこしか憶えて無かったりしますし、今度はじっくり話を読もうかなと。
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